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さて、対策を考えると言っても、どんな敵かを予想しても外したら意味ないし、当てられる自信もない。
なので、一通り全部やんないとね。
わかりやすいようにポケットなモンスターのタイプをこの世界に当てはめて考えてみよう。
ノーマルタイプ:殆どがコレ。みんながやっつけてくれるから私がどうこうする必要はなし。他力本願は健在だ。
属性タイプ:ほのおやみずタイプなどまとめてココ。攻撃はみんなに任せて大丈夫。私は防御担当よね。
格闘タイプ:肉弾戦。私の苦手なタイプだわぁ。
毒タイプ:状態異常全般ね。
飛行タイプ:ドラゴンは別枠。グリフォンやガーゴイルなどはもう出た。
ドラゴンタイプ:言うまでもなくドラゴン。【巨大迷宮】では出会わなかったなぁ。
ゴーストタイプ:アンデッドもココ。迷宮以外でいっぱい戦った。もういい。
はがねタイプ:ゴーレムなどはココかな?
エスパータイプ:デバフをかけてくる魔物、かな?
というワケで、対策会議。
「ノーマルタイプはみんながやっつけてくれるでしょ、属性タイプもみんなが、格闘タイプも」
「なんだ、全部俺達か?」とヒューバート。
「私テイマーだもん。直接は戦わないんだもん」
「ボスに魔法でとどめを刺すテイマーが何言ってんだ」とアデル。
「幼女に戦わせようとすんなし。飛行タイプなら、飛ばないように天上を低くするよ」
「アレはいい手法だよな。ずっと飛び回られて無駄に時間を取られないのはいい」とレスター。
「ドラゴンタイプは……私ドラゴンに会った事ないんだけど、どんな感じ?」
迷宮外でも出会った事ないんだよねぇ。
「ドラゴンー」
「狩ってー」
「ボロもうけー」
う~む、シロクマちゃん達の様子をみると、この世界では敬意を払う存在や仲良くなれる存在ではないのだろうなぁ。
「ドラゴンは……以前は逃げるしかできなかったが、今ならどうだろうな?」とヒューバート。
そういえば、冒険者ランクをAにあげる為のギルドの試験で想定外のドラゴンに遭遇したって言ってたっけ。
「ドラゴンとは魔物の中でも別格の存在。正邪もなく、ただ古い存在。昔はよく人間を襲っていたようだが、いつしか人前には現れなくなった。興味を失ったのか、別の理由が出来たのか……」
一番物知りなメイソンが詳しく説明してくれた。
古い存在か……敬意を払った方がいいのでは?
ま、迷宮に出る魔物は人工的に作り出されたまがい物だけど。
「ゴーストタイプは迷宮以外でいっぱい戦った。でも、『リッチ』には会った事ない。即死攻撃とかしてくるの?」
「そういう言い伝えはある。リッチは伝説上の魔物だ。出会えば全滅するな」
「メイソン、それはフラグだよぅ」
でも、【巨大迷宮】はスペースホラーの異形系の魔物が多かったし、アンデッド系は第95階層の『デュラハン』くらい。
うわぁ、ゼロじゃないじゃん……
「ゴーレムとかはコアを破壊すればいいんでしょ?」
「そうだ。戦闘ゴーレムは防御特化だから硬いがな」とヒューバート。
冒険者登録しに行った時、シロクマちゃん達が戦ったゴーレムはあっさり壊されたけど、迷宮産は……ボスには居なかったからやっぱり柔らかかったな。
最後はエスパータイプか……
「デバフをかけてくる魔物っていなかったよね?」
「いや、かなりいたと思うぞ?」とサイラス。
なん、ですと…?
「20%の確立で相手の防御力を半分にするヤツとか、30%の確立で相手を怯み状態にするヤツとか、50%の確立で防御貫通してくるヤツとか」
ほぉぅ、シロクマちゃん達が常に1、2撃で倒していたから気づかなかった。
魔物ってそういうコトしてくるんだ……
最後のこっわ……
私にできる事は『魔法防御』『物理防御』……いや、これはカリンちゃんのスキル【付与】でバフをかけてくれている。
ならば、私がすべき事は貫通を防ぐ何か。
引越しの時に借りた大量の魔導書をアイテムボックスから引っ張り出して探した。
結果、なかった。
いやいやいや、対策しよう?
なんで貫通なんて恐ろしいワザ?を野放しにしてんの!?
でも、とても重要な記述も発見した。
古代には本当に様々な状態異常やデバフを使用してくる魔物が沢山いたようだ。
だが、現代ではいくつもの種が絶滅していると思われる。
そして、即死攻撃をする魔物は『リッチ』だけじゃなかったようで、対策は生み出されていた。
ちょっとフザケた名前だけど、めっちゃ有用な魔法が載っていた。
【ハートスナイプ(狙い撃ち)】だ。
一見攻撃魔法だが、心肺蘇生法を魔法で一瞬でやるヤツ。
ただの死亡には効果なしだけど。
これ、絶対転生者が創ったヤツだよ!
理論とネーミングが如実に物語ってるよ!
でも、これは即死魔法を受けて2分以内なら成功率が高い。
即死魔法は防げない。
だが、対処は出来る。
ならさぁ、『防御貫通』も対処しといてよぉ。
魔法創れるんでしょ?
