勇者パーティvs幹部2
ゼルヴァ=グランの魔力が膨張する。
空気が震え、
大地の焦げ跡がざわめく。
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「総員、位相を上げろ」
静かな命令。
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背後の高位魔族たちが同時に魔法陣を展開する。
複数詠唱。
複数干渉。
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ミアの表情が変わる。
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「……来る」
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次の瞬間。
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戦場全域の光景が歪んだ。
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上下感覚が狂う。
距離が伸び縮みする。
音が遅れて届く。
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広域認知攪乱結界
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ガルドが歯を食いしばる。
「視界が……!」
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セリスの魔法光がわずかに乱れる。
照準補正が効かない。
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カインが舌打ちする。
「厄介だな……!」
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勇者の未来収束だけを狙った戦術ではない。
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パーティ全体の感覚を削る攻撃。
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ゼルヴァが小さく笑う。
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「勇者依存戦術は読まれている」
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「ならば仲間ごと揺らす」
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魔族軍が一斉に踏み込む。
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死角。
錯覚。
誤認。
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攻撃が四方から襲いかかる。
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だが。
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「右、二。下がって」
ミアの声。
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彼女の瞳だけが揺れない。
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未来収束ではない。
純粋な観測と演算。
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「幻影率が高いだけ」
冷静な分析。
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「本命は前」
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アルテリオが即座に踏み込む。
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錯覚の層を無視。
真正面。
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そこへ。
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ゼルヴァの魔力砲撃。
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直撃コース。
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だが。
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「通さない!」
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ガルドが前へ飛び出す。
巨大盾を展開。
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激突。
爆発。
衝撃波。
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盾が軋む。
足元が砕ける。
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それでも耐える。
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「ぐ……っ!」
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次の瞬間。
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「そこ」
セリスの声。
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光線が走る。
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攪乱結界を貫き、
ゼルヴァの側面障壁を撃ち抜く。
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一瞬の隙。
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カインが消える。
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高速踏み込み。
間合い侵入。
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「捕まえた」
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刃がゼルヴァの脇腹を裂く。
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血飛沫。
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ゼルヴァの目が細まる。
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「……やるな」
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だが退かない。
むしろ笑う。
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「それでこそだ」
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アルテリオが静かに間合いへ入る。
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剣が振り下ろされる。
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結界。
障壁。
魔力。
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すべてを叩き割る一撃。
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大地が爆ぜた。
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魔族軍が息を呑む。
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攪乱結界の中でさえ、
勇者パーティは連携を崩さなかった。
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ミアが小さく息を吐く。
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「……乱れているのは世界じゃない」
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視線はゼルヴァへ。
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「順応できていないのは、そっち」
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ゼルヴァの笑みが深まる。
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戦場は、まだ終わらない。




