装備強化にむけて
今週は、この回までとなります。
村までの、道の整備も一段落したところで、俺はダンジョン探索の準備を始めた。
徹くんには、引き続き道普請に参加してもらい、自己鍛練というレベル上げに勤しんで貰いました。
彼が街道の整備に貢献すれば、その評価と共に彼自身も良い傾向に向かいました。
そのせいか表情も明るく素直になり、皆の称賛によって前向きな思考をするようになっています。
いままでは、武器や防具にも恵まれず、彼の力量も中途半端にしか発揮できず、複数の職業やスキルを手にしてなかったのもあって、ステータスも一般の人と比べてあまり変わらぬ状態でした。
彼のレベルじたいは、普通に15を越えてましたし、ステータスも戦士むきの良い数値だったはずなので、武具に問題があったとしかいえません。
俺自身も、武具の脆さには諦めて、自分でつくったものを使い捨てにしてたのもあって、彼もそのジレンマに陥っていたのだろうと思いました。
俺には、自身が作成した武具を使い捨て出来たことが大きく、彼にはそれがなく、まともな戦闘すら出来ない状況が、彼ら兄妹を追い詰めていき、次第にネガティブな思考へと傾き、苛立つことが多くあったのだろうと推測します。
木村さんや理恵ちゃんも、そういった悩みに苦しみ、自分を追い込んでいったのも、理解出来ました。
なので、ダンジョン探索をするのなら、彼らの専用装備をつくるのも大事と思いつき、その準備を開始します。
俺自身も、だいぶ使い古された装備ばかりなので、ここいらで一新しようかと思います。
パーティー構成としては、徹くんが戦士系、理恵ちゃんが魔法使い、木村さんが僧侶なので、俺は盗賊で攻めようかと思います。
まあ、状況しだいでは、楯持ちや弓でも可能なので、一通りの装備を持っていくつもりです。
安全に探索するのであれば、魔道士系でガンガンいくのも有りだとは思うが、そうすると皆のレベルアップが遅れそうだし、戦闘時の立ち回りなどの経験値がたまらないので、今回の出番はありません。
いくらゲームにちかいシステムだからといって、ゲームのようにはいかないのも、ハンター達とのパーティー戦で経験しました。
意思の疎通や立ち回りなど、細かな打ち合わせと、お互いの力量にあった理解と信頼がないと、思わぬ怪我や油断にも対処出来ずに、あっさり全滅しかねないので、こればかりは実践で学ばなければなりません。
ソロで何度も煮え湯を飲まされた事も、突発的な対応に迫られた事も、今となっては良い経験となりました。
そういった状況に陥った時に、どういった行動にでるのかも、パーティー戦では重要です。
ソロなら、最悪ケツをまくって逃げればなんとかなるでしょうが、パーティー戦ではそうはいかないでしょうし、そこは経験をつんで、信頼を育むべきだと思います。
◇◆◇
「あれ? なにを作ってるんですか?」
「うん、ダンジョン探索用の装備をつくる準備だね」
「ほう、私もお手伝いしますよ」
俺がキャンプ地の工房で、新装備の素材を物色していると、理恵ちゃんと木村さんがやって来た。
「そうなんですね。 私も、お手伝いします」
「ありがとうございます。 それじゃあ、お願いしますね」
「何をするか、指示お願いします」
お二人の申し出に、俺は用意して欲しい物のリストをつくって、それを渡します。
理恵ちゃんには、薬品の調合素材、木村さんには鍛冶に使う錬金素材をつくって貰うことに為ります。
お二人が、それぞれの作業台に向かった後、俺は鍛冶場にある窯を撤去して、新しく溶鉱炉をつくる下準備に取り掛かります。
今回は新しい素材をつくりだす為の高熱炉に、それを鍛える為の施設を増設します。
キャンプ地の鍛冶施設は、基本的にメンテナンスの為の施設でしかなく、本格的な窯場はリユート村にしかないので、ここで造る窯場はその上の段階の窯をつくる事にしました。
はやい話、リユート村では色々と情報や製法が漏れやすくなってきたので、ここなら警備を強化することも容易いので、最新の施設を造るのに適しているという理由だ。
村までの街道整備で、多少のリスクはでるとは思うが、ここは魔の森、魔界の最前線となるので、まず心配はしてません。
逃げ場は無いですし、いざとなったら破壊してしまえば、何も残らないですし、村の人達にも使わせる予定はありません。
なんだかんだと、建築士と土木工事の施設建造のスキルで、新しい窯場は数日の間に出来上がり、理恵ちゃんや木村さんに頼んだ品もできた事で、新しい窯に火をいれる事となります。
「これって、坩堝ですよね」
「ええ、ご存知でしたか」
「うわぁ、あっついです!」
新しく設置した高熱炉には、木村さんに作ってもらった新しい燃料を使う為に、その鉄鉱石を溶かす為の炉に、白炭をぎっしりと詰めて火をつけた窯場は、熱気に焼かれていた。
今回の武具に使う素材は玉鋼で、そして木村さんが注目した坩堝で、新しい素材をつくる予定です。
「ところで、達也くん。 この砕いた魔石はなんに使うのですか?」
「あ、私も、魔石でつくった粉薬もありますよ」
「ああ、理恵ちゃんありがとう。 それはですね…… いまは秘密です」
精錬施設の片隅には、大量の砕いた魔石が積まれており、木村さんの質問に反応した理恵ちゃんが、魔石からつくった中和剤の素材を手渡してくれました。
この大量の魔石は『魔鉱石』をつくる為の素材と、粉は鉄と魔石の中間素材となるものです。
ただ、これは試験的…… というか、実験といってもいいレシピだけのものなので、うまくいくかは俺の錬金術と鍛冶スキルの熟練度しだいの事なので、いまははっきりと答えづらい質問でした。
「これは、どちらかといえば挑戦ですね」
「「挑戦ですか?」」
俺は、顔を引締め真顔で答えます。
「うまくいけば、新しい職業が手に入るかも知れませんし」
「ほう、新しい職業ですか」
「なんですか? 気になります!」
興味を示す二人に、俺は『魔工鍛冶師』の存在を告げました。
「ほう、エンチャント装備がつくれるかもしれないと、そういう事ですか?」
「えっと、魔術師だけでなく、お兄ちゃんの装備も、強く出来るとか、そういう感じですか?」
「うん。 今はまだ、魔工鍛冶師にはなれないから、なんとも言えないけど、魔鉱石のレシピと説明欄を見ると、そうなりますね」
俺の回答に、二人とも顔を驚きと思案のはざまに、何かを掴んだような表情へと変わり、久しく聞かなくなった言葉を発します。
「「チートきました!!」」
「あははは。 やっぱ、そうですよね」
いまだ熱気に溢れた鍛冶場の窯の前で、俺と木村さんは握手を交わし、理恵ちゃんは楽しいのか拍手をしながら、三人で笑いあいました。
今週は、色々と考えて書いてみたのですが、どうにもこうにもうまく言葉が浮かばず、読みづらいとは思います。
それは前作も含め、今作全般に共通ですが…… すみません。
今後も、こんな感じが続くかも知れませんが、よろしくお願い致します。
次回の更新は、4/18の0時になります。
次週も、よろしくお願いします。




