第十話「旅に出る」
翌日。
俺達3人は、今日、この街クレスタを離れる
一旦の目的地は、ホンギル王国という国。
まぁクレスタの100倍は都会の国だ。
王都ってのもホンギル王国のことだったりする。
かなり遠いので、俺の魔法で移動。
と、言いたいところだが。
「まだか? もう1時間くらい経ってるぞ?」
「遅いね!!」
この2人がいるので魔法移動は厳しそう。
「たしかにねー」
今回は馬車を使用するので、
3人で馬車の到着を待っている。
が、遅い。
「いち、に、さん」
リリーなんか暇すぎて、空を見上げて、
美味しそうな雲の形の数を数え出した。
「パタラパタラパタラ」
お、馬車が見えてきた。
---
俺たちは馬車に乗った。
「すっごーい!」
「……これはすげえな!」
2人は何に驚いているのか?
それは多分この馬車の中だろう。
俺の大量の金を使って呼んだ最高級の馬車だ。
もうなんか、中がすごい。
高級ホテルみたいな部屋になっている。
トイレもあるし、フッカフカのベッドのような物もある。
座り心地の最高の座席があるし。
リリー達はとても喜んでいるようだ。
俺が1人の場合は普通の馬車にしたが、
3人だからね。高級にしたった!
「シオン! これ高くないの!?」
リリーが値段を尋ねてきた。
ふっふっふ。聞いておどろけー!
「金貨10枚くらいだよ!」
それを聞いた瞬間、リリー達は目を点にした
というか硬直した。
な、なんだってー!?ってのを期待したんだけどな。
固まって動けなくなるほど驚くとは。
「シオン、お前そんな金持ってたのか?」
「あー、魔物の素材を売ったんだよ」
「魔物!? でも私、ワイバーンの素材を売っても金貨9枚くらいだったよ!?」
リリーの倒せる魔物はワイバーン。
もちろん、ワイバーンも強いが、倒せる人は案外王都にいたりするので高く売れない。
いや、充分高いんだけど。
「ドラゴンだね、三龍帝を倒したら、金貨100枚は儲かるよ」
「ど、ど、ど、どらごん!?」
「それに、三龍帝だと!? お前まじか!?」
おお、こっちが理想の驚き方をした。
魔物系が効果的なのか。勉強になった。
すると、リリーとギルゾックは、俺の目の前の座席に座ってこっちをじっと見てきた。
なにか、説教でも始まるかのような雰囲気が漂ってきている。
「お前がまさかそこまで強いとはな」
「うん、びっくりだよ! 私なんて、弱めのドラゴンでも倒せるか……」
俺は、『強い』という言葉を聞いて、2人にある提案をした。
「なぁ、2人とも」
それを聞いた2人は首を傾げ「なに?」と見つめてきた
「強くなりたいか?……いや、強くなってくれないか?」
「ど、どういうことだ? まぁ男としちゃ強くなりたいが」
「え、えっと、強くなりたいよ?」
俺は、ふっ、と笑い、あることを伝える。
「俺は魔法を数十個開発している」
「開発だと!?」
「それって可能なの?!」
「あぁ、可能だ。そして、それを2人に使えるようになってもらいたい」
「……」
「……」
なぜか?それは保険だ。
アペプ一族はそこまで強くない。
俺なら余裕で殺せる。
けど、リリーらとアペプ一族はわからない。
アペプ一族も弱くはないのだ。
俺からしたら弱いが、普通に強いのだ。
リリーはクレスタ最強と称賛されてはいるが、勝てるかどうかわからない。
ギルゾックなんて、すぐ負けてしまうかもしれない。
それは嫌だ。
この2人は必ず殺させはしない。
なので、強くなって欲しい。
俺が鍛えて。
すると黙っていた2人が閉じていた、口を開いた。
「わかったぜ、お前がなぜ強くしてくれるのかなんとなく理解もしたからな。ぜひ教えてくれ」
「うんうん。私にも教えて! いつかシオンを超えるから!」
「おう!」
よかった。「お前に教えて貰わなくても平気」と言われたら、ちょっと悩んだが。
「そうだ、シオン。お前が殺す奴らについて詳しく聞かせろ」
ギルゾックが、いつにも増して怖い顔で、俺を見つめている。
リリーも顔が強張っている気がする。
いつか話そうと思っていた。
タイミングが分からなかったけど、今だな。
そう思い俺はアペプ一族について話した。
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静かな箱の中。
馬の、地面を蹴り上げて進む音だけが聞こえる。
俺は、リリーらにアペプ一族を語った。
「奴らはアペプ一族と言う。人数は恐らく4人いる」
「4人か……」
「それで? 特徴とか人の名前は?」
……特徴を言うだけで吐き気がするけど。
言わなければなので……。
