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勇者さまは無双がしたい(仮)  作者: アイネコ
ダンジョン探索編
34/74

ゴブリン殲滅

今週も、よろしくお願いします。





 ダンジョン前のゴブリンたちを排除すべく、俺はそっと忍び寄る。


 ダンジョン前に広がる広場には、明るい日差しはなくとも、光は差し込んでいる。

 見える範囲には、ゴブリンが数体居るがこちらに気づくものはいない。

 俺は杖を左手に持ち、右手を前にかまえ魔力を高める。


(よし、戦闘開始だ。 まずはド派手に行きますかね)


 ダンジョンに広がるゴブリンたちの住処に、俺は『ファイアボール』の連射を開始する。


 ぼぼぼぼ…… ボガーーン!!

 ドガドガドガーーン! と、ダンジョン前にファイアボールの爆音が轟く。


『ゲギャ、ゲギャギャ!』とゴブリンの声がするなか、俺は容赦なく、建ち並ぶ木の枝葉で作られた薄汚い小屋を破壊していく。

 恐らくだが、破壊された小屋にもゴブリンは居たのだろう、着弾と同時に叫び声も聞こえ、離れた場所からもゴブリンたちの声が聞こえてくる。


『『『グギャ! ギギャー!!』』』


 ダンジョンの前に広がる、ゴブリンたちの住処は次々とファイアボールで破壊され、俺が侵入してきた事も奴らにバレ始める。

 近くにある小屋は、ファイアボールで破壊され燃えている。

 そして、小屋ごと吹き飛ばされ、丸焦げとなったゴブリンが、あちこちに燃えながら転がっている。

 そんな状況のなか、騒ぎに気付いたゴブリンたちは、仲間が殺らていることに騒ぎたし、侵入者である俺に威嚇の声を発し、次々と走りだす。


 その行動を見ながら、ファイアボールの連発で消費したMPを回復させる為に、インベントリからMP回復ポーションを右手で取り出し、口でポーション瓶の栓をこじ開け、その中身をいっきに飲み干す。


(うーん、不味い。 後味も最悪だ……)


 ステータスを一瞬だけ開き、MPが回復したのを確認し、ファイアボールの連射を再開する。


 今度は、叫びながら走り寄ってきたゴブリンたちにファイアボールが炸裂し、爆発と炎に焼かれ、次々と吹き飛んでいく。


 一方的な攻撃は続き、俺は次第に疑問を抱く。


(なんでだ? 近くにもゴブリンは居るはずだよな)


 攻撃を開始してから、すでに5分は経ってる筈だが、一向に増援がないことに気付き、居るはずの親玉さえも姿を現さないのである。


「なんでだ? ボスは何処に行った? 居ないのか?」


 俺は疑問に思いつつも、MP回復ポーションをあおりつつ、ボスが居るはずの小屋に向かって前進していく。


 すでにゴブリン達を粗方吹き飛ばし、魔力感知であたりを調べ、物陰に転がるゴブリンに一撃を撃ち込み、確認しつつゴブリンの住処を奥へと進む。


 そこで俺は不安になるも、ゴブリン達を殲滅したことに唖然とした。


「居ねぇじゃん! 何処に行った?」


 バチバチとなる生木が爆ぜる音を聞きつつ、注意深く辺りの魔力を探る。


「えぇ…… マジで居ないのか。 まさか村に行ったとか、ないよな……」


 俺は、破壊の限りを尽くしたゴブリンの集落で、一人佇んでいた。



 ◇◆◇



 ゴブリンたちを殲滅したあと、俺はベースキャンプへと戻った。


 あれから一通りの調査はしたが、あるのは奴らの死体と、燃え落ちた小屋の残骸だけであった。

 とりあえず、倒したゴブリンたちを処理した後、奴らが戻って来ても問題ないように、色々と素材や魔石を集めたあと、すべてをファイアウォールで焼き尽くした。


 ベースキャンプにある広場に集まり、夕暮れのなかで焚き火をかこみ、ドワイトさんたちに事の成り行きを報告しているところである。


「うーむ、あんちゃんの言い分は分かった。 無茶したことをとやかく言うより、いまは村の安全を確認すべきか。 ケント、数人連れて村に行ってくれるか」

「分かった。 明日一番で行ってきます」


 俺の報告を聞いたドワイトさんは、リユート村の確認の指示をケントさんに伝え、ケントさんは了承する。


「大丈夫ですかね? 俺が、確認にいった方が早くないですか?」

「いや、あんちゃんは無茶しすぎだ。 いま、あんちゃんがすべきは休息だろ。 それに、今から行っても間に合わんし、リユート村の防備はあんちゃんがよく知ってるだろ? 村の連中を信じろ」


 ドワイトさんは、俺の心配に苦言を漏らすように諌め、村人たちの事を信じろと言う。


「そうですね…… 出来る事はしてきたのですから」

「おう、あの防備で防げないなら、相手が悪かったとしかいえんな」


 ドワイトさんはふっと笑いを漏らし、苦笑いを浮かべた。

 焚き火のあかりが辺りを照らすなか、主だったメンバーの顔を赤く照らす炎がぱちぱちと鳴っていた。

 そして、少しの沈黙のなかでふっと誰かが立ち上がり、腹が減っては気が滅入るだけと発し、集まった面子は腰をあげて同意する。


「よっしゃ、オークの肉まだあったよな」

「おう、食うか?」

「ああ、明日の為に食うに決まってるさ!」

「「「肉だ、肉持ってこい!!」」」


 オークの肉は燻製に加工し、大半はリユート村に運ばれるので、生の肉は少なくなってるが、みんなが食べる分には余裕はある。

 各々が気分を変えようと立ち上がり、調理場に向かう姿をながめ、俺は呟いた。


「はは、逞しいですね」

「あたぼうよ! 肉食って寝れば、大概はなんとかなるもんよ。 だが問題もあんぞ、あんちゃん」


 真面目な顔つきになったドワイトさんに、俺はつばを飲み込み訊ねる。


「えっ? それは……」

「ここにゃあ、酒がないんだわ。 ガハハハ」

「「「それは言わんでくだせえ!」」」


 ドワイトさんの指摘に、その場にいた全員が笑った。




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