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バッグを持ったまましゃがむのも結構大変だ。
目の前のだいきのリュックに腕をのせて、体重をかける。ちょっと背中が大きすぎて、僕の体勢がおかしくなったけど、少し楽になった。
そうして一息ついたころ、ベンチの後ろから柴犬が様子をうかがいながら出てきて、そろりそろりと近づいてきた。すぐにマフラーまでたどり着き、クンクンとにおいをかぎながらゆるくしっぽをふりはじめた。
体重をかけていただいきが少し動き、バランスをくずしそうになった。顔を見合わせると、器用に片方の眉毛だけ上げて、どうする?と口パクで言ってきた。
僕はゆっくりと動いて体勢を整えると、だいきそのまま動かないように伝えて、中腰のような状態で柴犬に近づいていった。柴犬くんも僕が近づいていってることに気がつき、こちらにちらちらと視線をよこしたが、逃げだす気配はないので、構わず近づく。
マフラーを取らないことを伝えるため、まっすぐではなく横にそれて輪を描くように近づいた。かなり近くまでいっても逃げ出さなかった。腕を伸ばして顔周りを撫でながらのだっこに成功した。少し暴れたので、いそいでマフラーをつかんで、首のあたりにのせてあげた。
柴犬くんを捕まえたのを見ただいきが立ち上がり、こちらに近づいてくる。
「手間かけさせやがって。ほんとにこいつりくってやつなのか?獣人ならもっと話通じるだろ」
「いや、話とかしてないじゃん。柴犬はもともと警戒心強いし、誰か分からない人が知り合いのにおいのするもの持ってて怖くなっちゃったんじゃない?」
柴犬くんはマフラーを鼻先でいじりながら、じっとしてくれている。だっこしているとあったかくていい。まだちょっと子犬なのか、小さめだ。こっそりなでながら、そういえば自己紹介してなかったかなと、柴犬くんに声をかけた。
「はじめまして。りくくんであってるのかな?僕ら、はやとの友達で、僕はしゅん、こっちはだいき。」
ちゃんと目があった。しっぽがゆれて、うなづいてくれた。やっと意志疎通ができそうだ。




