村長との交渉
本文に出せなかった、報酬内容を文末に記載しました。
達也は、唐突のファンファーレで驚き、数秒間目が点になるも、出現したウィンドウに目を凝らした。
「えっ!? じゅ、十万円!? まさか……」
初めは何ごとかと思ったが、緊急ミッションだったとか、報酬や初回特典とか色々突っ込みたかったが、追加報酬に実家の口座に十万円が入金されるとあって目を疑った。
「邪神のくせに約束守るとか、どっちなんだよ! まったく!」
傍から見ると、夜中に突然怒鳴るとか大概なものだが、隣の部屋から人が飛び出た音が聞こえて、ことここに至っては後の祭りである。
しまったと思った時には、部屋の扉が開き始めていたのだ。
「どうかしましたか、タツヤ殿!?」
「あ…… す、すみません。 ちょっ、ちょっと悪い夢を見ました。 あはは……」
申し訳ないと謝りなんとかなったが、住人を起こしてしまった事を深く反省した。
だが、反省はしたのだが、いらいらが募り達也の目はすっかり覚めてしまう。
そして、また邪神への怒りがぶり返すのであった。
「くっそぉ、邪神めぇ。 でも、本当に入金されるのなら感謝するしかないのか……」
腹立たしいことは抜きにして、両親に仕送りが出来るとなると、邪神であっても有り難いことだと、達也は溜飲を下げる。
それは、神が約束を違えなかったという事実であり、達也をわざと魔界へと転生させた意味も、変わってくるからである。
もし、達也が弱い状態で来ていたら、何も出来ないどころか死んでいたかも知れないし、レベルアップしていたからこそ、村人たちを救えたのだ。
◇◆◇
俺は、朝は強い方だ。
だが、今日に限っては違う。
昨夜の騒動であまり寝れなかったからである。
「うーん、眠い……」
俺はダルい身体を無理やり起こし、ベッドの端へ座る。
「えーっと、インベントリだったか」
まだ頭がぼーっとするが、昨日出来なかった事を思い出し、報酬で貰ったインベントリから、お金を取り出した。
討伐報酬の1000Gが入った皮袋が出現する。
「これって使えるのかな?」
恐らくだが、この1000Gはこの世界の通貨だとは思う。
だが、この村で使えるかは不明だし、三種類の通貨が入っていた。
昨夜取り出して数えたところ、銀色のものが5個に、銅の色をしたものが30個、鉄の色をしたものが200個が入っていたのだ。
「通貨というか、素材にしか見えないんだが……」
本当に、通貨なのかも怪しいレベルであった。
取り敢えず、取り出した袋を麻の袋に入れて、俺は顔を洗いに外へ向かう。
「おはようございます」
「あ、おはようございます。 よく寝られましたか?」
間借りした家から外にでると、そこには昨夜世話になったご主人さんが立っていた。
「はい、ちょっとまだ眠いですが寝ました。 それより、昨夜はすみませんでした」
「いえいえ、大丈夫ですよ。 少し驚いただけですし」
俺が頭を下げると、ご主人は笑って許してくれた。
その後、水場でも住人と挨拶を交わし、顔を洗ってから朝食を頂く流れとなった。
食事が済んた後は、昨夜の続きで後片付けを手伝った。
ゴブリン達の死体の処理や、焼却の為の穴掘りだとかも手伝った。
その時に始めて知ったことなんだが、ゴブリンの心臓のとなりには魔物の魂である魔石が埋まっているらしく、この魔石がお金になるという衝撃の事実が発覚したのであった。
一個50Gになると知って、二度衝撃受けたことは言うまでもない事であった。
何という事だ。 どれだけ損をしてきたか分からない上に、聞かれたくない程に倒したゴブリンを放置し、他の生き物の餌と消えたのか……
「お、お金が……」
突然項垂れた俺に、なんとなく気を使ってくれた方々に申し訳なくとも、自分の失態に落ち込んだのは仕方ないと思う事にした。
「よう、あんちゃん。 元気はでたかい?」
「はい、なんとか」
「まあ、何があったかは知らんが、分からん事があれば聞いてくれ」
この人は、ゴブリンの魔石の事を教えてくれた人なのだが、ハンター達のまとめ役をしているらしく、名をドワイトさんといって、皆から慕われてる男気のあるおっさんである。
見た目は怖いが、気は優しいゴツい体格のおっさんなのだが、皆が慕うほどのベテランハンターだというの分かった。
「ありがとうございます。 知らない事だらけなので、その時はお願いします」
「おう! 任せとけ!」
うん、いい村に来れたな。
あとは交渉しだいだけど、この村を拠点にして活動しようと思う。
ドワイトさん達との片付けが終わって、俺は村長を訪ねた。
村長は忙しく、壊された家や、焼け出された人たちに物資と、空き部屋を貸し与えたりと、飛びまわっていた。
そして、俺はしばらく待っていたのだが、なにやら仕事を切り上げて来てくれたらしく、村長宅で面会する事になったのだった。
「お待たせしました、タツヤ殿」
「いえ、わざわざすみません」
「して、何かお話があると聞きましたが」
「はい、実は……」
俺は、神との話は抜きにして、この地に転生した後のことから、今までの経緯を話し、交渉を始めた。
「なるほど、記憶がなく魔界に取り残されていたと…… それでその様な出で立ちであったのですか」
石の武器や、革の防具姿の俺は、魔物が蔓延る辺境において、明らかにおかしい武装といえた。
「はい、あの森では鉄も塩もなく、石で武器をつくり、鹿や兎の肉、野草や木の実で凌いでいまいした」
「うーむ、信じ難いですが、恐らく真のお話なのだとも思います。 過去の話しにも、ダンジョンという場所では時空を超える罠があるとも聞きます。 そういった話の類かも知れませんな」
なんか今、すっごく大事な情報を貰ったんだけど、まずは交渉をしないと駄目だ。
「ありがとうございます、信じて下さって」
「いや、私どももタツヤ殿が駆け付けて下さったからこそ、こうしてお話が出来ているのです。 不躾ですが、私達に何か出来ることがあれば、遠慮なく申し付けて下さい」
そう話すと、村長さんは頭を下げて、俺の願いを聞き入れてくれたのであった。
――――――
報酬内容
依頼達成報酬
1000G (銀貨5枚、銅貨30枚、鉄貨200枚)
それぞれの貨幣が見合った価値の重さで作られており、全国各地で認められた通貨。
初回達成特典
インベントリ 生物以外が入れられる特殊保管庫。
時空や次元とは異なる、別の空間をつなぐ謎の技術で作られており、20種類のアイテムを、重量や劣化を気にすることもなく、無尽蔵に保管できるすぐれものである。
緊急ミッション初回特典であり、他の方法での入手は困難。
追加報酬
10万円(指定口座振込)
対象者がクエストやミッションをクリアした時、また対象者が世界に貢献した度合いで、30日毎に指定された口座に追加報酬として支払われた金額。
なお、このお金は神々との間で取り引きされた物が対価となっているので、出処は機密となっております。
今後、報酬は出来るだけ本文内で簡略化しますが、出来ない場合は今回同様の説明を入れます。




