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アイテム無限利用のチートを授かった俺が、なぜか最強の魔獣やスライムを従え世界を支配することになった件  作者: まるせい


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第18話 無自覚なやつは的を破壊するが、自信満々な奴程自分のことがわかっていないと思いました

「愚かにも私と同じ物を求めるとは」


「それはこちらのセリフです兄上」


「賢者の石は俺にこそ相応しい。そう思いませんか?」


 ヴォルフとフェアリエルとエリオットの三人が歪みあう中、


「あ、パンのおかわり頼む」


 俺は給仕にパンの追加を要求していた。


(そもそも、何でこいつら賢者の石が欲しいんだ?)


 焼き立てのパンをもぐもぐと食べながら三人を見る。


 三人は互いに醜い罵倒を繰り広げており見るに耐えないのだが、どうしてそこまで必死なのか理由を知りたくもある。


『「賢者の石」とはあらゆる力を増幅させる究極の触媒じゃ。魔法を扱える者なら欲しがって当然じゃろ?』


(ん? ということはこいつらは魔導師なのか?)


『そうじゃな、王族には魔法の使い手が多いからのう』


(お前、人族は10000人に1人しか魔法使いがいないって言わなかったか?)


 この世界に来たばかりの時、ナビゲーターが語った知識を思い出す。


『この手の才能は遺伝するのじゃ。王族や貴族は相手を選べるし、優れた者の血を残すじゃろ? 次世代も魔法の使い手になることが多いのじゃ』


「ふーん、なるほどねー」


 つまり、こいつらが賢者の石を欲しがるのは自分の魔法の威力を上げるためということらしい。


 気にすることなく食事を続けていると、互いをなじるのに飽きたのかヴォルフたちがこちらを見てきた。


「そもそも、本当に賢者の石を持っているのかしら?」


「でまかせではないのか?」


 フェアリエルとエリオットがこちらに疑惑の目を向けてくる。


「ラピスに『賢者の石を持っている』と話したのだろう? あの者はハイエルフ。魔法で嘘を見抜くことができる。ラピスが頷いたということは間違いないということ」


「そうなのか?」


 俺はエステルに質問に問いかける。


「ええ、ラピスに嘘は通じませんね」


 エステルは淡々とそう答えた。


 俺は懐から布に包んだオリハルコンのうんここと賢者の石を取り出すと、皆に見せた。


「おお、この石から途轍もない力を感じる」


「なんと美しい輝きなのかしら」


「これこそ、私が持つに相応しい至宝だ」


 持っていることがバレているのなら隠す意味もない。食堂にいる全員が賢者の石の輝きに視線を釘付けとなる。


「オリハルコン金貨10枚でどうだ?」


「それよりも後ろ盾が欲しくないのかしら?」


「エテルニスでの商売権を認めてもよろしいですぞ?」


 三人はそれぞれオリハルコンを手に入れるための条件を出してきた。


「いや、どれもいらない」


 金なら腐る程持っているし、多方面から攻められている国の後ろ盾など意味がない。同様の理由で商売権を認めてもらう必要もない。


「だったら、どうすれば私に賢者の石を売ってくれるというのだ?」


「まさか、見せるだけ見せておいて誰とも取引しないつもりじゃないでしょうね?」


「もしそのようなことを言うならこちらにも考えがありますぞ?」


 元々、ラピスに渡すために用意しておいたのだが彼らの目が血走っていて怖い。

 手元にはオリハルコンが生み出した賢者の石を数十個確保してあるのだが、ここで全員に渡すのは良くないだろう。


「と言っても、取引はギブアンドテイク、そっちが俺の欲しい物を用意できないのが悪いんじゃ……?」


 いい加減面倒になってきたので、ラピスに渡して逃げ切ろうかと考えていると……。


『こう言うのはどうじゃ?』


 ナビゲーターがある提案をしてきた。


「俺が出す課題をクリアした人間に賢者の石を無償で提供しようと思うけど、受けてみるか?」


『無償』という言葉が聞いたのか、彼らは食い気味に俺に顔を近付けると。


「「「勿論だ(よ)!」」」


 即答するのだった。





「ここが、魔法の訓練場か?」


 朝食を終えた俺たちは、場所を移した。

 ヴォルフ、フェアリエル、エリオットはそれぞれ愛用の杖をとってきており、エステルは不安そうに俺を見ていた。


