7章 夜の宝探しのはじまり
塵千は柳家が管轄する府内に来た。
鼈宝から得た目は便利だった。魂霊丹をもつ妖怪をすぐに判別でき見つけられる。
巨大な蛇が住む洞窟の中に入り近づくと従える数百蛇が頭上から降ってきた。
手のひらから一撃を放つと一瞬で蛇を燃やしつくす。
燃えカスがまだパチパチと音を立てているが構うことなく上を踏んで歩く。
巨大な蛇妖に大きな口を開けさせると脳天に一撃を食らわせ魂霊丹を奪った。
そして死んだ直後に妖丹を呑み込ませ妖力を維持させたまま精怪へと変えた。
肉体は妖丹の魂が離れると脱皮したあとのように皮だけが残り中身は自分の妖毒で腐って消える。
陣を出現させて蛇妖の精怪を封じ込めていた。
塵千はパチンと扇子を出して開いた。
「蛇妖を殺すのをただ眺めていてるだけですか? 先祖の教えに背くのでは?」
「貴殿は殺してはいない。祖先は蛇妖ではなく霊獣となった蛇仙だ。勘違いはしないでほしい」
「それは失礼。昔を思い出したので。爛殿に古い邪術の一つである蛇蠱を応用した邪魂呪術をかけたのも同じ蛇妖でしたね」
「脱皮したあとの妖毒でもできると言ったのは塵宗主だろう」
「計ったのは貴殿だ。私は目的が一致しただけで手を貸した。同族の蛇妖は熟知しているはず。わざわざ柳家の管轄地で害を起こさせた」
「陣眼がまだ残っていたのですぐに見つけれました」
「貴殿の頭を悩ましていることを引き受けたのですから柳家が蛇妖の巣窟だと言われることはない。隠れなくても手下は連れてきていない」
岩陰に隠れていた人影が出てきた。
「どこに向かわせたんだ?」
「帳家に贈り物を届けたんです。有眉と昌がいるのでにおいを辿って侵入できるでしょう」
「いいのか? 蛇の精怪が食うかもしれないのに」
「他と同じ使い捨て。あれでも塵家の本家の血縁だから役にはたつ。ちょうど宝探しが行われると報告が届いた。私からの贈り物だよ」
倒して奪った巨大な妖蛇から得た魂霊丹の霊力を自分の中に取り込んだ。
そして陣を発動させ蛇妖の精怪を帳家の仙府に送った。
恵殿の修練方法を見ているうちに日の入りが早くあっという間に暗くなり宝探しに行くため謝砂たちも各室に戻った。
謝砂は寒くて毛布のような白いふわふわがついたマントを手に取り、靴も冬用を履く。
「朝晩の冷え込みで霜が下りそうだ。爛もしっかり着ておいたほうがいいよ」
立ち上がるとずるっと肩にかけたマントが落ちる。
マントなんて着たことがなく羽織っただけだった。
謝砂は外衣も厚手を選んで着ているが荷物になったとしても持っていくことにした。
「ちゃんと着た方がいい。着せてあげる」
「爛は寒くない?」
「外衣は厚手だ。心配はしなくても寒さには強いんだ。桃家も山だから慣れてるんだよ」
爛は謝砂の肩に羽織っただけのマントの留め紐をしっかりと結びなおした。
「雪を積もってないのに冬の装いは少し早いが謝砂は寒いの苦手?」
「うん。寒いのだけは耐えられない。身支度もできたし瑛を呼びに行こう。うゎっ!」
謝砂は室から出る数段の階段で足を滑らせとっさに隣にいた爛の腕を掴んだ。
ぐっと支えられる。
「危ない。謝砂踏まないようにゆっくり歩いて」
冬の装いで一回り大きくなり丈の長いマントの裾を踏んでしまう。
こけるのが怖くて爛の腕を支えに掴んだ。
星星と瑛も一緒に行こうと室に呼びに行った。
すでに桃展たちや招功も来て待っていた。
星星も同じくマントを羽織っていた。
「星星、寒いから蛛糸ってあったかいの?」
「包まればあったかいけど蜘蛛の巣だから身動きできなくなるわよ」
「あっ! 桃展たちも来たわよ。謝砂だけ季節違いみたい。脱いだら?」
「嫌だ。凍える」
爛や桃展、桃常、柚苑、雪児は外衣が厚手になっているが身軽な服装だ。
夜になって山の中は急激に寒くなるのを心配し持ってきていた厚手のマントを羽織る。
ふわふわしていて毛布のように暖かい。
すぐに宝探しの会場に案内されて連れていかれる。
会場までは歩いて移動した。
昼間よりも広い会場が用意されていた。
竹筒が並べられていた。
中に蝋燭が入っていて明るいが手持ちの提灯も配られていた。