俺は深呼吸をし、それを口にした。
「1人目は『ガゼル』という名の男だ。外見は、赤髪の短髪で30歳
2人目は『ビズリス』という名の男。外見は、紫髪の短髪で25歳
3人目は『ロバルタ』という名の男。外見は、白髪のロン毛で50歳」
俺は知ってることを、リリーらに話した。
年齢は現在の年齢だ。外見は変わっていないだろう。
奴らは、復讐に来る奴を作っていない気でいるから。
以前と何も変わっていないさ。
腹立たしいほどにな。
まぁこれは俺の憶測に過ぎないけれど。
「なるほどな。で、4人目は?」
「うんうん、4人いるんでしょ?」
「……4人目か」
正直あまり分からない。
5歳の時、俺の両親と弟を殺したのは、
さっき話した男達3人。
4人目がいたのを知ったのは、記憶消去の呪いを喰らったあの日。
でも、最後に見えたのは、たしか……。
「女の子だったな。年齢は分からんが、リリーよりは小さい身長だった。ピンク色の髪」
「女の子だと?」
「それ以外に分かることは?」
あ、そういえば、あの女だけ異様に何かが違った。
「男達とは違って怯えていたな」
「怯えていた?」
「どういうこと?」
「なんていえばいいだろう。男3人は、連続殺人鬼のクズで、女の子は初めて人を殺してしまった。そんな雰囲気だった」
まぁ、なんていうか、男達は場慣れしてたけど、女は初めて来た所って感じの。
緊張?していたのだろうか。
……なにかありそうだな。
考えれば考えるほど、深掘りしてしまう。
目的は殺すこと。それだけなのに。
そんなことを考えていると、リリーがあることを言った。
「その子、色々あるんじゃない?なんかさ、操られている。とか? そんなかんじ」
操られている。
そんな魔法あったっけ。
いや、開発は俺ならできそうだし。
もしかして、何か脅されているのだろうか?
弱みを握られているとか?
……はっ!まさか奴隷魔法!?
あー!もう!そんなこと考えたくないのに!
なら、こうするか!
「よし。俺は男共は必ず殺す! でも女の子は牢屋に入れる! そうしよう!」
女も、もしかしたらえげつない野郎かもしれない。
でも。でも、こんなことを考えるのはダメだけど、俺はその女に家族は殺されてない。
仮に、女が当時5歳の俺の目の前にいたら。
それだけで殺す理由にはなった。
しかし、居なかったのだ。
最近になって、4人目を知ったのだ。
殺しはせず、牢屋にぶち込もう!
「それでいいか? リリー、ギルゾック」
「ああ。そうだな! そうしようぜ!」
「うん!」
そういい、アペプ一族の話は終了した。
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馬車に乗って、1日が経過した。
この馬車は最高だ。
トイレ付き、3人分のベッド付きなので、ここで寝れる!泊まれる!
でも、お風呂はないのでリリーは少し嫌がっていたが。
まぁ女子は仕方ないだろう。
我慢してもらった。
あと、馬は俺が回復魔法をかけた。
だから無限に走れる!発明だなー!
ちなみに、まだギルゾック達は寝ている。
俺は暇をこいていた。
ホンギル王国までは後3時間ほど。
あっという間だろうけど、でも暇だ。
俺はベッドから立ち上がり、窓を開けて、景色を眺めていた。
目に映るのは緑だ。自然豊かって感じ。
綺麗な空気で風も心地よい。
……が、馬車の目の前に何かいる。
俺は目を細め、それがなにかを当てる。
ん。見えない……。
すると、どんどん俺らの馬車がそこに近づいていき、見えてきた。
「……ん?」
なんと、俺たちと全く同じ高級馬車が、盗賊に襲われている。
盗賊に驚いたというより、あんな高い馬車呼べるってお金持ちすぎ、と驚いたのだ。
あの馬車の人は、魔物を倒して稼いでいるのかな?
てことは、
俺くらい名を馳せる強さなのだろうか、
いや、俺は名を馳せてないけどね。
あと、それくらい強かったら、こんな盗賊なんてすぐに懲らしめるだろう。
てことは普通に金持ちの弱い人が中にいる。
馬車は扉を開けておらず、
奴らは石を投げつけながら、
「おらおら! 出てこいよ、金よこせ!」と、テンプレートな盗賊セリフを吐いている。
すると、とうとう盗賊が魔法を放とうとしていた。
俺は助けることにした。
まあ最初から助けるつもりだったけど。
馬車から降り、助けに行こうとすると、
うるさすぎて、2人が起きてきた。
「むにゃむにゃ、何? シオンどうしたの?」
「どうしたんだ? 喧嘩でも起きたか?」
俺は五つの単語を伝えて、自分の馬車を降りた。
「盗賊」「金持ち」「助ける」「みてて!」「それじゃ!」




