私の記録⑩
お母さんの後を追いながらもそこかどこかわかっていた。
お墓だ。
私は一人で何回もやってきたことがある。
何回も謝りにきたお墓だ。
そのお墓の前でお母さんは泣いていた。
「あなた、ごめんなさい。美佳がああなっちゃったのは全部私のせいなのに、それなのに逃げてばかりだった。
美佳の夜の外出を許したのは本当は私だったのに、それなのに美佳ばかりが罪を感じてる。
それに私も美佳が悪いっていうことを考えることであなたの死が自分のせいだってことを認めたくなかった。
でもね……
新しい人と触れて感じたの……
いつも私と美佳はすれ違っていたのに、そこに美佳がいないことを感じてしまうと不安になる。
いっつも美佳を傷つけてばかりなのに、美佳はすごく優しくて……
本当はあなたが死んでからもね、私が仕事で帰ってくる時間を考えてお風呂やご飯の用意をしてくれていた。
それに私はただ甘えてただけだったのに……
それなのに美佳にはきついことを言っていた。
ほんとにバカな私を許してね……」
そこまでで私は限界だった。
涙がポロポロと頬を伝う。
だけどそれをぬぐいもせずに私はお母さんを後ろから抱きしめた。
「美佳……?」
戸惑うお母さんにお構いもなしに抱きしめる。
私はお母さんが大好きだ。
それは今も昔も変わらないと思う。
だからお母さんに甘えちゃいけない、わがまま言っちゃいけない、困ることをしちゃいけないと思っていた。
でも違う。
あの時の言葉を思い出した。
あの夢の中でお父さんが言っていた言葉。
子供のわがままを叶えてやって子供を笑顔にしてやるのが父さんの使命なのだ。
というよりも子供のわがままを聞いてやるのも父さんの役割だ。
そう言っていた。
そしてお母さんがその時に言っていた言葉も覚えている。
ふーん、あなたがそういうなら私は子供を見守るのが使命ね。
それに子供をサポートするのが私の役割ね。
そう言ってからその後は私のどの部分で面倒をみるかというので二人で口論となっていた二人をなんとか私がしたのだ。
その時に私は言っていた言葉も覚えている。
お母さんもお父さんも美佳のこと大好きなんだよね。
美佳もね、二人のこと大好きだから喧嘩してほしくないな。
そう言って二人の頬にキスをしたら、二人ともぽわわーんとした表情でこっちを見てきたってことがあった。
そうだからここでの私のやり方は決まっていた。
抱きしめたのを開放してお母さんの前にきた私は頬にキスをする。
「大好きだよ」
そして前に見せた時のように私はお母さんに満面の笑顔で笑った。




