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アイテム無限利用のチートを授かった俺が、なぜか最強の魔獣やスライムを従え世界を支配することになった件  作者: まるせい


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第16話 早朝の早朝の軽い運動とラインハルトの苦悩

 翌日になり、俺は気分良く目覚めることができた。


 あの後、アルテミシアに倉庫を借りる手筈を行い、オリハルコンにをこれまで手に入れたアイテムをそこに放出させた。


 その後、業者を呼び込み材料の解体を任せ、諸々忙しい雑事を片付けていると夜になっていた。


 夕食はエステルと摂ったのだが、どの食事も美味しく、毒が入っている様子もなかったのでとても楽しい時間を過ごすことができた。


 唯一気になったのは、朝食の時とは違い、エステルがチラチラこちらを気にする様子を見せていたことだが、昼間に差し入れたクッキーが余程まずかったから抗議をしたかったのではないだろうか?


 そんなわけで、無事平穏な一日を終えた俺はグッスリ眠ることができたわけだ。


「アルテミシアの話だと使節団がロヴァンに到着してから戻るまでするまで1週間くらいかかるらしいからな。それまでは大人しくしていないと」


 あくまで国賓として無難に過ごす必要がある。


「しかし、早朝に目覚めてしまって退屈だよな?」


 朝食まではまだ小一時間程ある。俺は眠るクロノスとオリハルコンを一撫ですると部屋を出た。





「おっ! 今日もやってるな?」


 しばらく王宮を歩き、目的の場所に到着すると目論見通り訓練が行われていた。


「おーい!」


 俺は手を振りながら彼らに合流する。


「リクシス王子。御機嫌麗しゅう存じ上げます」


「堅苦しいぞラインハルト。剣を交えた仲じゃないか」


 膝を突くラインハルトに俺は気軽に話しかける。


「知らぬこととはいえ、一国の王子に対する無礼な振る舞い、誠に申し訳ありません。この罰はいかようにも……」


「だから気にするなっての! お前がそんな態度だと俺も頼み事し辛いじゃないか」


「はっ? 頼み事ですか?」


 困惑するラインハルトに、


「食事の時間まで暇でさ、俺も訓練に参加させてくれよ」


 運動して腹を空かせた方が食事も美味しいしな。


「いえ、ですが……一国の王子が訓練に混ざるというのは……」


 ラインハルトは渋い顔をすると俺の要望に難色を示す。


「既に一回混ざってるんだから、後は何回でも同じだって」


「し、しかし……」


「じゃないと俺が傷つくぞ? あーあー、せっかく仲良くなれたと思ったのになー?」


「どんな脅しですか!?」


 あまり堅苦しいのは御免なので、俺はわざとおどけて見せる。すると……。


「わか……り……ました」


 ラインハルトはどうにか声を絞り出し、俺の参加を認める。

 負い目につけ込んでしまったようですまないな。


「訓練を中断してしまって済まないな。俺のことは空気だと思って再開してくれ」



 そう言って、新兵の列に並んだ俺は訓練用の剣を構えた。

 ラインハルトはやり辛そうにこちらを見るのだが、コホンと咳払いをして意識を切り替えた。


「いいか貴様ら。貴様らは未熟だ。もし戦場に出たなら三度も剣をまじえることなく斬り捨てられる程弱い。これから貴様らが行う訓練は敵を殺すためのものではない、敵を足止めし自らが生き残るためのものである!」


 ラインハルトの透き通った声が訓練場に響き渡る。

 新兵たちはラインハルトの声を聞きながら兵同士で打ち合いを始める。


 彼に比べると鋭さもなく、確かに一瞬で屠れてしまうだろう。


「俺は無理をするなとは言わん。今は無理をしろ! だが決して戦場で無茶はするなっ! 貴様らが生存することで敵の足並みは乱れ、我々に有利に作戦を展開することができる。死んでしまっては元も子もないのだ」


