7章 夢での入れ替わり
「うん」
入れ替わり返事をした。
はっきりと入れ替わったのは桃家の正門を出て御剣していくところだった。
飛び出した剣を手に掴んで鞘にしまった。
「御剣したくない。ちょっと待ってくれ」
御剣するのが怖くて切り替わりたいのに戻れない。
「後ろに乗せてくれる?」
「調子でも悪いのか?」
「違う」
引き返すこともできず爛の背中にしがみついて乗せてもらった。
違和感があるようだが爛は乗せてくれた。
爛は師弟を連れずに謝砂と二人だった。
岩の洞窟の入口に降り立った。
「柳家の祖先は蛇の霊仙だ。妖丹から修行し霊丹とし魂をへて霊獣となり仙となったとされ蛇の妖怪は駆除しない。駆除ではなく害をなくすことが目的だ」
「精怪の害ってなんだ?」
「柳家が管轄する柳雷州 で夜になると美女が現れては惑わされて妖毒を浴びている。毒が全身にまわって抵抗出来なくしてから生気を吸われているという被害が数えきれないほど報告された」
「ならその弱った人の家で待ち伏せして駆除したら害はなくなるのに洞窟に来る必要ない」
「柳家の祖先は蛇の霊仙だ。妖丹から修行し霊丹とし魂をへて霊獣となり仙となったとされ蛇の妖怪は駆除しない。駆除ではなく害をなくすことが目的だ」
「精怪の害ってなんだ?」
「夜になると美女が現れては惑わされて妖毒を浴びている。毒が全身にまわって抵抗出来なくしてから生気を吸うんだ」
「ならその弱った人の家で待ち伏せしたらいいんじゃないか? 洞窟に来る必要ない」
「呼び会いにこさせて魂を抜かれている。妖毒を中和出来たら回復できる」
「中和って解毒させるの?」
「蛇妖の抜け殻を粉にして含むと蛇妖の妖毒は中和できる」
「毒を毒で制するのか。でも被害は止まらない」
「殺せないから追い出す。より妖力が強い巨大な蛇妖の抜け殻をつるし追い出すんだ」
「脱皮してるのがわかるのか?」
「蛇妖の妖毒を消すのに脱皮したものが必要だ。脱皮した抜け殻を頂くなら殺すわけではない」
「脱皮って蛇の抜け殻だろ。あの蛇柄を見るだけでもぞっとするのに見たくない」
「煙符を洞窟の中に飛ばせばいいと聞いてきた」
薪をするのに近くにあった枯れ枝を集め火符で燃やし煙符を洞窟の中に飛ばした。
蛇妖が暴れだしたのかドンドンと洞窟が揺れた。
「揺れが収まるまでしばらく待っていよう」
爛は懐からパンのようなものを取り出して半分にちぎった。
「一緒に食べよう」
「ありがとう。いただきます」
一口食べると食感は揚げパンだった。
もぐもぐと食べて腹を満たされると少し落ち着いた。
しばらくして燻りだされた脱皮直後で柔らかな皮膚のまま巨大な蛇妖が出てきた。
(ぎゃぁぁ!)
声にならない悲鳴を上げている間に危険を感じたのか蛇妖は慌てて洞窟から出て逃げた。
「戻ってくる前に回収しよう」
慌てて立ち上がり裾の土を手で払った。
すぐに爛の後ろにへばりついて歩く。
「あれ? 柳鳳は連れてきてないの?」
「来る前に説明しただろう。桃素貞殿の柳家の用事だから柳花と柳鳳を残らせてきたと。これは柳家の揉め事だからついてこなくてもいいと言ったんだ」
「邪気は残ってるけど中は広かったんだね」
謝砂と爛の声が響いて反響する。
「柳鳳と柳花を桃家に招くのには私が祓わなければならないんだ。素貞殿から引き受けた理由だよ。柳家は蛇狩りを禁じているから他家が引き受けないと野放しになってしまう」
洞窟の中でツンとした匂いが鼻に刺さる。
嫌な感じですぐに夢から覚めたいのに許してもらえない。
巨大な蛇妖の抜け殻がそのままあった。頭まで残っていて見るからに硬い皮だ。
煙で白く粉がついていた。
「逃げろ!」
爛は足元の陣眼が光ったが見えていないようだ。
紗々が謝砂と入れ違いすごい引力のように内側に吸い込まれて入れ替わる。
謝砂と入れ変わるときに紗々の目で爛が浴びた呪詛を見た。
抜け殻だった蛇妖に妖丹が現れ爛を呑み込んだ。
謝砂の意識にもどるとすぐに邪蛇の抜け殻に呪符を飛ばし妖気を封じていた。
ドラマや映画を見ている気分だった。
謝砂は抜け殻を邪封袋に回収して抜け殻がなくなると陣が消えた。
どさっと爛が倒れる。
駆け寄って確認するが蛇妖の妖毒ではなく蛇妖にかけられていた呪詛が爛にかけられた。
紗々は粘っていたがぷつっと押し戻された。




