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アイテム無限利用のチートを授かった俺が、なぜか最強の魔獣やスライムを従え世界を支配することになった件  作者: まるせい


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第11話 空腹で外を歩いてたら新兵と勘違いされ訓練に参加したけど剣を振るのは意外と楽しかった

「腹が減った……」


 エテルニスに滞在してから二日目の朝が来たのだが、待てど暮らせど朝食が運ばれてくる気配がない。


 もしかするとエステルが寝坊したのだろうか?


「……いや」


 多分違うのだろう。エステルの泣き顔が目に焼き付いている。

 おそらく俺と顔を合わせたくないのだろう。


 彼女が落ち着くまでは待った方が良い。そう考えなくもないのだが……。


『グゥ〜』


「それはそれとして何か食わないと元気が出ない」


 そろそろ空腹も限界に来ている。このままでは倒れてしまいそうだ。


『ピキ?』


『ブル?』


 俺の言葉に反応してオリハルコンとクロノスが食べかけていた物を差し出してきた。


「ああ、いいよいいよ。自分で調達するからさ」


『ピキ!』


『ブルッ!』


 流石に二匹が自力で捕った獲物まで差し出させるのは申し訳ないし、オリハルコンに至っては無機物のゴミだからな。気持ちは嬉しいが腹を壊してしまう。


「と言うわけで、外に出るとするか」


 昨晩もろくな食事にありつけていないのだ。俺は飯を確保するため部屋から出た。


「中々慌ただしそうな雰囲気だな?」


 戦時中だからか、すれ違う人たちも早足だし、そこら中で険しい顔で話をする文官・武官の姿が目に映る。


 エテルニスは現在、多方面から侵略を受けているということなので人手が足りていないらしい。

 中庭では兵士が訓練をしている姿が見える。


 拙い動きをしているところを見ると、もしかすると新兵なのかもしれないな?


 しばらくの間見学していると、


「おい! そこの貴様!」


「えっ? 俺?」


「いつまでサボっているのだっ!」


 指示をしていた偉い兵士がずかずかと距離を詰めてきた。


「まったく、最近の新兵は少し甘い顔をすると直ぐに手を抜きおって。こっちに来い!」


 俺の腕を掴んで訓練場へと引っ張っていく。


「いや、俺は……」


 慌てて勘違いだと言おうとするのだが……。


「ほれ、お前の武器だ。いいか? 苦しいかもしれないが、この訓練一つ一つがお前の身を守る武器になるんだ。 今は俺が憎いかもしれないが、いずれ感謝する時が来るはずだ」


