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勇者さまは無双がしたい(仮)  作者: アイネコ
ダンジョン探索編
27/74

気になる存在



 ゴブリンのテリトリーに、異変が起きた事を調査すべく、俺は隠密行動をとる。


 まずは、前回とは違う存在、イノシシ頭の人型モンスターをひとまずオークと命名。

 なぜオークがゴブリン達を従えているのか、それを調べる為に奴らの巣の在り処を目指すことにした。



 俺は、オークが指揮するゴブリン達から身を隠し、木の枝葉に埋もれながら鷹の目で偵察をしている。


「んー、なんか数が多くないか? 前は二三(にさん)体の行動だったはず……」


 以前は、少数のゴブリンがうろつく感じであったのだが、オークが二体、ゴブリン六体が一団となって行動している。


「もしかして、チームを組んでいるのか? うーん、もう少し奥を調べてみるか」


 森の木を隠れ蓑にしつつ、隙きを見つけては木々の合間を進み、奴らのテリトリーの奥へと移動する。


『ゲキャゲキャ、フゴフゴ』と、何やら会話をするモンスターの声は、森の木々が音をかき消し吸収していく。


 ざざざ、さわさわと風や動植物が囁く音で、この森の深さを認識する。

 歩けば草がなり、靴底で踏みしめれば音が鳴るのは避けられない。

 そんな緊張を孕みつつ、ゴブリンとオークたちをやり過ごし、木々の間を移動していく。


 そして、約一日をかけてオーク達が支配している、ゴブリンの集落を発見した。

 だが、俺の予想に反して、集落の支配者はオーク達ではなく、その様相も大きく違っていた。


 どうも、外へ向かうゴブリンは少ない。 オーク達は、ゴブリンを率いて見回りをしている節がある。

 さらに、もう一つ気になる点がある。 その集落の奥に、大きな岩が見える。


 鷹の目を使い岩を確認したところ、20メートルはあろう巨石の中央部に大穴を確認。

 そして、その大穴へとゴブリン達が、ひっきりなしに出入りを繰り返していた。


 俺はまさかと思い、そのゴブリンの集落を監視し続けた。

 どうも様子が変だと、しばらくして気付いた。

 まず洞窟に入っていくゴブリンの数と、出てくる数があわない事と、そして何やらを運び出している節がある。


 その後も偵察を継続して、明らかとなった事が二つある。


 例の巨躯のゴブリンは未だ健在であり、集落の支配者としてオークを従えていた。

 もうひとつは、洞窟から食料が運び出されている事と、何かしらの石がゴブリンのボスに献上されているのだと、予想される。


 結論からいうと、まず間違いなく、あの洞窟は『ダンジョン』であると俺は判断した。

 問題は『ダンジョン』であるなら、こいつらを排除しなければならないという事だと思う。


「これは、どうするかな。 排除するのも骨が折れるな、こりゃ……」


 監視を続け、だいぶ慣れたのだが、獣特有の臭いが立ち込めるその集落には、おおよそ五百体を超えるモンスター達がひしめいていた。



 ◇◆◇



 ゴブリン集落の偵察終えて、俺はリユート村に戻ることにした。


 目的は、『ダンジョン』と思われる洞窟の発見と、ゴブリン集落の存在の報告。 またそのゴブリン達の排除をする為の準備といったところである。


 そして、二日後。 リユート村に帰還した。


「ただいま戻りました」

「お、お帰りなさい、タツヤさん」

「あんちゃん、お帰り」

「ご無事でなによりです」


 俺の帰還に、村の皆も労いの声を掛けてくれた。


 そして、その日の夜は報告を兼ねて、情報の共有と今後の方針を話し合い、約一週間ぶりの宴で幕を閉じた。



 ◇◆◇



「あんちゃんも、大変だな」

「まあ、仕方ないですよ」

「タツヤさんだけでなくとも、良いのでは?」

「うーむ、村の警備もありますから、難しいところですぞ」


 翌日の朝、村の集会で話し合いが持たれていた。

 なぜなら、達也が出立の準備に取り掛かり、一人でゴブリン集落の排除を、画策しているのがバレたからである。


「あま、無理はしませんよ。 ちょっとした作戦を試したいと思ったので」

「どんな作戦だ? あんちゃん」

「一人なのですし、危険なことと変わらないですよ。 私は反対です」

「まあまあ、マリー殿。 タツヤ殿にも、お考えがあるのでしょうし……」


 達也は飄々と答え、ドワイトは作戦が気になり、マリーは断固として反対、村長は皆の間をとりもち宥めている。


「今回の目玉はコレです」

「これはもしかして……」

「ほら、危険じゃないですか!」

「まあまあまあ……」


 達也の手にしていた物は、爆薬であった。

 そして、それぞれがその作戦とやらが、どんなものか分かり、呆れ顔で応えて見せたのである。


「やれるだけやってみて、駄目なら戻ってきますよ」

「はは、あんちゃんなら大丈夫だと思うが、無茶はすんなよ」

「私は反対です!」


 とまあ、話し合いは半ば終わり、俺は準備を完了させて、その翌日には村を出立した。

 マリーさんには悪いと思いつつ、こればかりはいち早く片付けたいので、俺はこっそりと村を抜け出したのであった。




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