美佳の気持ち③
脳内では変なことばかりを考えている私と違って、舞姉は普通にゲームのコントローラーを渡してくる。
「やろう、美佳」
「うん」
私は素直に頷いてゲームを一緒にやる。
私と舞姉のとりゃや、そりゃ、いっけーというような声が部屋の中で響いて、それを聞いた乃絵ちゃんもゲームに参戦する。
そんな感じに夜は更けていった。
まだ慣れないセミの鳴き声に少し苦戦しながら寝ようとしていると、不意に頭を撫でられた。
なんだろうと思った時にはタオルケットの中に誰かが入ってくる気配がする。
そして唐突に抱きしめられた。
優しい匂いが鼻腔をくすぐる。
っというよりいい匂いだね。
知っているかー、女の子の胸の谷間というものは通常よりもかなりいい匂いがすることを……
それは何故か?
簡単だろう。
谷間があるからだよ。
谷間があると、そこに体を洗う時も頭を洗う時も泡が溜まってしまうので、そこにいい匂いができるのだ。
だからこの甘いとろけるような匂いは本当に嗅いでいて気分が高揚します。
ああ、これが桃源郷というものなのかな。
煩悩があふれてくるよ。
こうさりげなく、このまま手を舞姉の体の後ろに回して、抱きしめてみればいいよね。
あはー。
最高にいい匂いだ。
今はおっさんと言われてもいいよ。
どんなに罵られたってこの匂いがある限り、私は最強だと思う。
そんな変なことを考えていると優しい声が聞こえる。
「美佳大丈夫?」
そう言われて、私の中にあった煩悩は消え去った。
そこには舞姉の優しさの現れの言葉だったけど、私にはただあの出来事を思い出すことしかできなかった。
それは私が始めて否定されたことだった。
実は私はこの家に来たのは、母親がそうしなさいと始めて私を無視して勝手に決めたことだった。
私の家は父親が小さい頃に亡くして母親一つの手で育った。
そのおかげもプラスされて今のなんでもしてしまう私がいた。
だからこそ母親が再婚をしたいと言った時には私はすぐにいいよって言って、私も母と再婚の父と一緒に暮らすと言ったけれど、それは母によって却下された。
理由はこっそり起きてきた時に伯母さんに電話をしているのを聞いてしまった私にはわかっていた。
そして今の私にはその言葉が頭の中で回っている。
その言葉は……
涙が出そうになるのをギュッとこらえて、ペロリと舞姉の谷間を舐めた。
「ひゃう」
舞姉が驚いたような声をあげて、私はここにいるのは私だけではないのだと感じていた。
そして、舞姉の谷間ってなんだか甘い。
そう感じれるほど一応は煩悩は回復していた。




