次のステップに向けて
少し短いですが、今週はここまでになります。
マリーが紹介する移住者たちは、基本的に若者たちであった。
誰もが若くして実家から独立し、口減らしとなった若者が中心である。
そして、職人志望の移住者も、また年若い駆け出しの職人たちであった。
俺は、そんな彼らに指示をだした。
ハンター志望の人はドワイトさんに、農家志望の人は村長さんに、職人志望の人は俺が担当して、育成すると決めた。
最初は農家志望の人達が多く、次にハンター志望の若者たちが増えていき、職人志望の人達は少なかった。
まあそこは仕方ないと諦め、職人志望の人達の指導を始めた。
まず誰がどの職人を目指すかは本人の希望を聞き、その適正を見極めることにした。
まず薬師の職人を目指す人達は、そこそこの腕前を持っていると分かった。
なんでも、この森で採れる薬草は質も良く、近隣の街には腕の良い職人さんがいて、その人が若手の指導を兼ねて、仕事を熟しているのだとか聞いた。
たまたま、マリーが移住者を募る話を聞き、仕事にあぶれた若手の職人たちに伝わり、移住に応じたという話であった。
次に鍛冶職人であるが、こちらは仕事を手伝っていたという若者であり、職人を目指すかは怪しかった。 しかも、たった一人である。
まだ始めたばかりではあるし、育成は時間も掛かるので、それぞれの仕事を割り当てたり、俺が作るのを実際に見せたりして、その様子を見ていく事にした。
勿論、スキルに依った製作と、手による(レシピ)作成を実際に見せて、その違いを示してみせた。
俺のスキル製作は一定の品質の物をつくるのには適しており、レシピ作成は作り手の職業レベルに依って、品質が変わる仕様となっている。
この違いはかなり大きい。
レシピを使った作成は、物を初めて作る時には重要であり、その成功率と品質を高めるのに適した作り方である。
かたや、スキルに依った製作は設備が重要であり、作る物に対してスキルレベルが足りていないと、作れないという敷居の高い作り方である。
だが、その制約さえクリアできれば、そのスキルレベルに適した品質のアイテムを、素材の許す限り量産が可能である。
もはやチート製作ともいえる、神から与えられた力であった。
◇◆◇
リユート村に移住した人達がそれぞれの仕事をこなし、村での生活にもなれて、三カ月が過ぎようとしている。
そんなある日の午後、村の一画にある職人通りの薬師たちの職場に、村の有志たちが集まっていた。
「どうですか?」
「あ、はい。 こんな感じでどうでしょう」
HP回復ポーション【品質:普通】
通常品質の回復ポーション。 HPを20〜30ポイント回復可能。
「はい、合格ですね。 お疲れさまでした」
「あ、ありがとうございます! やったー!」
薬師職人見習いの最後のひとりが、薬師の難関である回復ポーション作成の成功を収めた瞬間である。
通常の品質ではあるが、この世界でスキルを獲得せず作ると、まず作るのも難しく、指導により作れるまでの修行期間が、何十年も掛かると云われる代物なので、これでも立派な完成品である。
「お疲れさまです。 これで薬師の方々は、何処にいってもやって行けますね」
「そうですね。 何処かに行かれては困りますが、そういう事ですね」
「「「ありがとうございます!」」」
薬師として一流となった彼らは、リユート村の財産といっても過言ではないので、この後マリー商会の専属契約を結び、この村で働くこととなった。
現在のリユート村では、様々な物が作られている。
先程の回復ポーションもそうだが、主な産物として、燻製や保存食、炭や白炭に薪などの燃料、煉瓦や材木、合板などの建材、錬金術による肥料やそれで育てた農産物などが挙げられる。
出荷している種類はまだまだだが、来年からは確実に売上に貢献することは間違いないと、マリーさんから太鼓判を貰えた。
残された問題は、鍛冶職人の育成なのだが、それは入荷する鉱物の量が少ないのもあって、入手するルートを探しているとのことだ。
だが、マリーさんからの情報によると、ダンジョンからは基本的に産出される資源というのもあり、そのダンジョン探索を開始するタイミングを見計らっていた処でもあった。
「そろそろ、ダンジョンを探す頃合いですかね」
「そうですね。 うちの商会もだいぶ潤いましたし、何時でも準備は出来ています」
「オレらも準備は出来てるぞ」
「村のことはお任せ下さい」
最後の難関である、職人の成長を見届ける為に来ていたマリーさんを始め、村長やドワイトさんも、俺の呟きに同意を示してくれる。
明日からは別の意味で忙しくなるなと、計画は次の段階へと進む。
次週は2/29の0時更新となります。
次回から新章となります。
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