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勇者さまは無双がしたい(仮)  作者: アイネコ
ダンジョン探索編
31/74

忍び寄る恐怖

今週も、この回までとなります。





 リユート村での補充も終わり、俺はドワイトさん率いるハンター達を連れて、魔界の森を抜けた先にあるベースキャンプへと向かった。


 今回の移動は、俺を含めて9名の移動である。

 俺は盗賊となって、ハンター達の安全で迅速な移動をサポートする役を担った。


 その甲斐もあってか、二日の行程が一日となり、なにも起きずにベースキャンプへと辿り着いた。



「んー、思ったよりいい場所だな」

「そうですか? まだ何もない所ですよ」


 ベースキャンプに到着後、ドワイトさんの感想に俺は少し申し訳なく答える。


「いや、水場もあって柵も囲ってあるんだ、魔界の森でこれ以上期待したら、バチが当たらぁな」

「そうですか? まあ、皆さんがそう言ってくれるのであれば、問題ないのでしょう。 しかし、明日からのこともあるので、しっかりと休める寝床をつくりましょうか」


 俺の指示で、ハンター達も寝床の確保にむけて動き出した。

 材木などは、既にキャンプ地に溜めてあるので、寝床となる土地の整地と天幕を張って一夜を過ごし、その日は終わった。



 ◇◆◇



 翌日、朝も早くから起き出した男たちは、ベースキャンプに自分たちの住処をつくりだす。


 木材や石材などの建材は豊富にあるので、必要な分の建材はスキルで作成して確保した。


「それじゃあ、偵察に行ってきますので、材料が足りない場合は教えて下さい」

「おう、大丈夫だ。 あんだけありゃ、何日かは持つしな…… あんちゃんこそ、そんなんで大丈夫か?」


 俺は装備を整え、一声掛けてから偵察に出掛けようとしたが、逆に声を掛けたドワイトさんの手が止まり、心配そうな雰囲気を醸し出す。


「えっと、大丈夫ですよ。 これは魔法使いのローブですし、けっこう動きやすいんですよ」

「…… ちょっと待て、あんちゃんは魔法使いなのか?」


 ドワイトさんの表情は一瞬かたまり、俺の職業に疑問を投げ掛ける。

 これまではずっと前衛職を務めてきた俺に、後衛職のイメージは合わなかったようである。


「ええ、今は魔法職に就いてますが、これでも十分戦えてますよ」

「なっ! マジか…… まあ、あんちゃんは回復魔法も使えるんだったな。 ふむ、オレたちが今更心配しても仕方ないか、何かあれば言ってくれよ。 何時でも協力はすっからな」


 俺の言い訳に驚き声をあげたが、ドワイトさんの表情は眉を歪めつつも考えを口にだし、少し呆れの混じった口調で協力を申し出てくれる。


「ありがとうございます。 何かあれば、その時はお互いに助けあいましょう」

「おう、土産も期待してっからな! ガハハハ」


 俺の返答に、ドワイトさんはいい顔で笑い、快く送り出してくれる。

 まあ、俺の奇行はいまに始まった事ではないし、全幅の信頼があるからこそ心配でありつつも、笑って送り出してくれるのだなと思う。



 ◇◆◇



 ベースキャンプをでた俺は、ゴブリンたちが支配しているテリトリーへ向かう。


 現地に到着後、魔力感知を使い索敵を開始。

 その結果、予想していた様に以前と変わらない数のオークとゴブリンたちが徘徊していた。


「なるほど、やっぱりダンジョンで間違いないな」


 俺は呟きながら、今後起こりうる魔物たちの氾濫スタンピードを連想した。

 リユート村で、マリーから聞かされた内容はいまいち実感を持てなかったが、たった数日も経たないうちに戦力が回復している事に納得がいった。


「うーん、まずいな。 思ったより長期戦になりそうだぞ」


 そう結論づけながら、俺はノルマの達成を目指し、ゴブリンたちの群れに走りだした。



 ◇◆◇



 その日のノルマを達成して、キャンプ地に俺は帰還する。

 時間にして、午後の四時前といった頃合いだ。


「おう、やっと帰ったか、あんちゃん」

「はい、なんとか無事に、もどれました……」


 ベースキャンプに戻った俺をみて、ドワイトさんたちは迎えてくれた。


「ん? 大丈夫か? だいぶ疲れてるみたいだが」

「ええ…… ちょっと、魔力を使いすぎた、だけです。 あぁ……」


 俺はそう返事を返したと同時によろめき、その場へと座り込んでしまう。


「おい、大丈夫か? 初日で無茶するとか、あんちゃんらしくないな」


 ドワイトさんの指摘に、俺は二の句が継げなかった。


「すいません……」

「まあ、何かしらあったんだろ。 飯の支度はすっから、あんちゃんは休んでくれや。 報告は後で聞くがな」


 へたり込む俺に手を差し伸べるドワイトさんは、苦笑いを浮かべつつも助け起こしてくれた。



 ◇◆◇



 前日に魔力を使いすぎて寝込んでしまったが、翌日の朝にはすっきりと目覚め、魔力は元にもどっていた。

 そんな早朝、朝飯の準備をする為に炊事場に行くと、ハンターたちに阻まれてしまい、手持ち無沙汰となった俺は、ドワイトさんに何もするなと注意されてしまう。


「えっと、すいません……」

「ん、そう思うなら、オレらをもっと頼れ。 あんちゃんは強いが、もう一人じゃないんだ」


 なぜこんな会話になったかは、寝る前に報告した森での出来事が発端となっている。


 その内容は以下の通りである。

 前回の狩りと同様に、100体討伐のノルマを達成した俺は、ゴブリンたちの執拗な追撃を受け、撤退する時期を見誤ってしまう。


 その原因となったことは、偏に自身の過信よる判断ミスである。

 ようするに、俺が傲慢であったと言うことだ。

 豊富な魔力と上がったレベルにより、ゴブリンたちとの力の差は歴然としており、火の粉をはらう程度と、奴らをなめていた。


 数の暴力とはよく言ったもので、実際に味わうと話は違っていた。

 次々と襲い掛かってくるゴブリンたちの勢いは止まず、まさかそれが罠であったなどと、その時点では思いもしないものであった。


 間断なく続くゴブリンによる襲撃に、すっかり周囲を包囲されていた事に俺は気付かず、一気に攻立てられてしまい、逃げ場は無くなった。


 俺は、その時点で逃げ出した。

 それこそ、必死といっていい程の逃げっぷりであった。

 なぜなら、ヤツの気配を感じたからである。


 初めてみたゴブリンたちの狩りで、あの無双を繰り広げていたイノシシを瞬時に倒した存在は、今も頭の片隅に記憶として焼き付き、畏怖を覚えたからこそ、即刻逃げ出したのである。


 そこからは余り記憶がない。

 脱兎のごとく走りだし、どうやって逃げたかも定かではないし、何処を通ったかさえも分からず、魔力が尽きかける程に必死であったことは間違いない。

 気付けば何とか森を脱出し、ベースキャンプまで辿り着けたという記憶しかなかった。


 で、この状況であるのだが、心配どころか逆に怒られてしまい、仕方なくドワイトさんの指示に従うことを約束して、今に至る。


 すべては俺の慢心が呼んだ事態なので、ドワイトさんの支持どおりに、今日は何もせずに過ごす事となったのであった。




次回は、3/14の0時更新となります。

次週も、よろしくお願いします。



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