街道整備
今週も、よろしくお願いします。
木村さんと理恵ちゃんに、収入と預り金の事を説明したあと、俺の手持ちからそれぞれに一千ゴルドを渡し、今日の仕事に取り掛かります。
お二人はパーティーを組んで、森に素材収集に出掛け、俺はドワイトさん達が向かった街道の先へと行きます。
「はーい、倒れるぞー!!」
「「「あいよー」」」
メキメキメキ…… ざさーん
完成された街道の先では、ドワイトさん達が声を掛け合って、安全を確認しつつ伐採をしています。
「おー、やってますね」
「ん? あんちゃんか。 トオルが、頑張ってるのを見に来たのか?」
「はい、送り出したままでは、流石に無責任ですしね」
「ははは、あんちゃんは心配性だな。 まあ、問題はないと思うぞ。 ほれ、あいつ等の顔を見てみな、楽しそうにやってるぜ」
ドワイトさんが振り向き、伐採の仕事をこなす労働者にまじり、徹くんは汗を拭いつつも、楽しそうな笑顔が溢れていた。
「ふむ、やはり彼にはこっちが向いてそうですね」
「ん? なんのことだ、あんちゃん」
「んー、とですね。 彼には、理恵ちゃんたちの様にちまちました仕事より、ああやって身体を動かす方があってるんじゃないかなと、思ってたので……」
「ほう、あんちゃんは、そこまで考えてたのか。 ふむ、オレにはよく分からんが、確かにトオルじゃ、嬢ちゃんたちみたいな繊細な仕事よりかは、性にあってるだろうな。 ガハハハ」
労働者たちと働く徹くんを観察したあと、俺は例の岩場へと向かいます。
◇◆◇
川辺を走り、中間地点にある岩場には、一時間と掛からず到着しました。
河原には、野営の出来る開けた場所があり、ここで煮炊きや天幕を張って、何度か一夜を明かした事があります。
そこから少し北側へ向かい、大岩がある地点まで進みます。
川からあまり離れず、20メートルほどの距離をとって地図を広げます。
この地図は正確なものではないですが、川を中心にして書いた物です。
リユート村と、ベースキャンプまでの道を川にそってつくる計画なので、これでも十分に使えます。
測量とかの職業があれば、もっと正確な地図が出来る筈だが、測量をする為の機材が作れず、その方法も分からないので、断念した経緯がありました。
まあ、川にそって作れば、リユート村とベースキャンプまでの道は出来るので、問題はないものと考えています。
おおよその距離と方向を向いて、俺はスキル『鷹の目』を最大限で展開します。
高度にして、数百メートルはあると思われる鷹の目のスキルは、かなりの距離が見渡せます。
岩場からベースキャンプの方角へ、鷹の目を使って観測すると、はるか遠くに木を切り倒しているのが見えます。
川の上空と、ベースキャンプから伸びる道の上空だけがぽっかりと穴が空いたように見えます。
これで大体の方向もわかり、今度は大岩に登ってリユート村側を、鷹の目で観測します。
リユート村側を眺めると、キャンプ側より近い場所に、森を切り開いた道の場所が確認出来ました。
「あ、少しズレ始めてるな、こりゃ」
川辺にそって道をつくってはいるものの、そんなに長距離を把握出来ないので、川が曲り道が森の中へと、進む可能性が高くなっています。
「村側のマーキングが先かな」
そんな呟きをしつつ、鷹の目を解除する。
もう一度地図を広げて、先程確認した川の流れ方を、地図に修整を書き込み、街道のルートを改めて書き込んでいく。
「うん、こんなもんかな。 あとはこの地図を複製してマリーさんに渡して貰おう」
その後、俺は地図を片手にもち、村側の森の中を移動して、鷹の目で確認しつつ伐採予定のルート上の木に山刀で表面を剥がして、マーキングしてまわった。
村側の街道まで、7キロメートル強のルート上の木々にマーキングした頃、道をつくる村人たちと合流しました。
時間的に、お昼休みの休憩だったらしく、ちょうどマリーさんの所から派遣された責任者を呼んでもらい、複製した街道整備の地図を渡してから、俺も休憩にします。
渡した地図には、マーキングしたルートもしっかり書き加えているので、あとはマリーさんに任せる事にしました。
◇◆◇
軽い昼食のあと、俺はまた中間地点にある岩場にいき、周辺の岩を石工と土木工のスキルで砕きます。
下準備に石工となり、大岩の割れやすい位置に仕掛けを施します。
大岩の窪みや、割れそうな場所を探り、そこへ楔を打ち込んで行きました。
石工で打ち込まれた鉄の楔を、土木工員の大槌で力いっぱい振り下ろし、バカッ! と大岩が真っ二つへと割れた。
その後は、幾つもの大岩を割ってまわり、割れた岩をさらに砕いて、砂利や石材としてインベントリに突っ込んでしまい込みます。
「いやぁ、スッキリしたなあ。 こんだけ石材を確保出来たのも、嬉しいかも」
先程まで岩場であった場所は、すっかり様変わりしており、かなり開けた場所へと変貌していた。
河原もすぐ近くに見える様になり、街道が完成すれば休憩出来そうなくらいに、見通しも良い場所となるに違いない。
「さて、あとは明日にして、マーキングしながら帰りますか」
大岩を砕き、所々が土肌が剥き出しの大穴が見えていますが、森は次第に暗くなってきており、その日の作業は終わります。
「残る伐採と、道の整備は徹くんに任せて、サポートする程度かな」
帰りがてら、ルート上の木々に目印を刻みながら、俺は今後の徹くんの成長に期待していた。




