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第96階層は格納庫メインの為、多少の小部屋と管制室のみだった。

管制室でコンソールからデータを抜き取る。

考古学者のジスカール・ゲオルギオスの手記の続きもゲット!

サラっと見たけど、完結してはいなかった。

もしかしたら、他の迷宮にもあるかも?


「ここから見えるあの格納庫がボス部屋なのね」


広い。

高さもさることながら、空間拡張の魔法がかけられておらず最初からこんなに広い部屋は始めてだ。


「まだ何もいないな」とアデル。


ここを通過したか、誰も来た事がないか……

どっちにしろ、ここで脱落した人がいない証拠。



「宝箱なかったね」


「物が多かったからな、見逃したのかもしれん」とヒューバート。


確かに、大小のコンテナがいっぱいだったから中身を見て回るのは諦めた。

いくつか開けたけど、全部カラだったし。


さあ、とうとう格納庫に入るのだが。

この奥にボスがいる……

おそらく、今までとは違う毛色の魔物だろう。

今までフロアモンスターとボスの関連性はないみたいだったけど、嫌な予感がするのよね……


「準備はいいか?」


ヒューバートが声を掛けると皆頷いた。


「じゃあ、行くぞ。3、2、1…」

「「「「Go!」」」」


みんなで飛び込むと、魔法陣が現れ……ない?


「ボス部屋じゃなかったり?」


「いや、他に広い部屋なんざなかったし、全部回っただろ?」とアデル。


そうなんだよね……

マップ上では全部訪れた事になっている。

とりあえず、部屋を探索するか。


見回すと、巨大ロボットの整備場だと言われてもおかしくない雰囲気。

巨大コンテナやフォークリフト、そしてカタパルト。

巨大ロボ……乗ってみたかったな……


シロクマちゃん達はすでにどこかに行っていた。


「「「いーーーーーーやーーーーーーーーーーーっ!!!」」」


どうしたっ!?

泣きながら走ってくるシロクマちゃん達。

その後ろから迫って来るのは……


「いやーーーーーーーっ!」


シロクマちゃんくらいの大きさのサソリに似た何かが大量に……!!!


飛び込んできたシロクマちゃん達を受け止めて、バリアを張った。

サソリはドーム状のバリアを登ってきて、埋め尽くした。


「有り得ない!有り得ないんですけどーっ!!!」


サソリも怖いけど、数が無理!


「うえ~ん、ムリ! 無理! むり!」


しゃがんで頭を抱えていたが、シロクマちゃん達はもう立ち直って臨戦態勢に入ってた。


「あー、ビックリしたー」

「うー、まいったー」

「おー、ぶっ飛ばすー」


シロクマちゃん達がバリアを解くように言ってくるが、無理だよね?


「私が電撃で撃退するから、バリアを解いたら全部アイテムボックスに収納してくれる?撃ち漏らしはみんなに任せてもいい?」


リーダーのヒューバートが頷いたので、【サンダーバード(疾風迅雷)】を放つ。

雷の霊鳥が竜巻を起こしサソリを巻き上げ、雷でトドメをさす。

嵐が治まりサソリが降ってくるが、バリアに弾かれ落ちてゆく。

バリアを解除すると、シロクマちゃん達がせっせとサソリを収納していく。

流石に数が多く、撃ち漏らしも結構あって飛び掛かって来るが、ヒューバート達が斬り伏せていった。


「ふう、数は多かったけど強い敵ではなかったね」


「バリアあってこそだ。お前がいなかったらどうなっていたかわかんねぇ」とヒューバート。


ありがとな、と頭をポムポムされる。


が、突然照明が落ちたかと思えばオレンジ色のパトランプが回り出し、アラートが鳴り響く。

そして部屋の中央にスポットライトが当てられ、床が開き、ゆっくりと下から何かがせり上がってきた。

サソリはボスじゃなかった!?

あんな登場の仕方をするなんて、もしかして、もしかして…!?


「巨大ロボじゃないじゃん!」


つい裏手ツッコミをしてしまったじゃないか!


出てきたのは二足歩行の…トリケラトプス?

怪獣ってコト…?

なんでやねん!

そこはロボが出てくるところでしょ!


「恐竜だー!」

「怪獣だー!」

「宇宙大戦争だー!」


シロクマちゃん達の目がキラキラしている。

倒したいのよね?

なりたいワケじゃないのよね?


