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アイテム無限利用のチートを授かった俺が、なぜか最強の魔獣やスライムを従え世界を支配することになった件  作者: まるせい


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第19話 馬鹿正直に正面から突破するわけではなく裏をかく人物の方が要領が良い

「精霊魔法って相当レアな魔法なんじゃ?」


「ええ、この国でこの魔法を扱えるのは私だけね」


『もしやと思ったが、こやつ。エルフの血が混ざっておるのやもしれんな?』


 ナビゲーターの言葉に驚くのだが、


(様々な種族が存在しているみたいだし、エテルニスではラピスのようなハイエルフも働いている。魔法を取り込むということなら多種族の血が混ざっていてもおかしくないのか)


 フェアリエルは水が入った瓶胸元から取り出した。


「ウンディーネ」


 水が形を作り、小人の乙女が生まれる。


『良いの良いの! これが見たかったのじゃ』


 興奮する魔法マニアのナビゲーター。自分では扱えない魔法を目の当たりにしてとても嬉しそうだ。


「シルフィ」


 フェアエリエルが杖を掲げると、風の乙女が生まれた。


「なっ! 二種類の魔法を同時に操るですと!?」


「考えたな、水を媒体に水の精霊を自立させ、自身の魔力で風の精霊を使役している」


 エリオットとヴォルフが驚きながら解説をしてくれる。

 基本的に人間が一度に行使できる魔法の属性は一つと言われている。


 同時に二つ操るのはかなりの高等技術のようだ。


『意識の7割を風の精霊に魔力を注ぐことに集中して、3割は水の精霊に向けている。絶妙なバランスじゃな』


「ふふふ、二つまでならこれまでも操ってみせたエルフは存在する。でも、私が目指す魔導の最奥はこの先にあるのよっ!」


 風が巻き起こり、その中にキラキラとした砂が混ざっているのを発見する。


「まさか、三属性を同時に!?」


「このようなことができた者はエテルニス始まって以来だぞ!?」


 周囲の驚きようから、フェアリエルが奇跡レベルの凄い現象を起こしたことが理解できた。


「い、いくわよっ!」


 流石の彼女も余裕がないのか、全身にびっしょり汗をかくと的に意識を集中する。


「『ウォータースプラッシュ!』」


 砂を混ぜた水を圧縮して風で打ち出した。

 打ち出された水は一直線に飛ぶと的の横を通り過ぎる。


「はぁはぁ……はず……した?」


『魔力の収束が甘かったのと、コントロールが甘かったのじゃ。魔法は当てられなければ意味がないのじゃ』


 悔しそうに唇を噛むフェアリエル。


(でも、当たってもオリハルコン合金を破壊できなかっただろ?)


