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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第2章 復讐編
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第十一話「王女ミリア」


「シュワン」


 俺はすぐ、馬車に防御結界を貼った。

 これで安全。


 そして……。


「な、なんだこれ!?」


「馬車の周りにバリアみたいなのがあるぞ!」


 こいつら。盗賊を倒さないといけない。

 人数は10人くらいだね。


「おい!」


 俺は盗賊に話しかけた。


「あ?! なんだてめぇ!!」


「兄貴、こいつの馬車も高級です!」


「お、本当じゃねえか! 俺は運がいいなぁ!!!」


 まあなんともテンプレートな盗賊だろう。

 これは流石にカッコが悪い奴らだ。


「痛い目に遭いたくなければ、今すぐ牢屋に行け! 自首しろ! そして普通に働いて稼げ!」


 盗賊なんて、珍しくはない。ワンサカいる。

 金を取るだけなら罪も大して重くない。

 なので自首すれば数年で出てこられる。


 もう諦めて自首してほしい。


「んだとぉ!! お前ら、やれ!!」


 結局、下っ端みたいなのが魔法を打ってきた。これはもうダメだね。

 

「重力魔法(ヴァリティタ)!!」


 盗賊10人は立っていたが、

 俺の言葉と共に、地面にへばりついた。


「な!!!」


「ぐぺぇあ!!」


「ぐほぉ!!」


 俺は重力魔法の『ヴァリティタ』を使用した。

 最大威力で使用すると、

 グロテスクになるのでやめておいた。

 せいぜい、息がしづらい程度。

 そのくらいにした。


「て、てんめ、なにしやがっ……たあ!」


 ものすごい重力に押しつぶされ、地面に伏している状態で、兄貴とか呼ばれてたやつが喋っている。


「重力魔法の『ヴァリティタ』だよ」


「じゅ、うりょくぅ? しらねえぞ!」


 まぁ、俺が開発した魔法の1つだからね。

 でもこれはリリー達には難しいかな。

 2人にはもっと簡単なのを教えよう。


 とか思ってたら、10人いた盗賊達は、いつのまにか気を失っていた。


 そして俺は、こいつらを拘束魔法で、そこら辺に置いておいた。


 振り返り、馬車の方に目を向ける。


 さて、あの馬車の中にいる人は無事だろうか。

 というか人はいるのかな?

 石投げられても無反応っぽかったし。


 俺はその馬車に近づき、扉に向かってノックをした。


「コンコン」

 

「あ、あのー! もう大丈夫ですよー!

 盗賊は拘束しました。大丈夫ですか?」


「……」


 いや、これ大丈夫か?

 反応なさすぎるだろ、死んでんじゃないか?


 なんか不安になってきたので、扉をあけようかと、そうした瞬間。


「ガチャ」


 扉のドアノブが少し回された。

 そして、ゆっくりとゆっくりと、扉が開いていく。


 扉と俺がぶつかりそうになったので、

 数メートル離れておいた。


 ふと、どんな人なんだろうと俺は思った。


 恐らく、金持ちなので石油王みたいな人だろう。そんなよくわからない予想をして。


 姿が見えた。


「あ、あの、あ、ありがとうございます……」


 その姿は、おっさんでもなく、いや、男ではなく、

 とてつもなく綺麗な。


 綺麗という言葉一つで片付けていいのかわからないけれど、そんな人がいた。


 いや、女性がいた。

 

 綺麗な金色の髪の毛、腰まである長さだ。

 そして、綺麗な青い瞳。

 おっふ。これはまさにおっふ。



 俺は、その綺麗さに口がポッカリ開いてしまっている。

 恐らく間抜けな顔になっているだろう。


「あ、あの?」


「!!」


 いけないいけない。

 つい見惚れてしまっていた。


「いえ、すみません! ご無事でしたか?」


「は、はい! 助けていただき、本当にありがとうございます!」


 彼女は、オーラがすごかった。

 表情、喋り声、一つ一つが綺麗だった。


 ん?俺、惚れてないよな?

