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終末世界の生き残り 抗う果てに巡る旅  作者: 鷹鴉


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38話 一夜の遊戯の後半戦

 現在それぞれが思い思いの進み方をし、まず怒神は何度も戻され何度も騙され下落し現在の役職は貧民。


 ファザーは魔法学院を首席で卒業、王宮付きの魔法使いとしての地位を確立中。


 儂は初期に得た竜の卵が孵り、竜と親子のような間柄を成しながら竜の幼子を狙う者たちから逃走中。


 エンデは生み出した魔法具が高値で売れ、それを軍資金に魔法具ブランドの社長となったことで、この中で一番の大金持ち。


 これを見れば一番成功しているのはエンデ、次にファザーだろう。儂は竜と疑似家族となっているのは悪くないし、物語を見ている気分で中々楽しい。だが竜を狙う者たちから追われている為、遊戯で競っている儂としては中々に不味い。傍から見ればかなり良い物語を見ている。傍から見れば、だ。


 一番悲惨なのは怒神だろう。不利益にしかならないマスに止まり続け、果には裏社会の組織から金を借りギャンブルで散財し怒神に残るのは莫大な借金のみ。ここから逆転するのは難しいだろう。だが難しいだけだ。この遊戯に何が起きても不思議ではなく、完全に無理だとは呼べないのが怖いところではある。しかしどちらにしろ難しいのには変わらない。


『一発逆転!』

「それをいうのは何度目だ?」

「それを言い始めて五回目だよ。一発転落ばっかりだけど」


 怒神が投げたサイコロは一を出し、怒神の駒が一歩進む。すぐ側には古代遺跡のミニチュアがある。


『……!!!』

 マスに現れた文字を読み、怒神が声にならないほどの歓喜を身体で表した。さっきまでのことで溜まりに溜まっていたのだろうな。儂だってこんなにも負の方面ばかりからの急上昇は歓喜が弾ける。


「古代遺跡で世紀の大発見。人智の限界点と呼べるほどの魔法を身につける……あ、遺跡消し飛んだ」

 駒から放たれた魔法でミニチュアの遺跡が文字通り消し飛び、怒神が今の魔法が記されたカードを取る。怒神はこの中で一番の武力を手に入れたと言っても過言ではないだろう。


 現状、それぞれの方向性が違うため先の展開があまり読めない。エンデ曰く、それぞれの駒同士の交流や敵対もあるそうだ。怒神と敵対した場合がかなり怖くなった。


{ほう?}


 ファザーから興味深そうな声が上がる。サイコロは二を出し、その面には何の変哲も無い砂漠しかない。だがそのマスには、遠征調査中にサンドワームが出現。カードから魔法を出して討伐しよう。と書かれている。盤面上にはサンドワームとやらはいないが、盤面の上に透ける程度に大きく長い胴体を持つミミズのような生物が映し出された。ファザーが手札から一枚カードを出し、そのカードから炎が飛び出す。


 それが直撃したサンドワームは苦しむような仕草で消滅した。そしてファザーが使用したカードが消滅した。どうやら魔法系のカードは消耗品のようだ。


 儂は魔法系のカードを一枚も持っていないから知らなかった。


 ファザーの番が終わり、次に儂の番になり、サイコロを投げる。流石に投げ慣れてきたが、まだ狙った目を出すのは難しい。未だ出る面にはブレがある。


 出た目は一。落胆しかない。全然進まないのもあるし、何より儂の駒の後を追う者達が追い付く。竜を狙う者達は必ず二マス分進む。三以上が出れば大きく話せるが、離れ過ぎれば馬を使い進むマス量が上がり厄介この上ない。そしてこいつ等が追い付くと……


 今度こそ竜を頂こう。と、その口上と共に儂の駒にミニチュアの男達が襲いかかる。一応、逃亡生活で得た忍び足や全力疾走などの技能のカードを使えば逃げ切れるが、今さっきのファザーを見て考え方は変わった。


