ダンジョンの不思議 その2
暫くは3話毎にお休みを挟み、更新をして行きますので、よろしくお願いします。
ダンジョン探索を一時中断して、次の段階に進む為にも、装備の強化をしたいと思います。
ダンジョンで回収出来た新しい素材を使い、細かな強化を施していく事にします。
とくに銅や錫は加工がしやすく、合金としても優秀です。
錫は食器などもつくれるので、鍛冶初心者でもレベル上げにも活用出来るので、リユート村の産物に加える事も可能です。
銅を使ったフライパンや鍋、ケトルやマグカップなども作って、色々とお試しで使ってみました。
「こりゃ、すげぇな。 銅がこんなにあるのもすげぇがよ、フライパンや鍋に使うたぁ、贅沢ってもんだよな! ガハハハ!」
「へえ、銅製品って贅沢品なんだあ」
「熱伝導が、いいんだったよな」
「電気を通したり、殺菌作用とか色々あった気がしますね」
「どんな金属よりも加工しやすく、様々な建物の装飾にも使われてますよ」
電子部品とかのないこの世界でも、ドワイトさんが言うように、銅は様々な使い道があり、その有用性は高い鉱物であり、この世界でも貨幣となるほどに価値があります。
単に多く産出するだけなら、鉄の方がたくさん流通するはずですが、銅の方が多く出回り貨幣に使われてる時点で、その価値が安定しているのだと聞きました。
鉄は劣化したり、武器や防具となるのが主流で、貨幣としては向かないので、加工前の鉱石が貨幣として、取り引きに使われてるのだと思います。
◇◆◇
思いつく物を一頻りつくり、サンプルとして職人さん達に託しました。
生活雑貨などはリユート村へ、武具などはベースキャンプの職人さんが担当します。
残るはお酒や発酵食品の開発と、まだ未完成な魔鉱石の研究となります。
「どうですか? 達也さん」
「ん? ああ、理恵ちゃんか。 うん、なんとかなりそうだよ」
「まじで!? マジで漬物が食えんのか!」
「おお! 懐かしの食、日本の味が再現されるのですか!」
ダンジョンで手に入れたチーズを元に、錬金術で乳酸菌を抽出して増やし、現地の野菜を使って漬物の研究を開始しました。
他にも、小麦や大麦などの酵母も研究に乗り出し、エールの製法も視野に入れて、実益を兼ねた趣味に邁進中であります。
「いやー、錬金術のレベル上げも大変ですなあ」
「うんうん、錬金術は奥が深いよね」
「だな。 錬金術のレベルを上げながら、漬物や酒がつくれるんだから、すげえよな。 ほんと、マジで尊敬っすわ」
試作した漬物をいくつか用意して、適当に切って皿に盛り付け、爪楊枝をさして試食をすすめると、ニコニコと話し合いながら漬物を頬張ります。
「うん、うまぁ!」
「ほう、これはまた懐かしい味が…… うーん、美味しゅうこざいます」
「くーっ、白飯が欲しいぜ!」
ぱりぱり、ぽりぽりと漬物が咀嚼される小気味よい音に、野菜と乳酸菌が織りなす香りは、口の中に清涼な風味を残し、いい塩梅で漬かった野菜たちを噛むたびに、旨味が溢れだしてきます。
すっぱい物や、甘いものも好きな俺には、いい具合に漬かったお新香だけでも十分に満足できるのですが、やはり美味い漬物と、炊きたての白米の組み合わせは懐かしく、日本のごはんを想起してしまいます。
「やっぱり、お米が欲しいですねぇ」
「うんうん、お米は欲しいよね」
「はあ、米があればなぁ……」
「ですよねぇ……」
しみじみと懐かしの日本の味を噛み締めながら、白米を求めて止まない呟きは、日本で生まれ育ったからこその、ごく当たり前の心情であった。
◇◆◇
四人が、そんな事を思い過ごしている一方で、とある場所で修羅場に直面している人たちが居ました。
「うーん、ヤバいよー。 上は収まったけど、まだまだピンチなんですけどー!」
「大丈夫です? マスター」
そこはダンジョンの最下層、達也たちが探索をしていたダンジョンの心臓部で、一人は人種であり、もう一方はこのダンジョンのシステム管理を担うNPCアバターであった。
要するに、この会話の主である二人は、このダンジョンのダンジョンマスターと、そしてダンジョンコアが作り出した疑似生命体でありました。
「だってだって、まだあいつ等が居るんだよー。 上で好き勝手されてたネズミたちが居なくなっても、あの化け物たちが居座ってたら、何時までたっても地上に出られないでしょ!」
「落ち着いて下さい、マスター。 人種たちが倒したネズミのマナ(生命)回収で、DPが大幅に獲得出来ました」
そう、この二人はダンジョンの支配者であり、管理人でもある存在なのです。
今を遡ること、約一年と半年まえ、このダンジョンは生まれました。
ちょうど主人公、前島達也がこの地に降り立った時に発生して、ダンジョンとして機能し始めます。
そしてその半年後、このダンジョンは周りの魔物たちを引き寄せ、次第に取り込み、成長して行きます。
その間に周辺に存在していたゴブリン達が流れ込み、今や彼らがダンジョンの支配権を奪う為に住み着き、防衛システムであるダンジョンコアは、マスターとなる人材を召喚します。
そして、今現在を迎えている訳ですが、この状況は長く彼らを苦しめていました。
「もう、なんで私がこんな目に…… いい加減にしてよ! もうー!」
「大丈夫です、マイマスター。 我々の神が遣わした人種は、時期にこの事態の収拾に貢献してくれるでしょう」
「ホントかなあ? んー、その神様ってあれだよねぇ…… もう、マジでなんとかして欲しいんですけどぉ!」
「今回入手したDPを使い、彼らを支援しましょう。 防衛を強化して、人種と挟み撃ちをしても、十分なDPが御座います。 ご命令を……」
「むぅ…… やればいいんでしょ、やればあ! でも、これが終わったら、おやつにはプリンをだして貰うわよ! 生クリームものせなさいよ!」
「かしこまりました。 マイマスター……」
そんなやり取りを、ダンジョンの奥深くにある場所で行われている事を、主人公たちは未だ何も知らずに居るのでした。
ダンジョンマスターの口調を修正しまた。
ボク→私、男子から女子口調となりました。
※2020.5/20修正