 

 すると、馬車の中にもう1人がいた。

 

 「こほん、助けていただきありがとうございます! 僕たちは、ここで終わりかと焦ってしまいました!」


 うん。見るからに婚約者って感じのイケメンが来た。

 この人も金髪青い瞳。

 

 そして凄くイケメン。

 はぁ、さっきまでの俺が恥ずかしい。


 すみません。

 多分惚れてはないけど、惚れたらダメな人でした。身の程知らずすまぬ!!


 すると、イケメンが喋った。


「あの、窓から見ていたのですが、あれは魔法でしょうか?」


 見てたんかい。


「えぇ。そうですよ!」


「なんと! その魔法はなんというのでしょう? 

 初めて見る魔法でして……」

 

 そう言ったイケメンは、ポケットからメモを取り出し、ペンを片手に持った。


 魔法が好きなのかな。

 でもごめんよ、これはオリジナルなんだ。


「すみません、これは開発した魔法なんです!」

 

「ふむふむ。か、開発!?」


「え、ええ!?」


 イケメンと美女が驚いた。

 ペンも落として……いやギリギリキャッチしていた。


「開発って、そんなことが可能なのですか!?」


 美女が食い気味に近寄ってきた。

 胸がドキドキするからやめてほしい。


「ええ。できますよ。がんばればですけどね?」


「なんと、開発か。僕も頑張ってみようかな」


「お兄様は無理です! あれは彼だからこそできるのですよ!」


 ん、んん?お兄様?ん、んん???


「えっと、お二人は、ご兄妹なんですか?」


「はい?そうです。双子ですね! 私が妹です!」


 確かに、よく似ているかも。

 髪色も瞳の色も同じだし。

 なにより美女とイケメン。


「あ、あのそれで、お二人はご無事ですね?」


 俺はそう聞いた。


「あ、はい! 僕もこの子も無事です。本当に助かりました!」


「たすかりました!」


 2人は綺麗に頭を下げた。

 なんていうか綺麗だ。

 普通のお礼ではない。

 品があるというのだろうか。


「いえいえ、それでは俺はこれで」


 そういいこの場を立ち去ろうとした。

 そのとき、左腕の袖を掴まれていた。


 美女に!


「待ってください!」


「は、はい。なんですか?」


 何か言いたげな顔をしている。

 よく見たらイケメンくんもそんな顔だ。


 話がしたいのだろうか。

 別に俺は構わないけど、

 馬車でリリー達を待たせているしな。


 思念通話で待って欲しいと伝えようか。


 (リリー聞こえるか?)


 (うん。きこえるけど?)


 ん?なんだろう。

 リリーの声が低い?

 というか、怖い。なに?キレてる?


 (リリーさん? どうかしました?)


 (その女だれ? かわいいね。好きなの?)


 はい?こいつはなにをいってるんだ?

 たしかにかわいいけど。


 (好きではないよ)


 (だよね! で、どうしたの?)


 リリーは急に元気を取り戻した。

 ……なんだったんだ一体。



 そして俺は、リリーに少し待っててと伝えた。するとリリーはギルゾックを連れて、

 こちらへきてしまった。まあいいけれど。

 

---


 リリー、ギルゾック、イケメン、美女、俺の。

 謎のお茶会が始まった。


 お茶はないけど、馬車の中で座って喋ることになった。


 俺の方の馬車は帰ってもらった。

 どうやら、行き先が同じホンギル王国らしく、到着までは、イケメンの馬車を使わせてもらう。


「いやーシオンに助けてもらってよかったね! ふたりとも!」


 リリーがそういうと、美女が口を開いた。


「えぇ、本当に助かりまし……あ!」


「あっ」


 俺の名を聞いてからか、イケメンと美女が目を合わせた。


 そして、2人は頭を下げ謝罪しだした。


「申し訳ないです! 自己紹介がまだだった!」


「本当にごめんなさい! 私達、名乗っていませんでした!」


 そういうことだったのか。

 たしかに名前を聞いていなかった。


 すると、まずはイケメンからの自己紹介が始まる。


「僕の名前は『アイク・ホンギル』。アイクと呼んでほしいです!」


 次に、美女。


「私の名前は『ミリア・ホンギル』。と申します!