 遊戯が始まってから何度も追う者達と遭遇しているが、現状同じミニチュアの者達しか追いかけて来ない。ならば全員倒せば当分は来ないはずだ。これまでの逃亡生活で得たカード。この遊戯の自由度は他の遊戯の何倍もある。ならこの行動もできるはずだ。


「さぁ、技能カード。竜の息吹を喰らわせてやれ!」


 得たカードは儂のだけではない。竜の技能のカードも同時に得ている。竜が炎の息吹を喰らわせている間に、儂はカードを更に使ってとどめを刺す。使うカードは物品、弾け玉。エンデの魔法具ブランドから購入した弾ける玉。エンデ曰く掘削用に使われる魔法具だそうだ。ならば破壊力殺傷力は十二分にあるはずだ。


 弾け玉で追跡者を倒した。追跡者から竜を狙う貴族の情報を手に入れた。一枚のカードが手に入る。このカードは情報だけのようだ。いざとなったら魔法使いや他貴族に泣きつく用の交渉材料になると期待しよう。


 次にエンデの番になる。サイコロは三の目が出た。


「あっ」


 何かを察したエンデが声を上げる。その原因であろうマスの文字に目を移すと、そこにはこう書かれていた。魔王が入店し、大人買いをして帰った、と。意味不明である。魔王当人であるエンデも困惑している。ただ魔王の大人買いの結果エンデの所持金が倍近くになっており、現代換算だと都市予算並だ。代わりに商品は底をついたようだが。




 現在、この場には殺伐とした緊張感が漂っている。現在のミニチュアの状況が国同士の戦争状態だからか、怒神が第三勢力として暴れているからか、ファザーが王直属の筆頭魔法使いの役職を失わない為に国王の暗殺阻止に奔走しているからか、儂が立派に育った竜と共に竜を狙う敵国の貴族と王を敵対視しているからか、エンデの魔法具の会社と魔王が陰謀の結託をしているからか、もしくはこれ全てがこの緊張感を生み出しているかは分からない。


 ただ一つ分かることがあるとすれば、それはもうゴールが近いということだ。いくら目が少なくとも、サイコロを数回投げれば到達できるほど近くなっている。


 怒神がサイコロを投げる。何も無し。ファザーがサイコロを投げる。何も無し。儂がサイコロを投げる。何も無し。


 ……何だこれは。今まで何も無いマスは何度かあったが、これほど三者で三回連続で何も無いマスが出たのは初めてだ。


 この周目の最後であるエンデがサイコロを投げる。


 出た目の分エンデの駒が進むと、膠着状態だった両軍のミニチュアが動き出し、儂、エンデ、怒神、ファザーそれぞれの駒に文字が浮かび上がる。


 儂の場合は竜と共に元凶である敵国を打ち倒し平穏を手に入れろ。


 エンデの場合は魔王との策謀で敵国の王を暗殺した。敵国の協力者と共に国を手に入れろ。


 怒神の場合は陥れられた悪徳貴族が一方の国にいると知る。もう一方の国と協力し英雄となれ。


 ファザーの場合は暗殺組織の集団を発見。王を守りつつ敵を一掃せよ。


 ちなみに全員共通で敵対している国は同じである。


 そこからの光景は盤上のミニチュアとはいえ壮観だった。竜の息吹が敵兵のミニチュアを吹き飛ばし、怒神の駒から魔法が放たれミニチュアの敵兵や悪徳貴族に向かって飛んで行き、ファザーの魔法は暗殺組織を全員打ち倒して王を守り切り、エンデからもたらされた魔法具が味方の兵と共に魔王と共に敵を一掃して行く。


 一瞬にして国が滅び、エンデと魔王の陰謀で新たに国を背負う者が現れ一瞬で国が興った。早い。あまりにも早い。現代の知識では最低でも一月掛かるようなことを一瞬で終わらしているのは遊戯とはいえ凄まじいと形容する他無い。


 そんな乱戦が終わり、また順にサイコロを振って行く。怒神は一。ファザーは二。儂は五。そして最後にエンデ。


 結果、エンデの番になった時に六を出しゴールに到達。魔法人生の勝者はエンデとなった。

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