「お、おお……」


 真剣な勢いに圧倒され言い訳する機会を失ってしまった。


「よし、身体も温まってきたことだし実戦を行う」


 先程俺を引っ張ってきた男が皆の前に立ち話を始める。


「対戦相手はこの私、近衛騎士のラインハルト・ウイッシュスターである」


 一人だけ雰囲気が違うと思ったが、近衛騎士だったらしい。よく見ると周囲の兵士の年齢は俺とそう変わらないので、彼は訓練のためにこうしているということなのだろう。


「既に俺と戦った者は一歩後ろに下がれ」


 ーーザッーー


 新兵が下がる足音が聞こえる。

 横を見ると誰もおらず、いつの間にか俺が最前列に立っていた。


「よし、お前! 来い! 訓練をつけてやる!」


 ラインハルトに言われた俺は、彼とと共に中央に立つと対峙した。


「殺す気でかかってこい」


 ラインハルトは剣を構えるとオーラを漂わせこちらを睨みつけてくる。

 新兵相手に一切手を抜くつもりがないのだろう。ほとんど隙が見当たらない。


「剣術は習ったことがないんだけど……」


『適当に振り回せば良いのじゃ。お主ならそれでこと足りる』


 ナビゲーターはアドバイスどころか適当に言い放った。


「ま、いいか」


 訓練用の剣なので刃を潰している。相手は近衛騎士だしいい感じに戦ってくれるだろう。


「それじゃ、行くとするか」


 俺は剣を持ったままラインハルトとの距離を詰めていく。


「はっ!」


 剣が届く範囲になったので軽く振ると、ラインハルトは俺の剣を受け止めた。


「ほぅ? 想像よりも重く速い剣だ。サボり魔かと思っていたが、きちんと訓練をこなしていたようだな?」


「そりゃどうも、もう少し速く振っても大丈夫か?」


 いきなり全力を出すと油断していたラインハルトが受け止めきれないと思い徐々に力を上げていくことにした。


「さっきも言っただろ。殺す気でこいと!」


 ラインハルトは不適な笑みを浮かべるのだが、殺す気でやると本当に死ぬ。むしろその台詞は俺が言いたいくらいだ。


「じゃあ、段々本気になっていくから、ヤバくなったら降参してくれよな?」


 一旦剣を引き、さらに強い力で振る。

 次からは手を止めることなく、攻撃を続ける。


 右から左に、振り上げては振り下ろし、時には突きを交えて。

 相手の動きがよく見えるので、チャンバラを楽しむ少年の如く剣を振るのだが段々楽しくなってきた。


「これはっ! かなりっ! やるなっ!」


 それもラインハルトが俺の動きを読み、的確に攻撃を受けてくれるからだ。


「さてはっ! 貴様っ! 剣を! 習った! ことがっ! あるのっ! だろうっ!」


 受けながら会話をしてくるのだが、これでは面白くない。

 俺はいったん攻める手を止める。


「はぁはぁ、どうした?」


「受けるだけだとそろそろ限界だろう?」


「何?」


「本気を出せというのなら、そっちからも仕掛けてきてくれよ」


 相手が攻撃してこないとわかっている状態では面白くない。チャンバラは相手が攻撃をしてくるのを受けて楽しむものだからな。


「この俺にそんな口を聞いた新兵は初めてだ。だが、そこまで望むのなら断る理由はないな」


 ラインハルトは目をギラつかせると剣の柄を握り直した。


「行くぞ!」


 武器を振るい襲いかかってくるラインハルト。


「……ふむ」


 今度は彼が攻める番になり受けに回ってみる。

 ラインハルトの剣は速くて重いだけではなく、こちらの読みを外してくる。


 力で押し合ったかと思えば剣を引き、受け止めようとしたら剣を滑らせ攻撃を身体に当てようとしてくる。


 これが力技だけではない剣技というものなのだろう。長年の訓練による確かな技術は俺を楽しませてくれた。


「どうしたっ! 大口を叩いた割には受けるのに精一杯ではないかっ!」


 力量の近い相手との実戦が楽しいのかラインハルトはイキイキした様子で俺を攻撃してくる。

 俺は集中するとラインハルトの動きすべてを把握しようと努めた。


 それから数分、全力で撃ち合いを続ける。


「はぁはぁ」


 攻めきることができなかったラインハルトは体力の限界を迎え攻撃が精彩を欠き始めた。


『まさか、ラインハルト様の攻撃をあそこまで受けきるなんて……』


『あいつ、何者なんだ?』


 見学していた者たちも動揺するとそんな会話をしている。


「そろそろ限界かな?」


 こうなったら負けることはあり得ないのだが、どうせならラインハルトが力尽きる前に答え合わせをしておきたかった。


「今から、攻めるからきちんと受け切ってくれよな」


「ははは、ここで攻めてくるつもりか!」


 ラインハルトが剣を構えたことを了承と受け取り、俺は先程までの彼の剣技を真似てみた。


「くっ! この動きはっ! 先程までと全然違うではないかっ!」


 剣で受けようとすれば滑らせるし、力で押さえ込もうとすれば引いてバランスを崩させる。


 ただ剣を振るよりもこの方が対人戦では有利に戦えることを学ぶことができた。


 習ったことを実践することができ、楽しんでいるのだが、ラインハルトが段々動きに付いてこられなくなり……。


 ーーギンッーー


 剣が彼の手から弾かれ地面に突き刺さった。


「はぁはぁはぁ、参った」


 彼は清々しい表情を浮かべると負けを宣言した。


「まさか俺が負けるとはな。本来は悔しがるべきなのだろうが、新兵の中に貴様のような優秀な者がいたとは嬉しい誤算だよ」


「ああ、それなんだが……」


「これで、また一つ希望が増えた。この戦争は苦しい戦いだが切り札が多ければ多い程、民が救われる可能性が高くなるからな」


 そこで、周囲の気配が変わっていることに気付く。


「部屋にいらっしゃらないと思ったらこんなところに……」


 息を切らしたエステルが焦りを浮かべながら俺たちに近付いてきていた。


「これはエステル様。訓練場に姿を見せるとは珍しいですな」


 ラインハルトが恭しく礼をする。


「ところで、こやつと知り合いなのですか?」


 エステルが俺を睨んでいることから顔見知りだと察したらしい。


「この方は、リクシス=ロヴァン。ロヴァン王国第七王子のリクシス様です」

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