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 だいきの作ったカレーは、自分で作るよりも具材が大きめで、じゃがいもがホクホクで美味しかった。


 ご飯食べて、片付けて、ほっと一息つく。


 手持ちぶさたになったので、りくくんのブラッシングをしていた。こっそり撫でまわす。


「まだ人になれねえのか?」


 だいきがぼそりと言った。


 確かに、気分が落ち込んで犬になってしまったなら、そろそろ気分が戻ってもよさそうだ。


 柴犬くんが立ち上がり、玄関のほうに行こうとしたので、僕はあわてて着替えを口にくわえさせた。


 柴犬くんがトイレに入っていき、二人きりになったところで、だいきが口を開いた。


「はやとには言わないのか」


「さっききいたら、言わないでほしいって。僕らも獣体見せたことないし。すごく落ち込んでるってばれたら嫌だもんね」


 人型に戻れたら、交通費渡して駅まで送ってばいばいかな、と思っていたら、柴犬くんがとぼとぼと歩いてきた。戻れなかったらしい。


「あらま。うーん。親御さんに連絡して、今日はお泊まりかな」


 飛行機耳になってしまったりくくんから、服を受け取って、あごの下を撫でながらそう提案すると、ワンと小さな返事が帰ってきた。


「は?俺も泊まる」


「え。帰りなよ」


 本気だと思ってほしくて真顔で言ったが、居座る気満々らしい。



 僕の部屋に来客用布団はない。


 だいきがシャワーしている間に、テーブルを脇にどける。三人でどうやって寝るか、狭い部屋を眺めて考える。足元には不安そうに見上げてくる柴犬くん。


 ふと実家で雑魚寝していたころのことを思い出した。


 そうだ!部屋が狭いなら、僕も小さくなればいい。


 その場にしゃがみこみ柴犬くんと視線を合わせる。人型のうちに、と思って顔を撫で回したら、ちょっと怒らせてしまった。マズルにしわがよってもかわいい。


 りくくんの前で裸になるのは、さすがに恥ずかしかったので着衣のまま犬になる。


 服にまみれていたけれど、柴犬くんがびっくりしてちょっと跳んだのが見えた。


 耳がひっかかってもたついたが、りくくんが助けてくれて抜け出せた。


 戸惑いながら、僕の周りをうろうろする柴犬くんに、しばらくにおいをかいでもらってから、ベッドに誘導する。


 りくくんは、柴犬らしく僕から少し離れて座り込んだ。とりあえずベッドで一緒に寝ようということは伝わっただろう。シャワーで体力を消耗していた僕は、すぐに丸くなって目をつむった。



 いきなりモジャモジャのでっかいのがぶつかってきて、薄目をあけると、すぐにキャン!ウヴヴ……という怯えた声が聞こえた。


 慌てて起き上がると僕とりくくんの間で、ハイエナが丸くなっていた。りくくんは、ベットの角で怯えている。ハイエナは僕のほうに顔を向け、狸寝入りを決め込んでいた。


 なんなんだ。今日はだいきがいつも以上にめんどくさい。


 腹がたって両前足でハイエナの顔に連続パンチをしてやったが、相手は前足で顔を隠して丸まっただけだった。


 とにかくりくくんにこっちのほうに来るようにうながす。すっかりしっぽが垂れ下がってかわいそうだ。


 ハイエナをりくくんのいた角に押しやって、二人の距離を出来るだけ離した。


 だいきが乗っかってきて、暑くなる。不安そうにこちらを見ているりくくんに、ちっと怖くないことを伝えるため、何度かハイエナを踏んづけ、かけ布団は一匹で使うようにかき集めて差し出した。


 柴犬くんはこんもりとした布団のバリケードを作り、ハイエナは僕にぐりぐりと体を押し付け、そうしてやっと、三匹一つのベッドで眠りにつくことができた。



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