 なんなら、本人が納得するまでチャレンジをさせてやっても良いのだが、ヴォルフが前に出た。


「どけ、愚か者め」


「私のどこが愚かだというのよ!」


「もし今の魔法が戦地で放たれていたものなら、味方を殺してしまっていたのではないか?」


「そ、それは……」


「リクシス王子は俺たちの実力を計っているのだよ。未完成な技を見せられたところで何も感じることはないだろうよ」


「まあ、そうですね」


 使い所次第では今のままでも良いのだが、己の制御ができない魔法など身近の人間を傷つけるだけだ。


「では、真打の登場と行こうではないか」


 ヴォルフは自信満々に杖を構えると目標に向かった。


「ヴォルフ王子はそんなに魔法が得意なのか?」


 俺はこっそりとエステルに質問する。


「お兄様は歴代の王族の中でも上位の才能の持ち主です。上級魔法も二属性扱うことができますから」


「へぇ、そりゃ凄いな」


 上級魔法とは、放てば軍の一個師団を壊滅させる威力を持つ魔法のことだ。

 つまり、彼が前線に立てば、軍隊と変わらぬ戦力になるということ。


「リクシス王子、そこで見ているがよい! 賢者の石を持つに相応しい本物の魔導師の魔法の威力を!」


 彼が杖を構えると大気が震え始めた。

 地面が小刻みに揺れ、空気がビリビリと震える。


「俺から離れるなよ?」


 不安そうにしているエステルの肩を抱き寄せ、魔法の余波が飛んできても対応できるように身構える。


「魔力のコントロール? 属性の重ねがけ? そんなのはコツさえ掴めば決してできない話ではない」


「まさか、今のを見て覚えてしまったというのか!?」


「ありえないわっ!」


「上級魔法のボルケノンとアースクエイクです。この訓練場も危険ですっ!」


「いや、大丈夫だろ」


 慌てるエステルに俺は答える。

 ヴォルフ王子は思慮深い性格をしている。他国の王子である俺や、国王であるレオニスもいる場所で制御を誤ることはないだろう。


 二つの魔力が混ざり合い、新たな魔法が発動する。


「アポカリプス」


 溶岩が吹き出し、目標を飲み込んだ。


「はぁはぁはぁ、どうだ?」


 自分の魔法の完成度に陶酔したのか、ヴォルフ王子は息を切らしながらも目標を見るのだが……。


 ーーキラリーー


「どうやら、破壊には至ってないようだな?」


 実に惜しかった。オリハルコンかミスリルの単一金属ならば破壊できていたに違いない。

 オリハルコン合金はあらゆる魔法への耐性が跳ね上がっている。ネクロヴァーンの魔法でも気合を入れないと壊せないのだ。


「結局、条件を満たせる人間はいなかったな。それじゃ、約束通り賢者の石は誰にも渡さないってことでいいな?」


 元々、人族の彼らに壊せるとは思っていなかったので予定通りである。

 俺はネックレスを回収しようとするのだが……。


「リクシス王子」


「なんだ、エステル?」


「私も挑戦させてくださいませんか?」


「馬鹿を言うな! この落ちこぼれがっ!」


「王族のくせに初級魔法しか使えない分際で、恥を知りなさい!」


「我々でも破壊できなかったのを見ていたのに、自惚れも大概にしておけ!」


 ヴォルフもフェアリエルもエリオットも怒りを彼女にぶつけてきた。

 彼らの事情はわからないのだが、この様子からして暗殺を試みたのはこの中の誰かかもしれない。


「別に俺は構わないぞ」


 余興の一つだし、彼らにチャレンジさせておきながらエステルだけ駄目というのはおかしいからな。


「ありがとうございます」


 珍しく礼を言うと、エステルはとことことネックレスに向かって歩き始めた。


 一体何をするつもりなのか、全員が見守っていると……。


「えいっ!」


 彼女は鎖を引きちぎった。


「「「「へ?」」」」


 俺とヴォルフとフェアリエルとエリオットの言葉が重なる。


『お見事! オリハルコン合金とはオリハルコンとミスリル、その他にいくつかの金属を混ぜ合わせて魔法耐久力を徹底的に強化してあるのじゃ。その代わり物理的な強度が落ちているのじゃよ』


 ナビゲーターの愉快そうな解説が響く。


「ちょっと待て、エステル。貴様何をしている!」


「手で引きちぎるなんておかしいでしょっ!」


「これは我々の魔法の実力を試すための試験だったはず!」


 三人は興奮してエステルを糾弾するのだが……。


「……てないです」


「は?」


「魔法で壊せとは言ってないです」


 確かに、俺はネックレスを破壊しろとしか言っていない。


「ください。賢者の石」


 エステルはそう言うと手を伸ばしてくる。

 これは一本取られたのだが、この状況で彼女に賢者の石を渡すのはどうなるのか……。


 真剣な表情で俺を目を合わせるエステル。その瞳には一点の曇りもなく、綺麗な顔に見惚れそうになる。


「見事だエステル。俺の言葉の裏をかくとはな。これはお前の物だ」


 エステルは賢者の石を受け取ると、嬉しそうに微笑むのだった。

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