ポテトフライと大学芋
謝砂は厨房でジャガイモとサツマイモの薄切りと縦に細切りのスティック状にしたものと二つ用意してもらった。
スライスされた芋たちを水に晒して十分にあく抜きをする。
薄切りは布巾で水気を拭いてカラッと素揚げをしてもらう。
油が熱しないうちから芋を入れる。
そして一旦油から取り出して冷ましてから二度揚げをする。
「さすが調理人。揚げ物も手慣れてるね」
サツマイモをみていたら大学芋も食べたくなり一品増やすことにした。
揚げたスティック状のサツマイモは蜂蜜と醤油にみりんのタレに絡めた。
謝砂は山盛りつくれば足りるだろうとジャガイモをひたすらスライスしているうちに朝になった。
「ポテトフライも完成! 塩を振って終わり。よく頑張った」
「食感がパリパリでいいですね」
手伝ってくれた調理人が味見をし謝砂にキラキラとした瞳をむけた。
「公子たちに運んでくれるかな? 爛の部屋には自分で持っていくから」
「分かりました。とっても喜ばれると思います」
「これで爛の機嫌もなおるといいんだけど」
謝砂はポテトと大学芋を抱えて部屋に戻った。
「爛起きてる?」
扉を開ける前に聞いたが返事はなくそっと部屋に入った。
爛は部屋の黒縁の丸い出窓に景色を眺めているように座っていた。
長い脚の片足を立て膝の足の上に腕を置き頭を手の甲で支えて寝ていた。
机に抱えていたポテトフライとステック大学芋を置いて爛に近づいた。
爛の近くに紫と白色の花が見え謝砂はすごく気になり爛にぐっと近づいた。
爛が持たれて座ってる窓枠の隅にあって乗り出さないと見えない。
(爛は花と一緒でも絵になる。一体なんの花だ?)
謝砂が爛の後ろに見えた花をよく見ると蘭の花だった。
伸ばされいた爛の手はやすりで削られたように皮がむけたまま放置された状態だった。
火傷の痕のようにも見える。
爛は炎虎の妖気が傷から入ったのか額にうっすらと冷汗をかいていた。
「まったく。人の指の傷には敏感で自分の傷はそのままか」
傷薬の軟膏を塗るよりも霊力で直したほうが傷が残らないのか試したくなった。
爛の垂れている左手のひらの傷に触れないように隙間をあけて手のひらを重ねた。
手のひらからあたたかい霊力を流すと丁安がいうように傷痕は残らずに消えて癒えていた。
「右手も治さないと」
爛をおこさないようにそっと下から手を伸ばし右手に触れないように気を付けたが
爛の手は反射的にぎゅっと謝砂の手を握った。
謝砂は仕方なくそのままで霊力を込めて傷を癒す。
起こさないように無理な体制で謝砂の全身が痺れてきた。
霊力を流すのを止めると力が抜けて謝砂は爛の胸の上にドンっと打ち付けた。
「わぁっ!」
爛からすぐに身を起こそうとしたが握られた手を放してもらえない。
謝砂の首に左腕を回されてがっちりとホールドされる。
腕から抜け出せなくてべしべしと爛を叩いた。
「爛、起きてるだろう。放せ」
「人の寝込みを襲うからだ。卑怯だ」
「失礼だな。そんな度胸はない。ただ爛の傷を治しただけだ」
謝砂が言うと爛は手のひらを見るためにすっと力を緩めたおかげで抜け出せた。
「寝るならちゃんと寝ろ」
「いい匂いがして目が覚めた。謝砂を待っているうちに寝てしまったんだ」
「火傷みたいになってた。爛は自分の体にもっと関心をもったほうがいい」
「謝砂これはなに? ジャガイモ炒め?」
「少し違う。気分転換にはポテトフライがいいから食べよう。爛のために甘い大学芋も作ったんだ」
爛の機嫌が直ったみたいで窓枠から降り謝砂にも茶を入れた。
謝砂と爛が食べようとしたときやけに宿が騒がしく感じた。
「師兄はなにもしてないのに食べすぎです」
「僕たちのほうがよく動いてお腹空いてるんです」
「ちゃんと分けただろう」
「横取りしないでください」
柚苑と雪児たちと柳鳳がチップスを取り合う声が聞こえていきた。仲裁しているのは桃展と桃常だろう。
「すぐ元気になってよかった。霊力で直さなくてもいいかな?」
「謝砂のおかげで桃展や柚苑たちも生きてるし怪我は見た目ほどひどくない。打ち身と切り傷だから薬ですぐに治る」
謝砂は爛と二人で茶を飲みながらのんびりと食べるとやっと落ち着いた。




