8章万歓楼
帳家から謝砂たちが謝家に戻り数日がたった。
瑛と宝探しで見つけた戦利品を至る所に飾るのを姜に手伝ってもらっている。
玉で作られた花のミニ盆栽は一番高価そうに思えて大広間に飾ることにした。
埃がつかないよう柔らかい布でピカピカに拭いていた。
「これは箸だけじゃ申し訳ないと言ってもらったんんだ。姜ちゃんも帳家に一緒に着たらよかったのに楽しかったよ」
「行かなくてよかったと思います。また宴の席でやらかしたのですか?」
「何もしてない。爛に聞いてくれ。ほら爛もいるし休憩しよう」
「いつも通りだった。人は寄りつかない」
「だったらなぜ文が世仙家から毎日届くのですか? 謝家の仙府以外から」
ちょうど爛が通りかかって室の中に招き茶を入れて休憩する。
「謝砂がちょっと精怪を祓ったから色々重なって修練を学びたいと人が集まってきたんだよ」
帳家からの噂は広まり謝家には腕試しと来た仙師たちが集まっていた。
桃家の公子が謝家で学んでいると広まり他にも学ばせたいという教育熱心な家から文が届くようになってしまった。
廊下をバタバタと歩く足音が聞こえて姜が茶をもう一つ用意した。
「姜ちゃんどうしたの?」
「柳鳳が戻ってきました」
姜が茶を入れ終わるとちょうどよく扉の前で立ち止まり柳鳳の声がした。
「爛様いますか?」
「入っておいでよ。姜ちゃんが茶を入れてくれたよ。柳鳳も戻ってきたんだね」
さっと柳鳳が扉を開けて入ってくると懐から書を取り出し爛に手渡した。
「柳鳳、何か桃家であった?」
「万歓楼で祟りが起きたというのです。話をきくと邪鬼が現れて祟りが起きたというのです。立ち寄った仙師も数名いた晩なのですが仙師も万歓楼から姿を見たものがいません」
「桃家の傘下である柳家が管理する柳雷州の近くの万歓楼は有名な妓楼です」
「万歓楼という妓楼は料理も上手く、芸達者な妓女たちは花や蝶よりも美しいと噂の店だ」
「爛様は興味がなくても名前ぐらいは知ってたんですね。有名ですから。謝砂兄さんはいったことはありません? 兄さんなら誘われて花のほうから一輪や二輪愛でられてはいませんか?」
姜が黙って柳鳳に謝砂が帳家から持ち帰った木でできた馬のおもちゃを投げようとした。
ぐっと手を押さえて何とか謝砂が止めたのをみて柳鳳が謝砂の後ろに隠れた。
「お兄様止めないでください。お兄様を誘うなんてどうかしています。今その頭から花を摘みとってやります」
「やめるんだ。柳鳳に悪気はない」
謝砂は姜の手から奪い取り周りをきれいに片付ける。
爛も剣を鞘からちらつかせ柳鳳を刃に映すと大人しく座った。
「いえありませんよね。失言でした」
「柳雷の万歓といえば誰でも名前ぐらいは知っていますよ」
謝砂は柳鳳が爛に報告していたのを流し聞きしていたが、仙師たちが立ち寄る店としても有名で御用達の店で仙家に見受けされる妓女も珍しくなかった。
舞いや奏でる楽師が多くいて宴ごとには花は欠かせない。
そのため妓女たちが店で死んだあと町の無縁塚に入れられるが丁重に弔われていた。
供養は顔見知りの仙師たちが行っていたといい害は一度も起きたことがなかった。
「それで害が起きたというのは?」
「近くの塚で何を見たのか恐怖から泡をふき胆汁をはいて死んだという墓荒らしの骸が見つかったのがはじまりです」
「発見者は?」
「墓荒らしの依頼人です。待ち合わせにいつまでたっても来ずしびれを切らした依頼人が早朝になって探しに行ったといいます」
「墓荒らしと妓楼の関係は?」
「その依頼人は妓楼が雇っていた用心棒で以前からもよく妓女の遺体を捨てたり遺体から身に着けていた金目の物は売ったりしていたのですが、しかしその日は抜け出せず手下にさせたというのです」
柳鳳が声を低くして話すのを姜は呆れたように茶を飲みながら聞いた。
「ではその依頼人が自分も呪われてると恐怖にかられ狂乱し恐怖から死んだとかの話ですか?」
「そんな単純じゃなくて妓楼で害が起きたから調べに行かないといけなくて爛様と謝砂兄さんも調べてくれませんか?」
「噂には続きがあって昔の妓女の怨念だというんです。知ってますよね。怨念は女の方が強いということは。特に恨みを抱いたまま散った花の怨念は深いんです。妖丹を持っている悪鬼だったらと桃家も柳家も手に負えません」
見受けすると待っていた男は別の妓女を見受けしたという。
どんなに金や宝石を積んでも相手にしてもらえず、ひと時を過ごせるのは気まぐれのみ。
花のように血が飛び散り最後まで綺麗だったという。




