表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/54

葵と魔族

レヴァント。


昼下がり。


乾いた風が通り抜けていた。



広場の一角。


木箱を並べた即席の作業場。



葵は工具を手に、少し困った顔をしている。


「……これ、どう組むんだ?」



目の前には簡易搬送台。


人間圏らしい雑多な構造物。


増設前提。


現場改造済み。



作業員の男が笑う。


「適当でいい」


「いや適当って……」



「壊れたら直せばいい」


あっさりした返答。



葵は苦笑する。


この街では、この理屈が本当に通じる。



ジーナが静かに補足する。


「構造強度の概念が可変設計寄りです」


「便利な言い方だな……」



その時。



わずかな違和感。



空気がほんの少しだけ揺れた。



葵の手が止まる。


視線が自然に上がる。



「……また?」



ジーナが即座に反応。


「周辺確率変動を検出」



リオの表情が変わる。


「来たか」



だが今回は様子が違った。



敵意の気配ではない。


魔力圧でもない。



どこか粘つくような感覚。



セラが空を見る。


「……視線?」



次の瞬間。



広場の端。


空間がゆるやかに歪んだ。



光。


ではない。


影の揺らぎ。



そこに立っていたのは、


見慣れぬ存在。



長身。


黒い衣。


赤い瞳。



猫族が即座に身構える。


「……だれ」



ジーナの声がわずかに低くなる。


「高位魔族反応」



葵の背筋に冷たいものが走る。



男は静かに周囲を見渡し、


やがて視線を葵へ向けた。



わずかに笑う。



「……なるほど」



その声には、


明確な敵意も殺気もなかった。



ただ純粋な興味。



「お前か」



レヴァントの空気が、


初めて明確に張り詰める。



葵は言葉を失った。



世界の揺らぎが、


ついに直接形を持って現れる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