前へ目次 次へ 8/94 ひとりぼっち‐8‐ 「小雪ちゃん! 小雪ちゃん!」と元・同級生の一人が小雪を呼ぶ。小雪は「えっ、あっ、はい」と遠慮がちに答えていた。どうやら小雪を話の輪の中へ入れようとしているようだ。鏡太郎は少し安心した。孤立していたわけではないようだ……鏡太郎と違って。 鏡太郎は静かに席を立つ。顔は出した。金はあらかじめ知人の兄である同窓会の幹事が集金した。鏡太郎が一人、席から消えても問題はなかった。鏡太郎は一人、店を後にする。鏡太郎を止める声はなかった。