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Memories of Tear  作者: 琴羽
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第1章(5-2)

中島SMILEとともに手を振ってこちらに来る。

何この人、怖い……この人のあとにやらなきゃいけないのか……?

いや、その前に浅井がいた!!失敗してもOK的な空気に変えてくれ!!

そう思って隣を見ると、感情の抜けた瞳であらぬところを見つめる男がいた。おそらくこの男が浅井である。

「さあ、清水君、君の番ですよ?」

この男、何を血迷ったのかこんなことを言ってくる。

「何言いってるんだい、浅井くん。やるじゃなかったのかい? 面白いことは好きなんだろう?」

「いいじゃん、行ってこいよ!!」

中島の援護も加わる。てか、この空気の元凶が言うな。お前の後に行くって相当きついことをわかっていないな!!

「ほらほら、もともと君のための訓練だったし……僕なんかが出しゃばっても……ね?」

「ね?じゃねえよ!!しのごの言わずに行ってこいやア、浅井クウううううン!!」

あまりにもいや過ぎて、俺のキャラが少しぶれた気がしたが気にしない。

「あい、すんません行ってきます……」

浅井もあまりの俺の剣幕におびえたようで、おとなしく認めた。なので少しのキャラ崩壊ぐらい気にしないことにした。

「いってらー」

相変わらず元凶はのんきにしている。今は浅井に同情してやろう。

「浅井は誰に行くんだろうな、このクラスに知り合いなんているのかね?」

「いや、知らないけど……中島はさっきの人は初対面だったんじゃないの?」

「まさか!!初対面の人にそういう気がないにもかかわらず、お茶に誘ったりしないよ」

さすが中島、中身まで紳士だ。いや、でも今回ばかりは普通か。

「おい! 浅井が話しかけるぞ!!」

中島の声で、視線を再び浅井に向ける。

すると、ちょうど浅井が女子生徒にまさに声をかけようとしている場面だった。その女子生徒は活発そうで、今回の企画的に無難なタイプに見えた。

「えと、久しぶり・・・・・・元気してた?」

どうやらお互い事前に面識があったらしい。多少、というよりかなりぎこちない話し方だが。

「ん? 浅井じゃん、なんか用?」

「いや、特に用事はないんだが……その……」

「あっそ、んじゃ私忙しいから」

そう言って女子生徒は教科書を取り出し勉強を始める。

浅井は目の前で驚いてあたふたしているが、全く目にとめる様子もない。

「今のは浅井が悪い。男が女子と話すときにウジウジしちゃあいけない」

中島先生も隣で酷評している。正直俺も今のはないと思った。

自分で用事がないって宣言しちゃったし……

だが、どうやら浅井はまだあきらめていないようだ。

あいつの目は、まだ死んじゃいなかった。どうやら、もう一度アタックしようと覚悟を決めたようだ。

「すまん、さっきのは嘘だ!!ほんとはお前に用事があるんだ!!」

「??」

「あのだな……今度……一緒にお茶してくれええええええええええぇぇぇぇぇ!!!!」

おお!ダイレクトアタックだ!!

「今のは男らしいな」

隣で中島先生も絶賛している!

「無理。私に彼氏いるの知ってるでしょ?」

男らしいだけだった。ていうか、バカだった……

「でも、かっこいいじゃない。彼氏持ちの女をデートに誘うなんて」

先生的には良かったらしい。確かに見せ物としては上出来だったのは認めよう。

「忘れてました……」

浅井が半泣きになりながら帰ってきた。どうやら、彼氏持ちと分かって行ったわけじゃないらしい。

「なんだ、忘れてただけかよ。がっかりだな」

一気に中島先生の評価も一変した。

「なにより、あそこですぐにあきらめたのがいけない。なんでもっと食い下がらなかった!?」

傷心中の浅井に駄目だしまで始めた。やっぱり今回一番楽しんでるのが中島だな。

「すんません……精進します。けど、ちょっとお暇をください・・・・・・」

そういって浅井は廊下の隅に小さくなって体育座りを始めた。


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