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7章蛇妖の精怪6

 蛇妖は有眉を丸のみしたが呑み込む途中で痞えているようだ。

 体を上下に揺すったり何度も舌を出して喉の奥へと送ろうとするがポコッとした膨らみがある。

「妖毒を吸わないように鼻と口を袖で塞げ。毒が下に降りるまで呼吸は浅くするように」

 爛は桃展たちを後ろに下がらせた。

「霊蛛で包まれて呑み込みずらいようですね」

「強制的に押し込むようです」 

 蛇妖は倒れた木に体を撫でつけて流し込もうとするが引っかかりは取れない。

 攻撃するよりも木の重なった合間を縫うように蛇妖は這うが呑み込めていない。

 

 柚苑が持っていた呪符を蛇妖に飛ばした。

 バンバンと呪符が燃え木々の間から体をうねらせて出てきた。

 桃展と桃常、雪児も剣先を向けた。

 木の合間から出てきた蛇妖は首を伸ばし桃展たちと目線を合わせた。

 桃展や桃常が剣を持ち振り上げると斬ると言うよりも棒のように蛇妖の体に叩きつけているようだ。

 蛇妖の低い唸り声が響いた。

「避けるんだ。飛べ」

 爛が叫ぶと同時に地面を蹴って身を翻すと飛んできた尾を桃展たちは避け地面に倒れていた修師たちを飛ばした。

 蛇妖の額が赤く光った。

 蛇妖は目を光らせて口を開けたまま塵昌に目がけていく。

「謝砂はどこだ?」

「あそこです。謝宗主まで蛇妖に食べられてしまいます」

 帳荻が指差した。

 爛が見たときには謝砂は塵昌の隣へと避難していたが蛇妖が頭を向けていた。

「なんで一緒にいるんだ」

 爛はぐっと拳を握りしめた。

 蛇妖よりも先に謝砂に向かって飛んだ。

 謝砂はマントから出ていた腕を爛にぐっと掴み上げられるとふわっと体が浮いた。

 そのまま宙に高く飛び腰を引き寄せられる。

 爛の剣は謝砂のかぶせたマントのフードを引っ掛けて持たれている木に刺した。

 護符で弾かれた蛇妖は頭を打ち付けたように首を縮めて頭を振った。

 謝砂は爛に支えられて地面に着地した。

「爛」

「謝砂! 塵昌のそばにいたんだ? 危ないだろ。塵昌も狙われている」

「あそこだけ妖気がなかったんだ。狙われないと思ったんだよ。霊力を流したついでに魂に入った妖気を修復したんだ」

「肩を寄せて謝砂の外套に包まってたのか?」

「蓑虫みたいに言わないでくれ。そうだよ。塵昌も寒そうだったからかけたんだ」

 爛が黙って自分の羽織を脱ごうとする。

「今は寒くない。まだ厚手の外衣を着てる」

「謝砂兄さん、有眉殿は大丈夫でしょうか?」

「霊蛛で包んでしまえば食べられても蛇の毒にもしばらく溶けずに持つはずだ」

「謝砂兄さん擦り剝けてますよ」

 柚苑に言われて手の甲を見ると擦り剝けて赤くなっていた。

「うん? どこで擦ったのか覚えがない」

「私が謝砂を引っ張ったときだ」

「爛が助けてくれたときか。だったらよかった」

「よくない」

「そうかな? 痛くないよ」

「宝探しは終わってない。まだ謝砂と私の手持ち提灯は灯りが灯ってる」

「まだ続けるのか?」

「私は宝を探してないから付き合ってくれ。謝砂と私の宝探しだから帳荻殿も手出し無用。蛇妖の精怪は私がゴミだろうか祓う」

 爛は理由は分からないがすごく怒っていた。


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