7章帳家の傘下特権
謝砂はぞくっとした妖気を感じて全身が寒くなり羽織っていたマントにぐるっと包まる。
髪の毛が逆立った気がしてフードを被っても頬はまだぞわっとしたままだ。
「謝砂の顔色が悪い。なにか感じたのか?」
「何でしょうか腕輪が光ってます」
桃展が身に着けた腕輪を見せた。石が光を放っている。
バサバサと頭上を一斉に鳥が飛び山から逃げたようだ。
夕日みたいなオレンジと赤っぽい周囲を明るくするぐらいの光が見えた。
謝砂の目には一瞬目がくらむぐらいカメラのフラッシュのようにやけに眩しく感じた。
打ち上げられていないから花火ではない。
連絡用の花火を渡しているが打ち上げられていないから花火でもない。
ドンと地震のように足元が揺れた。
横揺れではなく引き抜かれたような衝撃に謝砂はバランスを崩した。
「うわぁ! あ、ありがとう」
「うん」
足元をふらつかせた謝砂の肩を掴んで爛がすばやく支える。
爛は携えた剣が勝手に鞘からカシャンと数センチ出ていた。
謝砂もマントの中で無意識に仙筆を呼び出して握りしめていた。
爛は謝砂が気になってる光った方向を同じように見た。
「でたぞ! 妖気は大物だ」
近くにいた身なりがいい他家の修仙の一人が桃展が持っているのと似たような妖気を感じると光る石を腰につけていた。
石が光ったのを見るなり叫んで連れを引き連れ走り出した。
触発されたように他の門弟たちも走り出す。
「なんだって。大物だと!」
「今なら間に合うぞ」
「おこぼれも残っていそうだな」
奥の方まで探しに言っていた修師たちが叫んでいた。
騒ぎを聞きつけた者も走って向かっていく。
「騒がしいですね。何を見つけたんでしょうか? 妖気が強いのはいないはずですが」
明らかに傘下と系譜の小仙家の者たちが意気揚々に向かっていく。
帳荻が首をかしげた。
「僕たちもいきましょう」
その一言を言った桃荻をものすごく黙らせたかった。
「退場せずに妖獣や鬼が出たからって喜んで駆除しに行くの?」
逃げ出したい謝砂だが桃展や桃常たちも興味深々になっていてついていくことになった。
謝砂は歩きながらしゃべり続ける。
「駆除できるように集めたのを法器にくっつけて放っているのも誕辰の返礼として宝の一つですから参加者の目的の一つですよ。それぞれ目的の宝は違います。扱う機会もない宝飾よりも悪鬼や妖獣を祓うほうがいいと傘下の小仙家の者たちは狙ってます」
「修仙として鬼や妖怪などを駆除するのが目的ですが、小仙家は家名を知れるようになるには祓っていくのです」
謝砂は家名を知れるようになるには高級の鬼を倒すしかないらしいと簡単に言い換えると頭で理解できた。
武功を立て名をあげていくのと同じなんだろう。
そして駆除した鬼や妖魔などで霊力を示すようだ。
「謝砂宗主、腕試しを兼ねているので帳家では命を落とさないように実力を教えているんです。鬼と妖魔探しが返礼となり宝と言い換えられるようになったんです。帳家の傘下に入ってる特権の一つですよ」




