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7章帳家への祝いの品

 帳家に招待されている爛と謝砂だけでなく瑛も招待されていた。

 桃岳泰山で世話になった礼に皆を招いてくれるらしい。

 帳荻と雲児が会いたがっているらしいく要注意だ。

 招功と泰山に同行した謝家の門弟たちと桃展、桃常、雪児、柚苑も招待に名前がある。

 残りは柳鳳待ちということで留守番なのになぜか喜んでいた。



 爛は師弟たちに丁家でのことをまとめた報告書を書かせ指導中で帰ってこない。

 謝砂は瑛と一緒に支度をしていたが何を持っていくべきなのか悩んで途中でやめた。

「瑛と遊ぼうか。何して遊ぶ?」

「あのね、しゃしゃとならなんでもいい」

 瑛は謝砂の手を引いて座らせると口元を手で隠し耳元で小声で話した。

 どこで覚えたのか舌足らずの言い方がこの上なく可愛く謝砂は瑛を膝の上に座らせた。

「紙で遊ぼうか。折ってるうちに思い出すはずだ」

 文机に置かれていた紙を折り紙にして手始めに紙飛行機を作り瑛に渡すと凝りだしてきた。

 瑛に紙飛行機の飛ばし方を教えると次々に飛ばして遊んでいた。

「すごい! 見て。見て! 飛んだよ。瑛が飛ばしたんだよ」

「見てるよ。楽しい?」

「うん」

(よく学校で飛ばしてたからな。プロの意地だ。折り方を思い出して飛ばしてみせる)

 キャッキャと喜ぶ瑛に息抜きを忘れて真剣に作り始めた。

「支度できましたか? お兄様入りますよ」

(あっ! 姜ちゃんに支度の手伝いたのんでたんだった。今は入られるとまずい!)

「瑛ストップ!」

 謝砂が飛ばしていた瑛を止めたが部屋の扉が開いた。

 そのまま紙飛行機は真っすぐに飛び距離を伸ばし姜に目がけてビューンと速度を落とさずに飛んでいく。

 姜にお団子頭にぐさっと刺さると姜は立ち止まった。

「お兄様何をしてるんですか?」

「ごめん。えっとあの折り紙って知ってる?」

「知りませんけど片付けてもらえますか?」

「はい」

 謝砂は姜に監視されながら散らばった紙屑を片づけた。


 瑛に折り鶴の作り方を教えていると姜は謝砂が部屋の一角に用意して積み上げた荷物の前に立つ。

「家出ですか?」

「違うよ。お祝いが済んだらすぐに戻ってくるよ」

「爛様と新居を構えて引っ越されるのですね」

「どうして爛となんだよ」

「どうみても一人分の荷物じゃありませんよ。お兄様を逃げ出さず世話できるのは爛様だけです」

 姜と落ち着いて話すのは久しぶりだが持っていくものをまとめる姿は母のようだ。

「姜ちゃんせっかく準備したのに出さなくていいじゃないか」

「だって荷物が多すぎます。剣と仙筆さえあれば十分ですよ。なぜ布団まで持っていこうとするんですか? 帳家にだって準備されています」

「布団と着替え。寒かったりするから厚手の上衣と薄手の上衣とかはいるだろう。瑛も一緒にいくから遊べるように人形やおもちゃ。あとは胃薬、飲み薬、手巾。お腹空いたときようにご飯もいるよな。食料に干したおこげとかも持っていこうか?」

 謝砂が取り出して見せたものに姜は頭を抱えた。

「すべて必要ありません。お兄様が準備したのはもとに戻してください」

「お祝いの品に他にも用意しなくてもいい?」

(せめて気持ちとして折り紙で何か折って渡そうかな。健康を願って鶴でもいいかな)

「大丈夫です。酒の他に果実を蜂蜜に漬けたものも用意しました」

「招功も一緒にきても大丈夫?」

「はい。姜にお任せください。瑛にお兄様のことはしっかりと頼みましたので言うことは聞いてください。ねぇ瑛」

「はい。姜姉さまの教え通りに瑛も頑張ります」

「見張られるの? お姉さまって呼ばせていいの?」

「私が謝砂お兄様と呼んでいるのだから瑛にはお姉さまと呼ばせて良くないですか? それとも問題ありますか?」

「問題ありません」

 謝砂は姜の冷たい視線を浴びせられ威圧される。

 背筋まで凍えそうだ。

「謝家の管轄している土地では鬼などの報告はありませんが、狂屍の鬼が出没していると聞いています。お気をつけください」

 姜は瑛を連れて謝砂の部屋から出ていくと入れ違いに爛が部屋に戻ってきた。

「謝砂その紙で作られたものはなに?」

「折り紙だよ」

「見たことないが職人の芸術品だな。祝いの品に贈れば帳家宗主に喜んでもらえるよ。可愛いものがお好きなんだ」

「分かった。たくさん作るから爛も手伝ってくれ」

 翌日には謝家を出た。

 呉の荷馬車もあり一行は馬車で向かうことになり安心した。

 徹夜で折り紙を折り謝砂は道中ずっと寝ていた。

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