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気のせいだったかな。
確認するようにだいきの顔を見た。いつも眠そうな顔が少しシャキッとしている気がする。気のせいじゃない。
しばらく歩いてから、再びこっそりと後ろの様子を伺うが、やっぱり誰もいなかった。
こんなおっかないだいきの後を付けるなんて、そんな人いないだろうに。なんだろうこれは。
いつも以上に僕とだいきの口数は減っていった。
ここを曲がったら駅前の大通りだ、というところで、だいきが反対方向を指差すのが見えた。後ろの気配が気持ち悪いから、寄り道でもしようということか。
僕はうなずいてだいきに従った。
すぐに小さな公園につく。ベンチがあるだけのさみしい公園で、人がいるのをほとんど見たことがない。
公園の真ん中まで進み、だいきが振り返った。
気配はずっと感じていて、ここまでついてきてるはずだった。しかし、誰もいない。
僕も一緒になって360度ぐるっと見回してみる。
「おっと」
足がもつれてだいきに寄りかかってしまった。微動だにしない安定感。
「おい、あそこ」
寄りかかった僕を片手で支えながら、だいきが声を低くして言った。まだくっついてるからね、声が振動でくるね。僕もこんな低い声になってみたかったよ。
一瞬ぼーっとしてから、だいきの視線の先をたどってみると、ベンチがあった。
よくよく見てみると、ベンチの後ろで動いているものがある。眼光鋭いモフモフの毛玉!
「あれ、はやとの言ってたやつじゃねえか?」
だいきのいう通り、あれはまさしく胡麻柴だ。
茶色に黒が混ざった毛並みと、くるくるしっぽ。
はやとに眉毛可愛かったよと報告したくなるくらいのくっきり眉毛。胡麻柴なんて滅多にいない。
「そうかも!りくくんかも!でもなんで獣体になっちゃったんだろう」
僕たちが小声でこそこそ話す間も、胡麻柴は緊張感を漂わせてこちらをガン見していた。




