助け合うというのはこういうこと⑭
「愛されてるってことですよ、美佳さん」
「そうだってー」
「でも……」
嬉しいよ。
私にファンがいたことは素直に嬉しいんだよ。
だけどね。
なんでサイトの中に写真なんてものがあって、それが私の誕生日で開けられる鍵がかかっていて、その写真が綺麗に撮れてるんだけどなんだか色々な意味で危ないようなものもあったよ。
それに、私のプロフィールもなんでこんなにも完璧に把握してるの?
嬉しいんだけどなんだか喜べないそんな感じだよ。
むー、でもこんなファンサイトができるくらいなんだったらもっとみんなに話しかけておけばよかったのかな?
今となってはどうでもいいことだけどね。
「もう、帰るよ」
そしてまだ少し笑っている二人を離すようにして少しはやめのペースで歩く。
「ごめんよ、美佳さん。」
「いいよ、もう」
その私を慌てて愛美さんが追いかけてくる。
そして隣に並ぶ。
「そうだ、美佳さん。私もこれ」
そしてすぐにそう言って携帯を差し出す。
これって?
不思議に思う私に、愛美さんは少し笑うとグイっと携帯を近づける。
あ、スマホだよ。
「メアド交換だよ」
「あ、うん」
そういうことなんだ。
なるほど。
確かに携帯を差し出したとなるとメアドの交換のことなんだ。
「はい」
私も携帯をだしてメアドを交換する。
少し遅めの入力でなんとかメアド登録を済ませた私とは違い、愛美さんは素早く打ち込んで登録を済ませてしまう。
かっこいい。
これがコミュ力の違いというものなのかな?
思わずそんなことを考えたところで愛美さんがこちらを向く。
「それではこれからもよろしくお願いしますね、美佳。デート計画いざとなったら私もフォローしますので頑張りましょう」
そして可愛い笑顔でそう言われる。
あ、呼び捨て。
でもこういうのが友達っていうのかな?
昔から相手が恐縮するだけの関係だからこういう、あの三姉妹なみたいな対応をされるとなんだか照れる。
だけどこういうのってなんだか心地いい。
こそばゆいけどなんだか嬉しくて……
うん、デート計画頑張ろう。
「うん、よろしくね、愛美」
それにこうやってお互いを呼び捨てで呼び合うのもなんだか新鮮。
前の学校だとたまに様をつけられたこともあったし……
でも本当になんだか楽しくなりそう。
それに雅人君女の子バージョンを私のものにするいいチャンスなんだ。
本当に頑張らないと……
私はとりあえず一層力を込めた笑顔で二人に笑いかけてから歩きだした。




