ダンジョンの不思議 その1
連続投稿…… は、厳しいかもですが、頑張ります。
ダンジョン探索の初日。
開始早々、探索を諦めました。
特段、何かがあった訳でもなく、単にダンジョンの構造が単純であり、次の階層への階段を発見出来たからであった。
もっとこう、何かがあっての断念なら、まだ詳しい話が出来るのですが、戦闘もあったのでその報告をしつつ、一度ダンジョンから出ようとなった次第です。
「……と、こんな感じでしたね」
「思ったより楽勝だったよな」
「うん、私一人でも活動出来る感じだよね」
「うーん、するってえとあれか、実戦を積むにはいい感じな場所。 そんな感じなのか?」
「ええ、実戦の少ない人であっても、一階であれば活動出来ますね」
ダンジョンの最初の階層は迷路はなく、ただ長い通路と少し開けた場所があり、曲がり道も然程なく単純な構造でした。
分かれ道も数か所ありましたが、そちらも単に行き止まりだったり、奥に採取が出来る場所があったりと危険度も低く、初心者むけではないかと結論に達しました。
「それと、何箇所かで取れたのですが、素材も回収しました」
「まだ、色々ありそうだったよね」
「うん、目ぼしいものはなかったけど、木炭が取れるとか意味が分からん洞窟だったぜ」
「ははは。 徹くんに掛かるとそうなんだけど、木炭があればここの燃料になるんじゃないかな? 料理とか、暖房とか用途はいっぱいあると思うよ」
そうなのです。 こういった理由もあり、ダンジョンを確保するにも、熱源や燃料といった資源を確保すべく、ダンジョンの探索を一旦切り上げ、この情報を持ち帰ってきたというのが、大きな理由のひとつでした。
入口から然程の距離もなく、200メートルも離れない所に木炭の取れる採取エリアがありました。
最初に発見したこの場所は、通路の奥に少し広めの場所があり、壁一面の所かしこに黒く焦げ臭い箇所があり、ピッケルで崩してみると木炭が出てきたのです。
確認のためにあちこちと彫ってみると、この一帯の壁から木炭が取れました。
それもおもしろい事に、どれだけ彫ろうとも壁は減らずに、調子にのった徹くんがつるはしを持ち出し、ガツガツと木炭の採取を開始します。
ですが、木炭の壁を幾ら掘り進めようとしても、一向にその場所から移動する様子もなく、延々と木炭を量産するだけで、一歩も動きませんでした。
小一時間の採取の結果、ダンジョンでの採取にはある一定量を産出するという決まりがあるらしく、帰りに一度覗いてみると再度の採取が可能となっていたのを確認出来ました。
「なるほど、時間が経てば何度でも採取が出来るのか…… すげぇな、ダンジョンってやつは。 ガハハハ」
「ええ、木炭だけですが、おおよそ100キロは取れましたね。 他の場所も、調査もしたいレベルでしたね」
今回確認出来た素材は、木炭と光苔、食材にもなるキノコや中和剤の原料となる湧き水が確認出来ました。
この湧き水は純度の低い魔力を含み、俺が鑑定した結果、中和剤に使う水の代用が可能とわかり、木村さんや理恵ちゃんが是非確保したいと要望がでた程の代物です。
錬金術やポーションには、多くの素材から成分を取り出し、効能を安定させる為の素材が沢山あります。
その多くの素材の中から、目的の効能を取り出し、効果を発揮させる為にも、安定させる中和剤となる素材が多岐に渡り、熟練より知識が大切な程に素材選びが重要となっています。
いくらレシピで作れようとも、やはりある基準で効果は打ち止めとなり、高水準の薬効を発揮するには、使われる水が大切であった事は俺も十分に理解していました。
その点でこの湧き水は合格どころか、薬師経験者一同を唸らせる結果と為りました。
ただ一人だけは、うまい水が飲めると喜ぶだけでしたが、この水を使って薬品の調合にトライしたいと、考えていたりしているのでした。
「うん、こりゃうまいな。 この水で酒をつくれば、かなりの銘酒になるかもしれんな」
「えっ? まじで? うまい水があれば、うまい酒もつくれるのか…… いいな、それ!」
「えーっ!? 駄目だよ、それ! お酒じゃなく、ポーションの方が先に必要なんだからね!」
「はっはっは。 お酒ですか、たしかに飲んでみたいですが、やはり今は薬の供給を増やすべきですね」
確かに、現在のこの地方に住む人々には、病気や怪我に悩まされている方も多く、村や町を護る仕事をする人達にも足りないので、最優先で回復薬が使用されています。
その分、町や村でも医薬品も足りず、怪我を治せずに悪化するケースが多いのだと聞きます。
リユート村産の回復薬の話は、そういった人々に希望の光となっているとか居ないとかの話も聞いています。
「取り敢えず、有用な素材を回収しましょう。 ダンジョン探索はその後からでも、出来ますし」
「ふむ、早速手配しないとな。 あんちゃん達には、その準備を頼んでも良いか?」
「ええ、そのつもりです。 ドワイトさんには、何時もお世話になってしまってますが、その内うまい酒をご馳走出来ればと思ってます」
「ふっ、まあいいってことよ。 だが、あんちゃんの言ううまい酒には興味があるな。 楽しみにしとくわ。 ワッハッハ!」
「おれもおれも! うまいもの賛成!」
「ほうほう、うまい酒ですか、いいですね。 ご相伴になりたいですね」
「もう、お兄ちゃんたら…… 達也さんがつくるお酒なら、私も飲んでみたいかも」
「「「ごちになりやす!」」」
こうして急遽、今後の方向性を話し合って、必要な行動を各自で準備に取り掛かり、ダンジョンの探索は一階を中心にして、活動を再開する事と為りました。