照明が元に戻る。


それにしてもデカいわ。

いや、怪獣にしては小さいかもしれないけど、それでも20メートルくらいありそう。

イーデン王国で浄化した白い巨人といい勝負だ。


まあ、ロボに乗らずに怪獣と戦うお話もあったし、火力と機動力さえあれば倒せるんだろうけど……


「これ、S級じゃない?」


「だな。一旦退くか」


ヒューバートの判断に皆従った。

イチゴちゃんに扉の向こうに転送してもらう。


「ヤベェな…」とヒューバート。


「倒すというビジョンが見えない」とロイド。


「でも足元に居たら俺等のコト見えなくない?」とレスター。


「それ、いいな」とサイラス。


「いや、すり足しただけでオレ等すり潰されね?」とアデル。


「そうですね、あまりに巨大過ぎて、避けるヒマなさそうです」とメイソン。


「いっその事、初っ端に転倒させます?」とノエル。


「あれ、多分、四つ足の方が動き早いと思うよ」


大きいから動きが遅いとかそんなことはない気がする。

このままだと、全滅もあり得る……


「何か知っているのか?」とアデル。


「ううん、ただ、爬虫類っぽいと思って。それに、大きさだけなら白い巨人と張るから。S級が苦戦する程なら、そんなに甘くないんじゃないかと…」


「ふむ、一理あるな」とヒューバート。


よかった。

どこか本気じゃないというか、楽観視している様子だったから危なかった……


「ロックサーペントを倒した方法でいくか?」とアデル。


「複数打ち出さないと当たらないかも」


「相手が素早く動き回るのなら難しいかもな」とサイラス。


「動きを止めるのなら、やはり凍らせるか?」とレスター。


「そもそも、素早い相手に魔法を当てるのは至難の業なんだよ」とメイソン。


フィールドごと凍らせるという手もあるが、それだと自分達の動きも制限される。


「俺の持っている姿隠しのローブを使ってお前等は潜んでいろ」とヒューバート。


蒼天を倒した時に出た宝箱に入っていた迷宮遺物だね。


「でも、それだと乱戦になった時に流れ弾が当たっちゃいそう」


「それもそうか…」


「私がバリアの中に閉じこもって囮になる?」


「それはダメだ」とアデル。


結局、それぞれが最大火力をぶっ放してみて一旦様子を見て、ダメならまたここに戻ってこようという事になった。


ラムネちゃんに敵の位置を教えてもらい、死角となるコンテナの裏に転移してもらう。

各々物陰に潜みつつバラける。

怪獣には気付かれていない。

まずは誰が仕掛けるか……


「ナナっ!!」


アデルが叫ぶ。

背後で何かが破裂した。

振り向いた。

サソリがいた。

ラムネちゃんが真っ二つにしてくれた。

いつの間にかまたサソリに囲まれていた。

シロクマちゃん達が応戦する。

アデル達もサソリに応戦しているようだ。


でも、私の視線は床にあった。

砕け散り、土塊に戻ったチビちゃん。

サソリの毒針から庇ってくれたのか……

しゃべることが出来ないから、声で警告することが出来ずに身を挺して……っ!

土の中から魔石を拾い上げる。


ごめんね……ありがとう、チビちゃん……



せっかく潜んでいたのにサソリの所為で居場所がバレ、怪獣が暴れ出した。

やはり四つ足になって走り回る。

壁まで走り手がつけられない。

ヒューバート達は怪獣の動きに気を付けながらもサソリを捌くのに手いっぱいで攻撃のチャンスがない。


しかし、怪獣が急に止まった。

ピタリと動かなくなった。

あれ? トカゲの行動と似てる?

もしかして……?


「怪獣は走っている時、呼吸が出来ていない!止まった時がチャンス!」


わかった! とあちこちから返事が聞こえた。

が、サソリが邪魔でそれどころではない。

ああ、もうっ! 先にサソリを何とかしないと!


「ラムネちゃん、サソリが何処から湧いているかわかる?」


「んーとねー……今は湧いてないみたい」


そっか、無限湧きじゃなかったのか。

私達が一旦外に出ちゃったから何かがリセットされた?

もしくは時間経過でまた湧く?

これは早期決着が望まれる……


程なくしてみんなサソリを全滅させたが、だいぶボロボロになっていた。

みんなに【ヒール(回復)】と【アンチドート(解毒)】をかける。


また怪獣が暴れ出した。

今度は破壊光線を吐いてくる!

でも、これを凌いだら攻撃のチャンス!

私も必死に逃げる。


よし、止まった!

みんなで一斉に攻撃を仕掛ける。

が、あまり効いていないようだ。

魔法も物理もダメージが通りにくい。


素早い相手に大ダメージなら1つだけ方法はある。

でも、できるかな?

ううん、やるんだ。

チビちゃんの為にも……


「カリンちゃん、大砲の弾の形をした鉄の塊を創ってくれない?」


「らじゃー」


えっと、左腕をマイナスに、右腕をプラスにして電流を流せばローレンツ力は私とは反対方向に働くから弾は敵に向かって飛ぶ。


「じゃあ、合図をしたら私の腕の間に弾を落として」


「「おけー」」


イチゴちゃんとカリンちゃんが私の両肩に乗り、弾を構える。


「みんな! 射線をあけて!」


みんな一斉に怪獣から離れてくれたが、丁度息が整ったのか、私の声に反応して怪獣がまっすぐにこっちに走ってきた。

覆いかぶさるように上体を上げた。


「今よ!」


落とされた弾はフレミングの左手の法則に従ってぶっ飛んだ。

それは怪獣の腹を突き破り、向かいの壁にめり込んだ。

血の雨が降る。


みんなは喜んでくれたけど、チビちゃんはもういない……


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