悪魔にバリア破られまくりでもう自信消失しまくりなんだよぅ。
だいたい防御力無視って何!?
こっちがスキルやアクセでバフを重ね掛けしても全無視ってコト!?
何そのチート。
事象の書き換えって……あれ?イチゴちゃんの【空間移動】も事象の書き換えの一種だよね?
そっか、防御率自体をなかった事にしたのか。
どっちにしろ対処不能じゃん……
いや、リンスは過去イチゴちゃんの転移に干渉してきた。
事象の書き換えは邪魔できる……
方法はわからんがな!
悪魔を倒して1週間が経った。
魔導飛行船が完成したという連絡が来た。
それから更に5日が経った。
全世界の冒険者ギルドから準備が整ったと連絡が来た。
今日、最深部に挑戦する。
こちらも連絡を送った。
「さあ、いよいよだ」とアデル。
セーブクリスタルは私のを使うよう促された。
「なんで?」
「だって、お前、時々何か見てるだろ?」
「え、うん。でも、みんなだって自分のがよくない?」
せめてジャンケンでも……
「踏破したら使えなくなるんだぜ?中身が消えようとクリスタル自体は残るから構わねぇよ」とヒューバート。
でも……と、躊躇っていたら、みんながごそごそと何かを取り出してこっちに見せた。
「あ……セーブクリスタル……」
「俺等の方に本物が1個だけあっても諍いの種になる。お前が適任だ」
記念のクリスタルか。
みんなも結構ミーハーだったんだねぇ。
「わかった。んじゃ、セットするよ」
転移陣のスロットにセーブクリスタルを挿す。
初めて百の位のボタンが光った。
『1』『0』『0』。
みんなを見た。
準備OK!と頷く。
私も頷き返し、確定ボタンを押した。
床の魔法陣が光る。
11人が消えた。
「あれ……?」
移動した先にはドアが8つあった。
転移陣もその場にある。
戻ろうと思えば戻れるのか。
死地に飛び込んだつもりだったのに、肩透かしを喰らってしまった。
もしかして、それぞれのクリスタルで来ればよかった?
いやでも、まるで人数分用意されているみたいにドアが8つとは…
シロクマちゃん達は従魔だから人数にはカウントされていないだろうし。
それぞれのパーティーで転移陣を使ったら、ドアの数は変化し、みんなが同じ場所には来られなかったかもしれない……
「扉を1つ選ぶのか?」とアデル。
「どっちだろうね?みんなで1つを選ぶのか、それとも1人1つずつ選ばないといけないのか?」
ヒューバートが代表でタッチパネルに触れてみた。
『登録しました。本人のみ通れます』という合成音声が流れた。
「1人1つのパターンだったか……」
「こういう場合、ルールを無視したらペナルティが発生しそうだよね」
大人しく従う事にした。
「ここからは個人の戦いになる。幸い、転移陣は残っているからここで引き返しても誰も文句は言わねぇ」
ヒューバートは安全な階に戻って待機していいと言う。
「ナナはー」
「私達がー」
「守るからねー」
あー、うん。『進む』の一択なんだね……
そして誰も戻ろうとしない。
みんななんとなく近くのドアの前に立つ。
タッチパネルに手を当て、登録した。
画面には『OPEN』の文字が浮かんでいる。
「自分のタイミングで行け」とヒューバート。
深呼吸を1つ、2つ……
『OPEN』をタッチすると、ピッと音がした。
みんなも似たようなタイミングで押したようで音が重なった。
ドアが開くと長い廊下が続いていた。
奥は暗くて消失点は見えない。
いやー、ホラーチックなんですけど!?
「今ならまだ戻れるぜ?」とアデル。
ドアの向こうはみんな同じ風景だったのだろう。
不安に駆られたようで、最終意思確認をする。
また『男の子』を発動しているのか、誰も退こうとしない。
意地っ張りだなぁ。
私も人のこと言えないけど。
だって、ここまで来て見届けないなんてないわー。
「んじゃ、抜けた先で会おうぜ」
「「「「「おう!」」」」」
薄暗い廊下を歩く。
こんな狭い場所で急に魔物が出てきたらヤだなぁ。
ジャンプスケア系は苦手なのよ。
ひたすらまっすぐ続く廊下を歩き続け、漸くドアが現れた。
魔物は一切現れなかった。
隠し部屋みたいにパズルを解くのかと思いきや、ただ手を触れただけで開いた。
開けた空間。
まず目に飛び込んできたのは大きな顔。
一昔のSF映画で人工知能搭載のロボットと言えばこんな真っ白の人の顔だった。
たくさんのコードが伸びていて、壁一面に張り巡らされている。
『ようこそ、最深部へ』
合成音声が語り掛けてきた。
これが、最終ボスなの!?
辺りを見渡すが、アデル達はいない。
1人でこんな相手と戦わなきゃいけないの!?
『ここは迷宮の全てを管理するメインコンピュータールーム。そして宇宙の叡智にアクセスできる場所でもあります』
「宇宙の叡智?」
『過去・現在・未来の出来事が全て記録されています』
え……それって、SF作品で似たようなモノが出てきたような……?
『あなたには選ぶ権利があります』
合成音声はとんでもない2択を迫ってきた。
『ダンジョン・コア or アカシックレコード…?』




