7章 有眉と昌
塵昌と有眉は会場のちょうど中腹区間にいた。
大勢が探し終えて通り過ぎた後で残されたものがないか探していた。
二人だけしか周りにはいなくて遠くに手持ち提灯が見えるが話が聞こえる距離ではない。
剣で探りながら放置された棺を開けていた。
「昌、何か見つけた?」
「うん。根付を見つけたよ。姉さんは?」
「宝玉の髪留めよ」
有眉は見つけたばかりの睡蓮の髪留めを見せた。
花の中央には黄色い石が小さく埋め込まれている。
「似合ってるね。ところで宗主から姉さんは何を言われているのか教えてくれる?」
「何もよ。何も言われてない。ただ祝ってくるようにとだけ」
「本当にそれだけ?」
「ええ。祝いの品は宝探しの時に届けられると言われているから受け取らないといけないんだけど届いたら届けてもらうようには頼んでいるわ」
塵昌と有眉が帳家で宝探しまで参加していたのは誕辰を祝ってから家に帰れという命令だったからだ。
祝ってからというのは宝探しにも参加することまで考えられてのことだとわかっていた。
塵昌と有眉は陣が現れたのを感じると同時に霊力をぐっと引っ張られた気がした。
魂を直接掴まれたような感覚に息苦しくなり胸を押さえる。
結界の中に入るためには陣の眼が必要だ。
「かはっ!」
妖気が巡り体中を突き抜かれたような感覚に塵昌が耐えきれず血を吐いた。
有眉はぐっと奥歯を噛みしめて耐えた。
霊力を整えてすぐに塵昌の経穴を封じる。
ぱっと閃光を煌めかせて光った陣からは巨大な蛇が出現した。
黒い妖気を漂わせているがぼわっと青白く光りを放っている精妖だ。
魂ではなく妖丹を持っている。
有眉は塵昌を抱えて後ろに飛び下がる。
空っぽの棺を片手を翻して蛇妖の精怪へと吹き飛ばすが皮膚のほうが硬く頭で軽く弾かれて壊れた。
シュルっと長い舌を出し塵昌と有眉に触れる手前でひっこめた。
にやっと細めになって笑ったような気がした。
「贈り物とは蛇妖の精怪だったなんて」
頭は向けたままで尾から木々の合間をうねうねと体をくねらせた。
置かれている開けられた棺や宝箱はベキベキと推されて壊されていく。
まだ開けられていない箱は押しのけられてちょうどいい太さにした木を見つけると体を巻き付けた。
「人が集まらないうちに蛇妖を閉じ込めないと。塵昌しっかりして」
蛇妖は大きな口を開けて食べようと襲ってくるのを有眉が剣で防陣を作りはねのける。
蛇妖が狙いを定めているのは塵昌と有眉だ。
「ここに蛇妖がいるぞ!」
駆け付けた修師たちが集まりだし隠すことができなくなった。
「不用意に近づいてはいけません。逃げてください」
有眉の言葉に誰も耳を貸さない。
我先にと蛇妖に集まってしまった。
「仕方ないわ。昌も蛇妖を逃がさないようにあの木の下に結界で縛るから手伝って」
有眉は剣を地面に突き刺した。




