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勇者さまは無双がしたい(仮)  作者: アイネコ
ダンジョン探索編
29/74

職業とは……



 キャンプ地を出発した俺は、オークとゴブリン達が待ち受ける地へと向かった。


 敵地には、一時間しない程で到着し、戦いを前にして瞑想に耽る。

 わずか数分の間で、移動による疲れもなくなり、俺は覚醒する。


「うん、感じる。 魔術を使う人たちは、こんな感じに見えて居るのか……」


 俺は深く暗い森の中で、目を凝らして辺りを覗う。


 ぼんやりと何かを発し続ける木々や草、処々から流れ出る妖しい雰囲気を肌から感じ、自身の感覚が過敏に反応する。

 なんと表現すべきか悩むが、これが魔法使いがもつ『魔力感知』という職能か。


 この世のあらゆる場所と、生命には何かしらのエネルギーが流れており、それがこの世界を支えている『力』と云われている。

 そして、その『マナ、魔力、魔素』と様々ないい方があれど、この世界を駆け巡る『力』を蝕む存在が、この世に蔓延る『魔獣』と云われた、モンスターたちである。


「なるほど、これが魔界といわれる所以なのか」


 ぴりぴりと肌を蝕む感覚は、頭を切り替えればあまり気にならないとはいえ、けして良いものではないと認識できる。

 ハンター達であっても、一度この森に入れば不快を感じ、弱き者であれば、たちどころに精神を病むと云われている場所である。


 まあ、俺が来たときもあまり良い場所とは感じなかったが、ここまで汚染が進んでいると分かれば、皆が心配する気持ちも分かる気がする。


「よし、無理はしない。 だが、ここからが()()の始まりだ」


 俺は改めて、この世界での生き方を認識し、与えられた力を以て生き抜こうと覚悟した。



 ◇◆◇



 ゴブリンたちのテリトリーで、火の手があがる。

『ギャアァ、ゴアァ』という、何度も悲鳴が森の中を木霊した。


 俺は、魔力感知で索敵をしつつ、ゴブリンやオークたちを焼き払っていく。

 数が多ければ、催涙ガスや手榴弾を使い、数が少ない時にはボウガンで撃ち抜き、反撃を受けよう時には容赦なく、魔法で焼き払った。


 倒した後は勿論、魔石を回収して、残る遺体をまとめて焼却する。

 なんでも残された遺体は、他の動植物にも影響を及ぼしているらしく、年々モンスターのテリトリーが増えていくとの事である。


 最初は、火炎瓶でも燃やしていたが、どうしても燃やし尽くせない様子であった。

 だが魔法を使い焼いてみたところ、あっけなく焼却に成功する。


 そうか、魔力の炎であれば燃やし尽くせるのか、という結論を得てからは、火炎瓶の使い道はなくなっていった。


 そんな戦いを続け、あっという間にレベルが上昇。 持ち込んだアイテムは、回復系を除きすでに無くなっている。



 前島 達也(23)

 HP 198/198

 MP 235/235

 職業 魔法使いLv18

 技能 杖術Lv2

 魔法 攻撃魔術Lv6、弱体化魔術Lv2、防護魔術Lv2

 使用可能魔法 ファイア、ファイアボール、ファイアウォール、ウォーターショット、アクアウォール、ストーンバレット、ストーンウォール、ポイズンミスト、ダークミスト



 魔法使いの戦い方にも慣れ、防御や弱体系の魔法も獲得し、ソロでも問題なくオークやゴブリンの集団を、あしらうまでに成長を遂げた。


 付け加えていうと、戦闘時の立ち回りは戦士系の経験を活かしているのもあり、回避や隠密行動においても、狩人や盗賊などの斥候系技能も地味に役立ち、これまでに成長させてきたステータスが、多数の敵をも物ともしない力で圧倒しせしめた。


「魔法使いが、木々の合間を飛びまわるとか、おかしいよ。 殴ろうとして近寄ったのに、逆に殴られ焼かれるとか、たまらんだろう。 うん、ないな。 もう魔法使いではないよ、これは……」


 チートな魔法使い、そんな感じのフレーズに居たたまれず、頭を横にふり思わず呟いた。


 職業とはなんぞ? チートスキルという話は、学生時代の仲間内には聞いてはいたが、自分が育てた能力を使い、不正チートと断罪されるのであれば、この世界で生き抜くことは難しいと思う。


 神に与えられた俺の力が、この世界の人達からして、異質なのは分かる。

 チートスキルではない、職業で培ったステータスと経験は、己が努力して得た能力ともいえるのではと思うも、結果がこれである。


 だが、これは生存を賭けた戦いである以上、チートな魔法使いでもありなのだと、俺はそう思うことにした。


「これが魔法使いだと問われれば、俺でも否定するがな! はっはっは」


 開き直ると同時に、集めてきた死体の山をファイアウォールで囲い、すべてを焼き払った。


 その後は、アイテムの補充や収穫物もたまってるのもあり、キャンプ地の荷物を整理したのちに、リユート村へと帰還する。




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