 彼らが訓練をする間を動き回りながら言い聞かせている。


 国に仕える者として、国を憂う者として最大限の配慮なのだろう。

 ラインハルトが慕われているのが伝わってくる。


 新兵の中でも特に未熟な者には剣技の指導も行っているし、自ら本気で戦って戦場での敵の怖さを伝えているようだ。


 俺はそんな彼を見ながら、小一時間素振りをしていると……。


「おやおや、ラインハルトは今日も新兵と遊んでいるのかぁ?」


 身なりの良い小太りの男がズカズカと訓練場に入ってきた。

 後ろには高価な装備に身を包んだ騎士が存在している。


「……エリオット王子につきましては御機嫌麗しゅう存じ上げます」


 ラインハルトが膝をつくと、訓練をしていた兵も膝を突きお辞儀をする。

 咄嗟だったので俺も慌てて真似をしてしまった。


「エステルの頼みなんだってな? 新兵の訓練など無駄だというのに、あいつは戦というものを理解していない。そう思うだろ? お前たち?」


 謁見の際に見かけた記憶がある。確か、エテルニス第三王子のエリオット。王位継承権七位を持つ人物だったはず。


「ええ、まったくですね。新兵を鍛える暇があるのなら同レベルの騎士を相手に訓練した方が良いでしょう。腕が錆びついてしまいますからな」


 後ろに控えていた騎士が笑い声を発した。


「エステル様は立派な方です。あのお方の命令とあらば私は死地へも喜んで赴きましょう」


 ラインハルトは怒りを滲ませるとエリオットを睨みつけた。


「ふ、ふん。待遇に不満があるようなら俺がとりたててやろうと思ったのだがーー」


「温情感謝致します。が、必要ありません」


 王族相手にこのような振る舞いをして、ラインハルトの身が心配になるのだが、そもそも近衛騎士でも偉い地位にいると聞いている。立場は向こうが上なのだろうがこのくらいは問題ないと判断した様子。


「そろそろ食事の時間だからな! 失礼するぞっ!」


 結局、ラインハルトの気合いに押されて徹底してしまった。


「あれがエリオット王子か、何というか……大変だな」


「いえ、そのようなことは……」


 俺が労いの言葉をかけるのだが、ラインハルトは苦い笑みを浮かべるだけに留める。流石に、王族相手への不満を口にするようなことはしないらしい。


「この訓練ってエステルの指示でやってたんだな?」


 それより俺は彼女のことが知りたくてラインハルトに聞くことにした。


「あのお方は幼きころから聡明でして、城の書物を読み漁り様々な知識に通じているからか、数年前から国事に携わるようになったのです。此度の戦争で、新兵を出兵させることに最後まで反対しておられ、それが叶わぬとなると私に訓練するように命じたのです」


 先程のエリオットと接している時と違い、ラインハルトは誇らしげにエステルについて語ってみせた。


「よい王女なんだな」


 国のことを思い、民を思い、聡明な面がある。一体リクシスは何をして彼女に嫌われたのだろうか?


「そうだ、もう一つ聞きたいことがあるんだが……」


 この質問には細心の注意を払う必要がある。

 新兵たちとは距離があるので聞き取れないとは思うが、念のためということもあり俺はラインハルトに顔を近付け小声で聞いた。


「エステルを暗殺しようとする人間に心当たりはあるか?」


 次の瞬間、ラインハルトは険しい目で俺を睨みつけて来た。


「俺がじゃないぞ? 俺はエステルと敵対するつもりはないからな?」


 実力差が身に染みているだろうに、それでも主君のためならいざとなったらと覚悟を決めた様子を見せるラインハルトに俺は感心する。


「あまりにも物騒な言葉でしたので、つい。この処罰はいかようにも……」


「いいって。お前の首をもらったらエステルとの仲が修復不可能になるだろうが!」


 ラインハルトがエステルを信頼しているように、エステルもラインハルトを信用している様子だ。決して刺激しない方がいいだろう。


「しかし……それは……」


 ラインハルトは険しい表情を続けると言葉を濁した。


「ああ、なるほど。他の王族ってことなのか?」


 彼が言葉にできない以上そういうことになるのだろう。もしかすると先程のエリオットの手の者かもしれない。


「リクシス様、食事の用意ができました」


 そんなことを考えているとエステル付きの侍女が俺を呼びに来た。確か、ステラという名前だったか?


「ああ、今行くよ」


 俺はそう答えると彼女についてエステルが待つ食堂へと向かった。

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