 話を聞きつけたのか、この国の王のレオニスやアルテミシアも見学に来たのか、見物席に座りこちらを見ていた。


『随分と暇な国のようじゃな?』


 それだけ賢者の石が凄いと言うことなんだろうな……。


「リクシス王子。そろそろ条件について話してくれないだろうか?」


 そんなことを考えていると、ヴォルフが代表して課題について聞いてきた。


「ん、了解です」


 俺は皆を見回すと課題を告げる。


「皆さんには、今から一発だけ魔法を撃ってもらいます」


 俺がそう告げた瞬間、周囲がざわめき始めた。


「なんの変哲もない魔導師が賢者の石を所有しても宝の持ち腐れです。ここで俺に実力を見せてください」


『うむ。様々な魔法を見ることができて楽しみなのじゃ』


 この提案はナビゲーターで、この機会にこの国の魔導師の実力を把握してはどうかと言ってきたのだ。


「なるほど、もっとも相応しい者に賢者の石を託したいと言うリクシス王子の考えというわけか」


「こと魔法において、私に勝る者はこの国に存在しておりませんわ」


「馬鹿め、上級魔法さえ使えれば勝てると思うなよ? 魔法はもっと奥が深いのだよ」


 ヴォルフもフェアリエルもエリオットも自身満々そうにしている。

 さぞや高威力の魔法を披露してくれるに違いない。


「それで、誰から行くんだ?」


 俺とナビゲーターが興味津々の中、


「まずは俺から行かせてもらいますぞ」


 エリオットがドスドスと前に出てきた。


「はっ! 所詮は中級魔法しか使えぬお前が、俺たちよりも優れた魔法を使うだと?」


「笑わせてくれるじゃない」


 年齢もあるのだろうが、ヴォルフやフェアリエルよりも魔法の腕は劣るらしい。

 

「それじゃ、いつでも撃ってきてくれていいぞ?」


「は?」


 こちらの準備ができているので声を掛けると、三人は呆気に取られた様子で俺を見た。


「もしかして、リクシス王子に向かって撃てというのか?」


「流石に、それはまずいと思うのだけど?」


「訓練中の事故で怪我でもさせたら弁解不可能で全面戦争になるのですよ!?」


 必死に止めてくる三人。


「いや、平気だって。結界張るし」


 ネクロヴァーン特製のスクロールによる高出力の魔力障壁は、アビスエンドの魔物の攻撃を完全に弾き返した実績がある。


 逆にこれを壊せるというのなら、ぜひその魔法をスクロールにさせてもらいたいところだ。


「いやいやいや、王子殺しは看過できないので勘弁してください」


 一向に魔法を打とうとしないエリオット王子に、俺は他の方法を考えることにした。


「それじゃ、このオリハルコン合金でできてるネックレスを破壊してみてくれ」


 訓練用の人形の首に俺がかけていたネックレスをかけてやる。


「ふっふっふ、魔法の深淵をお見せしましょう」


 エリオットは杖を構えると集中を始めた。


(何やら、大気が揺らいでいるな?)


『どうやら、大気中に存在しているマナを取り込み魔法の威力を増幅させているようじゃな?』


(それってどういうことなんだ?)


『魔法の威力は構築した魔法の種類×魔力量で決まる。お主も何度か調整を試みていたじゃろ?』


(ああ、威力がデカすぎて不便だったからな)


 スクロールを使用する際、放つ前に手元に魔法を留めることで威力の調整をする実験を行なっていた。


『どうやらエリオットは巨大な魔法は扱えぬようじゃが、魔力を制御する技術に長けているようじゃな。あれを覚えられれば低級魔法も高威力で放つことができるようになるのじゃ』


(へぇ、腐っても王族ってことか)


 ただの太った傲慢な少年というわけではないらしい。


「くらえ! ストーンバレット!」


 ーードカッ!ーー


 バスケットボールくらいの大きさの岩が飛び人形に当たる。


「ふっ、まあまあかな?」


 土煙が上がり人形の姿は見えないのだが、飛ぶ速度と音からして受けたのが人間なら即死間違いなしの威力だろう。


 やがて煙が晴れると状況が確認できるようになった。


「どうやら、無傷のようだな?」


『オリハルコン合金はオリハルコンとミスリルが半々でできておるからな。魔法への耐性は格段に上がっておるのじゃ』


「くそっ!」


 悔しそうに地面を殴りつけるエリオット王子をよそに、フェアリエルが人形の前にたった。


「次は私の番ね」


 彼女は自身満々に言う。


「精霊魔法を見せてあげるわ」

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