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ダンジョン・コア or アカシックレコード、だって……?

え……何その2択……


あ、そうか。考古学者のゲオルギオスは【碧落迷宮】の最深部に到達したけどダンジョン・コアを持って帰らなかったって言ってたね。

つまり、アカシックレコードを選んだんだ。

そして未来で何が起こるか知った。

だから予言めいた文章を残した。

いや、正真正銘の予言じゃないか。

私が読む事も分かってたから日本語にしたのかな?

なら、対処法も書いといてよ!

まあ、子孫がみんな清く正しく美しく育つとは限らないから、滅多な事は書けなかったんだろうけど。

書き残さなくても何とかなるって思ったんでしょ?

ゲオルギオス、信じていいんだよね?


あ、いつの間にかシロクマちゃん達が探検している。

あの白い顔は敵じゃない認定なのね。


何にしても、私の答えは迷わず一択なんだよねぇ。


「じゃあ、ダンジョン・コアにします」


『かしこまりまし………えっ!?うそ~!』


「えっ!? 急に血の通った声になった!?」


シロクマちゃん達も何か面白いことが始まるのかと戻ってきた。


『どうしてアカシックレコードを選ばないんです!?』


スルーか。まあいいけど。


「だってね、どんな物語でもモブが未来予知能力を持ったら途中退場させられるのが殆どなんだもん」


『それは、そう、かも……?』


シロクマちゃん達が「アレだねー」とか「ソレだねー」など具体例をぽしょぽしょ出し合っている。

それ全部私の頭の中のヤツ……


「それより、未来も記録されてるんだから私が何て答えるかもわかってたんじゃないの?」


『え、ええ。それはそうですが、私はインターフェイスなので……』


「もしかして、勝手にアクセスしちゃダメなの?」


『そ、そうなのです。ほほ、ほほほほほ……』


なんだろう?何か誤魔化してるみたい?

もしかして、未来を見るの忘れてた?

うっかりさん。


『コホン。本当にアカシックレコードを選ばなくていいのですか? 宇宙の叡智が詰まっているのですよ? 知りたい事はないのですか?』


随分必至だな?

AIみたいな存在じゃないのかな?


「未来を知るのは死亡フラグなんだよ」


『未来でなくとも、疑問に思っている事でもいいんですよ?』


え? そうねぇ……

そりゃ、知らない事だらけだもん、質問はいくらでも……

迷宮とは何なのか?

7つの厄災はいつ来るのか?

魔王の降臨を防ぐ方法は?

この大陸の外はどうなっているのか?

何故私はこの世界のこの時代に転生したのか……?


「……世界の真理を知るのも死亡フラグなの」


『しょ、承知しました。とても残念ですが……』


メタル製で表情筋なんてないのにしょんぼりしているのがわかるわぁ。


「……他のみんなはどうしてるの?」


『みなさんはそれぞれ魔物と戦闘しております』


「えっ!? 何で!?」


『ラスボスがいないと物足りないでしょう?』


「ノリいいね」


「わたし達はー?」

「いつ何とー」

「戦うのー?」


『あなた方はこの部屋に入る資格を持っているので戦闘はありません』


あー、入り口のタッチパネルで登録したのっていわゆる【鑑定】されたのか。

そこで【言語系】のスキルを持っている人がいればここに通される、と。


「なら、パーティーに【言語系】を持っている人がいなかったらどうなるの?」


『その場合は戦闘のみです。この部屋の存在は開示される事はありません』


「なるほど、噂にもならないワケだ」


「ちえー」

「戦闘なしかー」

「つまんないー」


「んじゃ、そろそろ行こうか」


『本当に行ってしまわれるのですね……』


「えっと、おしゃべりがしたいの?」


『それもあるのですが、実はアカシックレコードを読み解ける人間がとても希少で、せっかく活用してくれそうな人が現れたのにもったいなくて……』


【言語系】のスキル持ちって少ないんだ……

【言語系】を持っている人は戦闘向きではないから迷宮に挑戦しない。

戦闘向きのスキルの人はアカシックレコードを読めない。

ジレンマだね。


転生者は例外かな?

ゲオルギオスもアカシックレコードの部屋に入る資格があったという事は私と同じ【言語系】のスキルを持っていたんだろう。


う~ん、翻訳機能つけたらダメなのだろうか?


「インターフェイスさんが通訳すればいいんじゃないの?」


『アカシックレコードを呼び出せば私は裏に引っ込んでしまいますので』


んん?言ってることがわからない。

首をひねっていると、白い巨大な顔が動き、崩れ、折りたたまれ、コンピューターに変身した。


ああ、なるほど。

コンピューターの使い方がわからない者、読めない者に利用させないようにしているのか。

ここまでたどり着いた者がアカシックレコードを選んでこの部屋に色んな人が入れるようになっても、読める人だけが真実を知る。

読める人は噓を言う自由が与えられている……


「なるほど、理解」


再び白い顔に戻った。


『それでは奥の部屋へ進み、最終ボス戦に挑んで下さい。勝利すればダンジョン・コアが手に入ります。健闘を祈ります』


あ、また合成音声に戻った。

てか、結局戦闘あるじゃん……


「ありがとう。新しいダンジョンが出来たら、今度は動き回れる体にする事をおススメするよ。じゃあ、またね」


「ばいばいー」

「ばいびー」

「ばいちゃー」



扉が閉まり、幼女+3匹が見えなくなると、インターフェイスは笑った。


『ふふっ、そうですね。またお会いしましょう……』




扉の先は広々としていて、空間魔法がかかっている事がわかった。

ここは最上階だから、1階同様に一番狭い部屋。

一本道を長々と歩かされた先にここまで広い部屋があるワケない。

だとしたら、また大きな敵が出るのだろうか…?


