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勇者さまは無双がしたい(仮)  作者: アイネコ
ダンジョン探索編
51/74

魔の森とダンジョンの危険

今週は、この回までとなります。





 徹くんが何気に拾ったり『ミスリル鉱石』は、ダンジョンの探索に新たな可能性を見出しました。


 この発見は大きく、武具の強化がいまより加速します。

『魔鉱石』の開発は未だならず、錬金術のレベルアップも必要なので、まだまだ時間が掛かります。


 現状では、鍛冶職人のレシピにミスリルの加工ならび、武具の生産レシピはあるので、もしミスリル鉱石が入手出来れば、より早く装備強化が捗ります。


 そして現在は、ベースキャンプに一度もどり、リユート村に人員の増援をお願いして、ダンジョン前の確保をすべく、部隊の動員をお願いしています。


「なるほど、そのミスリルとやらは価値があるんだな。 分かった、後はオレたちに任せろ。 あんちゃんは、あんちゃんの仕事を優先してくれ」

「ありがとうございます。 ドワイトさんにそう言って頂けると、心強いです」


「おっしゃー! ダンジョン探索に、ミスリル入手イベント来たぜー!」

「もう、お兄ちゃん! ちゃんと、達也さんの指示に従うんだよ。 あたし達の未来が掛かってるんだからね!」

「ははは。 年甲斐もなく、私もわくわくしてますよ。 楽しくなって来ましたね」


 この日はそのままベースキャンプで休み、翌日の朝にはダンジョンへ向かい、広場の確保を優先してから、ダンジョンに一度潜る事にしました。



 ◇◆◇



 翌朝も、早くに活動を始めたベースキャンプは、ダンジョン探索を念頭におき、人員の選抜が始まっています。


 俺たちは、そんなドワイトさん達に一声掛けてから、一足早くダンジョンへと向かいました。


 朝もやとまではいかなくとも、早朝の森はしっとりとした湿気が拡がっており、少しだけ肌寒く感じます。


 時折、風が通って枝葉が揺れ、朝露が地上へと落ちてきます。

 ポツポツと葉や草にあたる雫の音を聞きながら、俺たちは足早にダンジョンまでの道を進みます。


「そろそろ、向こうじゃ夏になる頃ですね」

「え? ああ、一年半でしたね。 ふむ、こちらだと四季がないので、すっかり忘れてましたね」


「夏かぁ。 プールとか海、家族旅行、楽しかったなあ」

「お兄ちゃんは、泳ぐの得意だったよね。 受験とかなければ、最近の夏はずっと家の中でゲームとかしてたけど……」


 ふと思い出した前世の話題は、意外と受けもよく、暫くはその話をしながらダンジョンまでの道を進みます。

 お互いの何気ない思い出に、一時の郷愁を覚えましたが、この世界にきてから、こういった話題に飢えていたのかも知れません。


 俺も、家族の話を久しぶりに語れて、少しだけで胸が軽く為りました。

 田上兄妹も、小さな時の記憶や、ご両親の事を思い涙を見せましたが、日本の思い出を共有出来る事が嬉しく、夏の思い出を語ります。

 そんな話を、木村さんは黙って聞き、自身の家族に思いを重ねたのか、目尻を拭っては優しく微笑んでいました。


「魔の森といわれるこの森も、こうやって歩けるのは、いいものなんでしょうか」

「そうですね。 俺の来た時分は、それこそ地獄そのものでしたけど、こういった森林浴みたいなのは、いいものなんでしょうね」


「魔の森かあ…… 魔物に出くわしたのって、最近ないよな」

「うん。 でも、こういうのって久しぶりに良いよね」


 静けさが支配している朝の森は、魔の森といわれ魔界に近い地ではあるが、魔物じたいに会わなければ、普通の森よりも過ごしやすさを感じます。

 元々が、マナの濃い地であり、豊かな森が拡がる実りの地であったはずの土地なのです。


「うーん、達也さんが居た時分を知りませんので何とも言えませんが、魔物がこうも居ないのも気になりますね」

「あ、それ、私も思いました」

「えっ? そうなのか? 俺は何も思わなかったけど……」


 そうなのです。 ここに来た当時の記憶では、ここはまさに魔界といえる土地といえました。

 日々、魔物たちと戦い血を流し、汗が乾くほどに動きまわり、必死に生存をかけた戦いの続く土地なのです。


 それがすっかり変わり果てて、今ではこうして昔の思い出話が可能な程に、清浄な空気が森中に拡がりつつあります。


 ダンジョンとは、もともと魔獣たちに荒らされた地を浄化すべく、魔物たちを封じる為に出来た施設とも聞きました。

 もしその話が正しければ、この地にいた魔物たちは、いったい何処へ行ったかと訊ねるのなら、その答えは自ずとひとつと為ります。


「あはは、やっぱり気付いちゃいます? おそらくですが、ダンジョンの中に居るんじゃないかと思います」

「ふぇっ!? ダンジョンにですか?」

「ああ、なるほど。 なるほどなるほど、そういう事ですか」

「えっ、えっ? な、なに? どういうこと?」


 俺は、ずっと抱いていた不安と仮説を打ち明け、それは木村さんも感じていた様子で、田上兄妹はその答えに疑問をもち、俺の予想をそのまま伝えました。


「マジかよ……」

「なにそれ、めちゃくちゃ怖い場所じゃん……」

「あっはっは。 うん、怖いよね。 この森にいたモンスター全部を取り込むとか、おかしいレベルだよね」

「そうなんですよ。 めっちゃ、ビビってますよ、俺……」


 俺は出来れば帰りたいと、言葉にしたいも言えず、逆にこれはチャンスであるとも感じていました。


 あの大量のモンスターたちを封じているダンジョンの制覇は、まず間違いなく危険であり、あの神の仕業であれば、その報酬は俺たちの想像を超えた物となる事は、間違いないと三人にも伝えました。


「よっしゃー! やる気漲ってきたぜ! インベントリとか、チートもありなんだろ! つうか、いいかげんよこせよな!」

「あははは…… お兄ちゃんならそう言うと思った。 んー、しょうがないなぁ」

「理恵ちゃん、頑張ろうね」


 俺たちはこうして、危険の待つダンジョンへと誘われて行きます。





今週は出掛けたせいか、体調を崩してしまい、まだ本調子ではありません。

もしかすると、もしかするかも知れませんので、次回は何時になるかは、控えたいと思います。

たぶん、ただの疲労だと思いますが、念の為に静養を取らさせて貰います。



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