6章12手当
柳鳳が師弟たちの怪我の手当をした。
爛が脈を図るように霊力を調べて謝砂は霊力を指に込めて額に霊力を注いでいく。
「霊力を注げば怪我も悪化しない?」
「そうだ。霊力で治癒を助けて悪化を防ぐ」
謝砂は桃展や桃常、雪児、柚苑など一人ずつ師弟たちに全員に謝砂は霊力を送った。
爛が霊力の回復を調べていいと言われたら注ぐのを止めた。
血の気が戻り浅かった呼吸が規則正しく整った。
「ふぅ。これで全員終わった」
「うん。しばらくしたら薬も効いてくる」
謝砂は爛の隣に立ち話を炎虎に戻した。
「爛のせいだ」
謝砂は爛に長い袖下を振りべしべしと叩いた。
「いたっ。謝砂何するんだ。悪かったって」
「ふんっ」
「謝砂やめてくれ」
爛はしばらく謝砂の好きにさせていたが拳で二の腕を叩かれ凶暴になってきた謝砂の手を掴んだ。
「放せ。叩きたりない。爛たちが帰ってくるのが遅いから防げずに師弟たちを怪我させてしまった」
「もう十分叩いただろう。私だって傷がある」
爛は掴んでいた手を放して謝砂に広げて見せた。
爛の手平は擦り剝けて所々血が滲んでいた。
「尾を掴んだときだな。他にも傷が?」
「あっても大したことはない。傷も勲章となるんだし師弟たちも修練して鍛えてるからあれぐらい大丈夫だ。普段から柳鳳が鍛えてるんだから安心していい」
軽い調子の爛に謝砂は怖さを耐えに耐えて峠を越えた。
意識を飛ばして分離させ保っていたが爛の姿に飛んでいた自我が戻ってきた。
謝砂は爛の胸倉をつかんでドンと頭をぶつけ抱きついた。
鼻水と涙で顔はぐちゃぐちゃになるが構わない。
「うわぁぁん。ひくっ。ひくっ」
謝砂は小さい子のように泣き叫んだ。
柳鳳はびくっと肩をすくめたが目を逸らしたまま謝砂が泣くのを見て見ぬふりをした。
突然のことにうろたえて爛は両手を広げたままで固まった。
ぎこちなくトントンと背中に手をあてられる
手巾を爛から渡されたが胸に顔を擦りつけた。
しばらく泣いていたが落ち着いてすっきりとした。
「いたた。謝砂兄さん泣かないでください。僕たちの傷口に響きます」
桃展が意識を取り戻して身を起こした。次々に目を覚ましていく。
「丁安殿は? 吊るされていた人はどうなりました?」
桃常が尋ねた。
爛は槐の木の下に視線を送った。
丁安はじっと槐の木と向き合って座っていた。
蜘蛛の糸を見てぱっと謝砂の手をとった。
「謝砂、血を流したのか? 怖がっていたのに」
「どっちが怖いか比べたんだ。目の前で死なれるほうが一番怖い。防ぐことしかできないけど」
「指を斬らなくても呪符だけで謝砂なら十分対応できただろう」
斬った指は血が止まり塞がっていた。
刺したことがなかったようで刃先でついた左の薬指の先に跡が残ってた。
爛は巾着から傷薬を取り出して指にちょんちょんとつけられる。
手は爛の口元へと運ばれる。
頬を膨らませてふぅと息をかけられた。
薬のせいなのか熱く感じて手を振りほどいた。
「乾かさなくていいよ。ありがとう」




