味見
レヴァント。
広場。
張り詰めた空気。
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ゼルヴァ=グランは静かに葵を見つめていた。
敵意のない視線。
だが明らかに異質。
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「……お前か」
低い声。
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誰も動けない。
猫族は毛を逆立て、
リオは即座に位置を取る。
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葵だけがわずかに戸惑う。
「えっと……誰?」
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一瞬。
沈黙。
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ゼルヴァの眉がわずかに動く。
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「ほう……」
小さく笑う。
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「本当に自覚なしか」
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ジーナが警告。
「葵。危険度高」
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ゼルヴァの視線がジーナへ向く。
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「人工知性体……か」
興味深そうな声音。
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「面白い集団だ」
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葵が苦笑する。
「いや、いきなり現れてそれ言われても……」
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その瞬間。
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ゼルヴァの姿が消えた。
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地面が弾ける。
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「……っ!」
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一切の前触れなし。
魔族特有の瞬発的踏み込み。
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次の瞬間、
リオの前にゼルヴァが現れる。
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「まずは」
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魔力刃展開。
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「味見だ」
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激突。
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リオが咄嗟に防御魔法を展開。
だが衝撃で弾き飛ばされる。
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「リオ!」
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セラの風が吹き荒れる。
軌道修正。
追撃阻止。
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カイン型とは違う。
ゼルヴァの動きは読めない。
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猫族が飛び込む。
「はや……っ!」
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爪撃。
だが空振り。
残像。
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ゼルヴァが背後へ回る。
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「反応は悪くない」
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次の瞬間。
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葵の身体が自然に動いた。
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偶然のような一歩。
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ゼルヴァの斬撃軌道がわずかにズレる。
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「……?」
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刃が空を切る。
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一瞬の静止。
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ゼルヴァの瞳が細まる。
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「今のは……」
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葵は自分でも理解していない顔。
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「え?」
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短い衝突。
だが十分だった。
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ゼルヴァは追撃しない。
後方へ跳躍。
距離を取る。
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「なるほどな……」
低く呟く。
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「勇者とは違う」
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視線は葵へ。
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「これは確かに」
わずかに笑う。
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「計算を壊す側だ」
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戦闘はそこで止まった。




