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 だいきと並んで立ったまま、柴犬とにらみ合いの状態がしばらく続いた。

「どうする?捕まえるか?」

 隣のだいきがそうつぶやいて、まっすぐに柴犬の方に一歩踏み出した。柴犬の緊張感がさらに高まるのを感じて、僕は腕を横に伸ばしてだいきの動きを止めた。

「待って。逃げちゃうよ」

「じゃあ、どうする?」

 だいきは、この状況に飽きてきたのか、髪をぐしゃぐしゃとかいて空を見上げた。僕は柴犬に刺激を与えたくなくてもう少し動きを抑えるように言った。わちゃわちゃとしている間に、柴犬くんの視線がどちらかというと僕の方に向いていることに気づいた。何か、興味を持たれるようなものがあっただろうか。自分の持ち物や衣服を改めて見直してみて、はやとのマフラーが目に止まった。

「そうか、これだ」

 僕は腕にかけていたマフラーを持ち直し、ゆらゆらと揺らしてみた。柴犬の耳がぴくぴくと動きを、マフラーに合わせて顔が動いているのが確認できた。

「あいつのマフラーが目当てなのか?」

 だいきも気づいたようだ。

「うん。なんかビニール袋とか持ってない?」

 だいきがカバンのなかからビニール袋を取り出し渡してくれる。僕はビニール袋を地面にしいて、その上にマフラーを置いた。

 だいきの腕を引いて少し後ろに下がり、しゃがむようにうながす。

「マフラー取られて逃げられたらどうすんだ?」

「うーん、どうしようか。とりあえず、目そらして」

 二人そろってななめに体の向きを変えて、様子をうかがった。





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