バージョン2へ
今週は、この回までです。
きり的には、良いのかも知れませんが……
申し訳有りませんです。
マリアンヌさんとの交易で、俺は念願の銅と鉄を手に入れた。
この日の為に造った施設をフル稼働させるべく、翌日の朝から鍛冶仕事を開始した。
鉄を溶かす為の高熱炉もそうだが、鍛冶の精度を上げる為の金床や火床、やっとこなどの道具を揃えなければならない。
ハンマーや金床と火床は既にあるので、やっとこなどの道具を作ってからが本番である。
朝から、トンカントンカンと煩くするのは迷惑かなと思い、ご近所さんに挨拶しがてら説明すると、一向に構わないと了承を得られた。
なんでも、鍛冶屋が朝から仕事をするのは当たり前で、鍛冶の音が聞こえるのは、村がそれだけ発展したという証なんだと、逆に喜ばれた程であった。
なので、一通りの挨拶をした後は、思う存分鍛冶仕事をこなし、鍛冶師のスキル上げに勤しむ事が出来た。
◇◆◇
鍛冶仕事を始めてからの一週間は、あっという間に過ぎ去った。
俺の装備品は元より、ハンター達の装備品も一新させた。
今まで使ってきた物は、予備の為に確保して、ナイフや鉄の鏃も作り、狩りの効率を上げていく。
そして、出来上がったのが……
達也の装備品
片手斧×2挺、バックラー、ライトアーマー(胸当て)、革の服、革のズボン、ウエストポーチ、革の小手、革の脛当て、革のブーツ
という、若干世紀末風の見た目となった。
まあ、この村のハンター達も似たようなものなので、どこの世紀末かは言わぬ事にしよう。
◇◆◇
俺とハンター達の装備品が揃った事で、北の森での狩猟が本格的となった。
俺は6名程のハンターを引き連れ、イノシシ狩りを進めた。
そして、別働隊として薬草やその他の素材回収と、木こり達の班を組織して貰った。
イノシシの数が少なくなれば、北の森での採集は楽になる筈なので、俺はイノシシの狩猟に精を出した。
それから二週間が経ち、森での採集や収穫も安定した。
上質な薬草や薬品の素材、白炭になる木材、イノシシの肉や素材など、次回の取引の元となる材料は確保された。
あとは、リユート村の村民の生産が何処まで進むかだが、燻製の技術もだいぶ進んだ様なので、あまり心配はしていなかったりする。
リユート村での仕事をしつつ、鍛冶師と薬師の後継者を選び出さないと駄目だし、この村での目標を済ませないといけないので、時間がある内にその話しを、村長さんに振っておく事にしようと思う。
◇◆◇
来週のマリー商会の到着にあわせ、ポーションや白炭の生産を進めていると、一通のメールが届いていた。
「お! やっと来たか。 なになに……」
ウィンドウを立ち上げ、メールを開くと、次のように表示されていた。
『トロフィー獲得、おめでとうございます!』
ブロンズトロフィー:経験値獲得10万ポイント達成。
報酬、追加報酬に1万円増額(指定口座振り込み) 次回より13万円(指定口座振り込み)となります。
システムのバージョンを1.02に更新しますか? <YES·NO>
「おお! ブロンズトロフィーの報酬まであんのか、これはやる気が出るな。 頑張るぞー」
思わぬ内容であったが、これは嬉しい誤算というか、トロフィー獲得による仕送りの増額には、テンションもあがり、つい声に出してしまっていた。
勿論、システムのバージョンアップも忘れずにYESを選択する。
そうか、やるな邪神のくせに。
やっぱゲームとか好きな神なんだな。
異世界転生のマンガとかも、好きなんだろうな。
バージョンアップで便利になったと思ってたけど、トロフィーだとか色々と考えて、俺のやる気を出させるとか、絶対今度のバージョンアップにも何かしらあるんだろ? ちくしょう!!
乗ってやろうじゃないか! ぜってえ、負けねえかんな!
俺は改めて、あの〇〇野郎に誓った。
そんな感じで意気込んでいる中、不意に『ピロ〜ン♪』と頭の中で電子音がなった。
《バージョンアップ完了しました》
システム再起動を開始します。 再起動中……。
……。 ……。 ……。
システムの再起動を確認。
……完了しました。
システム1.02を開始。
『これより、バージョン2へと移行します』
視界の下方に流れる文字を追っていると、不意に女性の音声で、バージョン2へと聞こえた。
「はあ!? 1.02じゃないのか?」
その俺の疑問は、すぐさま次の雑音により掻き消された。
『あーあー、マイクテスト中、マイクテス、テス、テス…… コン! コンココン! キイィイーーン!!』
「うっせー! なんだこれ!?」
突然の大音量と、金属音が脳内を駆け巡り、俺は叫びながら頭を抱えて、もんどり打ってしまう。
『おおー、ゴメンゴメン。 ボクだよ、久しぶりだねー ハッハッハー』
「ぐっ……」
頭を抱えてうずくまってのに…… なんなんだ、こいつは!?
『なんだい、シカトかい? 相変わらず失礼だね、君は。 でも、まあいいか。 今日はね、頑張ってる君に朗報を持って来たんだよ。 聞きたい? 聞きたいよねー。 ん?』
「……なんの用だ」
なにが朗報だよ! ただの嫌がらせじゃないのか? だったら、許さんぞ!
『お! 怒ってるのかい? あっ、そうだった。 君の了承も無しにこっちに転生させた事を怒ってるんだねー。 まあ、ボクも完璧じゃないし、そこは素直に謝るからさあ、ごめんねー』
「……わかった。 もういい、用件を言え」
相変わらず、とんちんかんな野郎だ。 心は読めてんだろうがよ! 分かってんだぞ!
『ハッハッハー、ありがとー。 じゃあ、手短にいくね。 さっき送ったバージョンアップの件なんだけどね、ちょっとしたミスでバージョン2が開始されちゃったんだよ。 それで、仕様が変更されたと思うんだけど、説明とか解説書もまだ更新してないままなんだよね。 で、直接ボクの力で更新しようと、こうして特別に来たのさー。 はい、更新完了。 完璧だね、ハッハッハー!』
「……もう、いいよな。 終わったんなら、さっさと帰ってくれ」
『なんだいなんだい、つれないなー、まだ朗報を伝えてないんだから、もうちょっとは耳を傾けて欲しいなー。 でもまあ、時間もない事だし、伝えるとしよう。 バージョン2が開始された事で、ダンジョンが解放されるからさ、頑張ってくれたまえ! ハッハッハー、じゃあー、まったね〜 ブツっ!』
「はああああー、なあにいぃぃー!?」
こうして、俺の素っ頓狂な叫び声は村中に響き渡り、バージョン2の解禁によりダンジョンが解放されたのである。
次回は、2/22(土)0時更新です。
よろしくお願いします。




