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腕の中の柴犬くんが体の力を抜いたらしい。少し重くなった。落ち着いてくれたってことかな。
さて、どうしようか。困り顔でだいきと顔を見合わせる。眉が下がっているのは僕だけで、だいきはめんどくさそうだ。
だいきがおっ、という顔をした。柴犬くんに何かあったのかと思って視線を下ろすと、キラキラとした目で見つめられた。しっぽはバサバサと横に揺れている。
これは、はやとに会えると思ってる?
「はやとならいねえぞ」
どうやって伝えようか迷ってるうちに、だいきがぶっきらぼうに言ってしまった。
とたんに柴犬くんの視線が下がり、しっぽもだらりと垂れ下がる。
「お、意外としっぽ長いんだな」
「ちょっと!」
のんきに柴犬観察してるだいきをひじでどつく。
「はやとは今日用事あるってさっさと帰っちゃったから、また今度みんなで遊ぼうね」
赤ん坊でもあやすように、少し体を揺らしながらそう伝えると、やっとしっぽがくるんと巻かれた。隣で面白いものをみれたというようにニヤニヤしてるだいきをにらみつけておく。
「で、どうすんだ?この辺に保護施設とかあったか?学校の救護室行くか?」
町ごとに獣人が獣体になってしまったときの保護施設がある。大学にも似たような施設があった。
「保護施設、この近くにはなかったし、大学は学生じゃないと手続きめんどくさいし……僕んち行く?」
だいきに説明してから、最後に柴犬くんにきいてみた。
ワン!
気持ちのよい返事が帰ってきた。
「電車はどうすんだよ」
「歩けなくもないし、こういうときは散歩が一番だもんね~」
だいきのつっこみを聞き流し、柴犬くんと一緒にしっぽをふった。
獣体の犬属に会うのは本当に久しぶりだ。正月に実家に帰らなかったから、無性に嬉しくなってきた。リードがないと怒られるので、人気のいないところだけこっそり柴犬くんを下ろしながら、散歩して帰った。
なぜかだいきまでついてきた。




