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6章11

 謝砂は爛に話すがうんとだけ頷いた。

 すでに知っていたようで爛は剣を飛ばし直して手で操りながら炎虎を斬る。

 柳鳳は剣を握りしめて仰け反り炎虎の股下を潜って腹に刃先を当てる。

 金属が擦れるように火花が散るだけで斬れず石燈籠のがれきに埋もれてる師弟たちの前に立つ。

 

 爛が飛んで後ろにまわった。

 突進してきた炎虎に身を一回転してかわし後ろに着地した。

「ぎゃぁぁぁ! こっちに来ないでくれ」

 謝砂は叫びながら呪符を炎虎の顔の前に飛ばして防御する。

 勢いよく壁に頭をぶつけたように呪符に防がれ炎虎がひるんだ。

 一瞬に爛はぐっと炎虎の尾を掴みジャンプして身を捻ってグルグルと回転し放り投げた。

 手のひらから一撃を放ち炎虎を木に飛ばした。

 木の幹がミシミシと音を立て炎虎に振りかざすようにどさっと地面に落ちた。

 横になったままの炎虎のちょうど腹の上に落ちた。

 木の枝が腹を深く突き刺している。

「槐の木だから逃げられない。謝砂呪符を飛ばして」

 謝砂は懐から一枚呪符を取り指に挟んだ。

「待ってください。私に炎虎の止めを刺せてください」

 丁安は槐の木のしたに突き刺されたままの自分の剣を抜い握りしめて歩いてきた。

「分かった。斬った後謝砂から呪符をもらって燃やせ」

 謝砂は爛に言われた通りに丁安に呪符を渡して爛の背中に隠れて下がった。

(丁安にしたらかたき討ちだけど止めをさすなんてできないからちょうど助かった)

 口を開け血を流す炎虎はその赤黒い目で丁安を威圧した。

 丁安はぐっと歯を噛みしめて炎虎の前に立ち首をすぱっと斬る。

 呪符を飛ばすと火がつき木も一緒に燃える。

 剣を振り払い剣についた血も木に飛ばし鞘にチャンと納めた。

 炎虎の精怪は煙となって消えていく。

 謝砂は丁安を一人にして爛と一緒にそっと離れた。




 柳鳳は石燈籠のがれきを剣で細かく斬りぶわっと粉塵にした。

 埋もれていた師弟たちの姿が出てきた。

「ゴホッ、ゴホッ」

「うぅっ」

「痛い」

 師弟たちが咳込む声が聞こえた。

 怪我をしていても仰向けになったり胸をおさえたり背中を丸めたりと動いている。

 柳鳳が一人ずつ怪我を確認して運んだ。

「妖気にあたっているけど護符で防がれて守られてます」

(みんな死んでなくてよかった。あとは飛ばされた桃展たちだ)

 謝砂は深呼吸するとガチガチに張っていた肩がやっと降りた。

「柳鳳みんなは大丈夫か?」

「はい。怪我人ですけどみんな生きてます」

 壊された東屋を見るとすでに救出されてた。

 飛ばされた桃展たちを丁安が助けていたらしい。



 謝砂は爛を引き連れて話の続きに戻した。

「精怪になったってどういうこと? しかも爛のせいってなんで?」

「それは……」

 爛が口ごもると柳鳳は師弟たちの手当をしながら謝砂に言いつける。

「謝砂兄さん聞いてください。精怪になったのは爛様が虎塚で虎妖を殺したけど妖丹を持っていて精怪になって逃げられたのが原因です。逃げられるなんて普段の爛様じゃ絶対にありえないのに焦ってたんですよ。屋敷の謝砂兄さんが心配すぎて心あらずでした」

「柳鳳は書き写しがどうしてもしたいんだな」

「黙ります」

 柳鳳に向かってにっこりと爛は笑みを向けた。

 柳鳳は口をぐっと閉じた。

 爛は謝砂と向き合うと真剣なまなざしで理由を話した。

「虎塚が狭かったせいだ」

「それが理由?」

「うん。大暴れしたら虎塚が壊れたら出口が塞がれて出れなくなる」

 謝砂は爛を睨みつけた。

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