7章蛇妖の精怪5
「あ、姉上……」
塵昌は目を開けたが薄れている意識の中でぼやけてたまま見ているしかなかった。
普段なら魂に傷が入っていても霊力で定着しているが同じように跳ね返された妖気を浴びた。
生気も取られて霊力は底をつきかけたのか寒くなっていく。
ガクッと首が傾く前にグッと肩を掴まれた。
「しっかりしろ。有眉殿は糸で包んでいるからしばらく持つ」
謝砂は有眉が食われてすぐに怖くなり避難できそうな場所を探した。
襲ってこなさそうなところを探すと塵昌がいたところだけが妖毒がなかった。
謝砂は塵昌に駆け寄って体を木に持たれ貸せた。
「どうして私のところに?」
「避難したんだ。さむいだろ」
謝砂は纏っていたマントを脱いで外すと塵昌の視界を覆う。
謝砂は塵昌の隣にしゃがみ身を隠すようにマントを広げて掛けた。
「ここに、いると、狙われ、ますよ」
塵昌は言葉を詰まらせ途切れつも尻を浮かせて横に移動すると謝砂もマントの中に詰めて入った。
塵昌の袖先から出ている手の上に指先が触れる。
氷に触れたみたいな感覚に手を擦った。
「冷たいな。熱はないか?」
謝砂は塵昌の額に触れた。熱はなく手と同じぐらい冷たい。
しかも微かな妖気を塵昌の額から薄っすらと黒い煙が見えた。
蛇妖の妖気を浴びたせいだろうか。
「マントを羽織らずに薄着だから冷えたんだろ。夜の山は気温の変化に気を付けないと」
「外套のことですか? 冷たいのは生気と霊力を消耗したからです」
「その辺には棺だらけだけど入らないでくれよ。今霊力を流すからじっとしていてくれ」
額に霊力を流して送っていると塵昌の魂は亀裂が入り傷ついているのが分かった。
新しい傷じゃなくずっと前の古い傷のようになっている。
微かに残った霊力で覆っているが亀裂をつないでいるのは黒い妖気だ。
「ちゃんと修復する。霊力で修復すればすぐにあったかくなるよ」
(やっぱり妖気が入ってる。蛇妖の妖毒なのかな。駆除するまでの応急処置にはなればいいけど)
塵昌の魂から妖気が抜けて亀裂が修復したのが見えた。
妖気で繋いでいたのが霊蛛の白い糸で補強すると金色のつなぎ目になってみえた。
謝砂は塵昌の顔色は青ざめたままだが暖かさが戻る。
「私も姉上も魂に妖気で傷を繋がれています」
「有眉殿は大丈夫だ。糸で包んでいるから呑み込まれていても妖毒には触れないよ」
塵昌は限界だったのか気を失っていた。
謝砂は白いマントに仙筆を振って護符を取れないように霊蛛の糸で巣をつけた。
「有眉殿も後で修復するよ」
「謝砂危ない」
謝砂が顔を上げたときには蛇妖の目は片目は塵昌、そしてもう片目には謝砂が映っていた。
ぐっと掴まれた腕を見ると爛に引っ張られ一撃を避けれた。
蛇妖は塵昌を狙っていた。
マントにはりつけた護符で蛇妖を弾いたが勢いに塵昌は気を失った。
赤黒く光った目は謝砂に向けられた。