 私もミリアと気軽に呼んでください!」


 おー。と拍手をした。

 けど、リリー達はしてなかった。


 なぜしないのか疑問に思い、リリーの顔を見てみると固まっている。

 ギルゾックは?……固まっていた。


「リリー、ギルゾックどうしたんだ?」


「し、シオン、気づかないの?」


「へ? なにが?」


「……お前、今向かってる王国の名前は?」


 ギルゾックが急に問題を出してきた。

 そんなの簡単だ。


 答えは……ん?ん?????


「ほ、ホンギル王国」


「だよね?ってことは」


「だよな?ってことは」


 なんとなくわかってしまった。

 家名が王国の名前。

 そして、彼女らのとてつもないビジュ。


 礼儀も正しかった。


 まるで、王子様と、王女様みたいだ。

 いや。


 王子と王女やないかーーーいい!!!

 と心の中で自分にツッコミを入れてしまう。


「ふ、2人は王子と王女なの?」


 一応、確認してみた。

 すると、2人はコクりと頷いた。


 だから、金持ちなのか。

 

 

 でも俺はあんまり気にしない。

 正直、貴族だから、王子だから、とか

 めんどくさい。同じ人間なのだから、そんなこと気にしなくていいのにと思う。


「まぁ、そんなの気にせずさ! 仲良くしよう!」


 その言葉に、リリー達も、「たしかに」と俺に賛同した。さすがはマイフレンド。


 そうだ、気になっていたことを聞こう。


「えっと、アイクは魔法が好きなんだよね?」


「あ、うん! そうだね。魔法は好きだよ!」

 

 仲良くと言ったからか、アイクは俺に対してタメ口へ変わっていた。


「お兄様は、魔法オタクなんです! 魔法のことになると目を輝かせるんですよ?」


 ミリアは相変わらず丁寧な口調だ。

 ……てか魔法オタクってなに?


「なんの魔法が使えるの?」


 そう聞くと、アイクは色々教えてくれた。


「基本何でも使える! でも、氷魔法が苦手なんだ。炎は得意だけどね!」


 なるほど、炎が得意か。

 でも氷魔法が得意な人なら俺の隣にいる。


「リリーに氷魔法を教わってみたら? こいつ氷魔法が本当に得意なんだよ」


「え、そうなんですか!? ぜひ教わりたいです!」


 アイクがリリーへ視線を向ける。


「え? あ、ああ! いいけど、いつ教えようか?」


 確かに、教えると言っても、

 王国についたら離れてしまうしな。


「それなら、魔法学園に来てもらったりとかできませんか?」


「ま、魔法学園? そんなのあるのか?」


 ミリアの言葉で、

 俺は学園という単語に反応してしまった。


「うん! 魔法学園は、ホンギル王国にある学園! 魔法をとにかく学べるんだよ!」


「へぇ、そこでリリーに教わるのか」


 魔法学園、やばい、行きたい。

 気になるなあ、どんなかんじか。

 

 ……でも、復讐がある。

 

「ごめんアイク。俺から教われと言ったが、探してる人がいるんだ。だから学園にはいけない」


 するとミリアが口を開いた。


「それでしたら、学園にいる、マリア博士に占いをしてもらえばいいのでは!?」


「占い? マリア博士?」


「はい! その人は、占いができるんです! 探し物、人探し、なんでもわかりますよ!」


 占いとは魔法なのだろうか?

 前世の占いは当てにならないイメージしかなかったけど、ここは異世界だ。


「いいかもしれない。よし、行こう。一から探すより、魔法学園に行く方が早そうだ!」


 俺は「本当にありがとう」と、

 ミリアに礼を言うと、

 彼女は「い、いえ」と言い、

 何故か顔を真っ赤にして、下を向いてしまった。

 

 「ちっ」


 ん?なんか、リリーの方から舌打ちが聞こえた。いや、まさかな、この世界で舌打ちとか聞いたことないし。空耳だろう。きっと。

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