活動再開
今週も、よろしくお願い致します。
行商人のマリーが旅立って、あとは素材まちとなった達也は、頼まれた生産品をつくり、村人たちにも作り方を教える様になった。
とくに燻製の作り方は、この村の特産品となる予定なので、素材から集めて作ることになった。
まずは鹿やウサギの肉、燻製用の木材となる木を集めてまわる予定だ。
すべて森で賄えるものなので、なんら問題はない。 あるとすれば、ゴブリン達やイノシシがたまに出てくるくらいである。
ハンター達は、普段から森での仕事をしているので、ゴブリンと遭遇するのは慣れっこなのだとか…… 流石に、イノシシと遭遇すると逃げるらしいが、とくに問題はないと言っていた。
さっそくハンター達は、鹿とウサギを数匹仕留め、これで肉の確保は十分となり、次は香りの良い木を探す事となった。
これも、この森のあちこちで見かけるものなので、森の入口付近から間引く感じで伐採した。
半日と掛からずに材料が集まり、燻製のために必要となる道具を教えて、それらを使った方法を教える事となった。
場所は、村の裏手の開けた場所を使い、そこに簡易の竈を設置した。
用意したものは、鉄鍋と長めの鉄の串数本と、鍋にのせる木製の筒と蓋である。
代用品がない人は、見学して貰うことにした。
まずは、竈の上に鉄鍋を置き、加工した燻製用の木屑を鍋の中に敷きつめ、竈に火をつける。
鉄鍋が熱せられ、木屑の温度は徐々に上がっていく。
あとは、木製の筒をせいろの様に鉄鍋の上に乗せて、木屑から煙が出るまで、鉄鍋を熱し続ける。
用意した肉は、前日獲った物を使用。 肉の水分が少なくなった方が、燻製に適しているからである。
その肉を、木製の筒に入るサイズに切り分け、鉄の串に刺して筒の中にぶら下げる形に入れて、串を筒の上に渡す。
この状態で、肉を燻して燻製を作るのだが、完全に蓋を被せるのは避けて、煙が外に漏れるように蓋をする。
あとは完成まで、様子を見ながら木屑を足し、じっくりと肉を燻すだけである。
この方法は、達也が酒のつまみを節約しつつ、家族に振る舞った事もあり、このやり方なら村人たちでも、作れるだろうと考えた方法であった。
実際はフライパンと金網、アルミホイルとかで作れるのだとか、職場の人からの受け売りで始めた、方法である。
ただ、木屑は市販の燻製専用のものを使っていたので、あまり節約にはなっていなかったりするのは、家族たちには秘密であった。
◇◆◇
燻製肉の出来は、まあまあであった。
成功した人はいなかったが、肉は焼いてしまえば問題はない。
燻製の作り方は教えたので、あとは練習あるのみだ。
俺でさえ作れたのだから、大丈夫だと思う。
完成した燻製肉は、皆に分けて配り、残った材料はスキルで燻製肉にして、インベントリに保管する。
こうしておけば、いつでも出来たてを食べられる上に、大量の保存食がしまえるのは便利である。
ミッション成功の報酬だったインベントリは、20種類の物が保管できる。
しかも、同じ物ならいくらでも入るので、生産したアイテムを管理するにも有用であった。
最初はインベントリってなんぞ? となったのだが、システムのバージョンアップをしたところで使い方が判明した。
バージョン1.01となった事で、ウィンドウのデザインやコマンド欄も見やすくなったり、職業やスキルの管理、生産職や生産レシピの管理も楽になった。 そして、特筆すべきは図鑑の仕様もかわり、ワード検索が可能となっていた。
いわゆる、仕様書が手に入ったのである。
ワード検索で調べた、インベントリの説明を見た時は、自分の目を疑った。
たった20種類ではあるが、物の劣化や重さがなく、同じアイテムならいくらでも入るとか、四次元〇〇ットかと思った程であった。
色々と自重しなかった俺だが、人間倉庫とか、歩く荷馬車とか言われそうなので、まだ村人たちにも内緒にしている。
とくにマリアンヌさんあたりには、絶対食いつてくるに違いないと思う。
◇◆◇
あれから数日は燻製の指導をしつつ、俺は再び森に入り活動を再開することにした。
村人たちも燻製になれたのか、コツを掴んだらしく、成功する人が増えてきた。
まあ、木製ではあるが専用の道具を作ったせいもあるのだろう。 また、成功しつつある燻製生産が、経験を経てどうなっていくのかを見てみたいと思う。
もしかすると、俺だけでなくスキルを獲得する人が生まれるのではと、期待してもいる。
あと、また例のメールが届き確認したところ、リユート村での活動による貢献という評価がついて、現世の実家の仕送りが12万円に増額された旨が記された事に、思わず涙がこぼれてしまった事は内緒である。
今回、森での活動を再開した理由は、もっと評価を上げて家族の仕送りを増やす為に他ならない。
「父さん母さん、美優と冬也を頼む。 俺は、お前たちの為にも、異世界で頑張るからな!」
達也の願いは、家族たちに届くかは定かではないが、今日も森へと誘われていくのだった。