「みんな無事だった?」


「ああ。お前が最後だ。大丈夫だったか?」とアデルが代表で答える。


よかった、みんな無事だ。

パーティーを組んでいる者達にとって、個人戦は分が悪いと思っていたけど、蒼天のお陰で個々の能力がかなり底上げされていたようだ。


「私達も問題ない」


「オレは嫌いな虫系が出て焦ったぜ」


「俺は人型だったぜ」とヒューバート。


みんなの話を聞くに、苦手意識のある魔物が出たらしい。

お疲れ様です。


「こっちはゴーレムだったよ」


言ったら、みんなが痛みを堪えるような表情をした。

チビちゃんを亡くして落ち込んでいた私を心配してくれているのか。

あうぅ、ゴメンよぉ。嘘なんだぁ……


シロクマちゃん達には口裏を合わせてもらっている。

アカシックレコードの事は秘密にして欲しかったから。

アデル達を信じていない訳じゃない。

ただ、歴代の到達者達が沈黙を選んだように、私も倣うだけ。

本音を言うと、「絶対騒ぎになるもん面倒臭い!」である。


シロクマちゃん達はあんまり嘘は上手ではないらしく、お口チャックしながらビシっとバシッと敬礼をしている。

何かあるのがバレバレだよ。

かわいいからいいけど。


アデル達が指摘する前に、部屋の中央に魔法陣が現れた。

ラスボスの登場だ。


11人は武器を構えた。

俺達の戦いはこれからだ! なんて言ったら縁起が悪いかな?

でも、ピッタリの絵面だと思うんだ。


魔法陣から現れたのは大きめの鏡だった。

それも11枚。

嫌な予感がする……

鏡がこちらを向いた。

それぞれが映り込む。

これはダメだ。

絶対ダメだ!


鏡の中の自分達は少しずつ色が違った。

反対色かな?

私のミルクティーみたいな髪の毛は、鏡の中の自分だと藤色っぽい。

2Pカラーですか?

いや、誰だよあんた……


鏡の中の自分が不意に動いた。

嫌な予感は的中し、鏡の中から人が出てきた。

ドッペルゲンガーだ。


「【アブソリュート ゼロ(絶対零度)】」


鏡ごと自分のドッペルを凍らせた。

すかさず火属性魔法で熱を加え粉々に砕く。

私のドッペルは消滅した。


「「「「「ええ~~~~~~~~っ!!??」」」」」


仲間に驚かれるのはまだ良しとしよう。

でも、他のドッペル達にも驚かれているのは何故???

ドッペルが全員こっち向いてるんですけど!


「ノルマ! 自分のは自分で!」


私は叫んで一人後ろに下がった。

だって、いくらドッペルだとわかっていても、仲間を手に掛けるのは無理なのですよ!


シロクマちゃんのドッペルは黒だった。

クロクマちゃん、かわいいわ。

モフモフして抱きしめたい。

本物のシロクマちゃん達と戦ってるんだけど、なんていうか…肉球でなぐりあってて、そう、キャットファイトだ。

子猫の微笑ましいじゃれ合いにしか見えないわ。


アデル達も自分との戦いに苦戦していた。

おそらく、ドッペルは能力も癖も完全に模倣している。

やり難いだろう。

いくら人間は成長すると言っても、今の自分よりちょっとだけ強くなるのは簡単じゃない。

全盛期の短距離走選手が0.01秒縮めるのも、野球のピッチャーが最速球速を1km/h上げるのも今すぐやれと言われて出来ないのと同じように。


剣士達の鍔迫り合いが続く。

こっちも気が抜けない。

致命傷だとしても、瞬間的に【ヒール(回復)】をかければ命を落とす事はないから。


あ、ノエルが倒れた!

ハンマーが頭に当たったのかな!?

【ヒール(回復)】をかけたが起き上がらない。

うそ…何で……?

胸が上下していないように見える……

まさか……


「【ハートスナイプ(狙い撃ち)】」


ノエルは息を吹き返した。

と、同時に激しく咽た。

ドッペルが起き上がったノエルにハンマーを構える。

ダメダメ!今はガード出来ないでしょうが!

ノエルを【バリア(障壁)】で守る。

そして【ヒール(回復)】もかける。


「ノエル、大丈夫!?」


「あ、ああ……ありがとな、ナナ!」


ノエルは再びドッペルに向かって行った。


良かったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

偶然見つけた【ハートスナイプ(狙い撃ち)】が役に立ってぇぇぇぇぇぇ。

やっぱりドッペルって即死魔法使ってくるんだぁぁぁぁぁぁ。


腰が抜けた。

んもう、ノエルってば石化したり、腕とれたり、死にかけたり、危なっかしいんだから!



一抜けしたのはヒューバートだった。

自分を撃破し、アデルの加勢に入った。


それからはとんとん拍子だった。

ドッペルを倒した者で2vs1の状態にもっていき、トドメを刺して回った。

クロクマちゃん達があっさり倒された時はシロクマちゃん達が憤慨していたが、まあ、体格差とかあるし仕方がないよ。

決してシロクマちゃん達が弱いワケじゃないからね。


最後のドッペルを仕留め喜び合う。

全てが終わるまでに【ハートスナイプ(狙い撃ち)】を更に2回も使っちゃったよ。

恐怖と緊張で指が冷たくなってる。


部屋の中央で魔法陣が光った。

台座と宝箱が現れる。

あれがダンジョン・コアだろうか?


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