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6章虎塚

 柳鳳が見つけた召喚陣の痕跡は新しかった。

 爛が痕に手をかざして死ぬ前の虎が残した思念を調べる。

「残った血跡を見る限り猟師が毒箭で狩ったあと動けないようにして虫の息の状態のまま丁家に持ち込まれた。納められたときは死んで間もないか瀕死だった」

「他の虎も同じように置かれてますよ。何が違うんですか?」

 柳鳳は他にも納められている虎の死体を蓋を開けてみていたがちゃんと弔われていた。

「普通は虎塚のような場所ありませんよ。虎なんて弔われることはありません。寧山は虎様ですね。土に埋められることだってないのが普通です。野ざらしでもないし妖獣じゃないから精怪でもない」

「その通りだ。虎塚に弔われるなら祟ることもないだろう。虎が執念深く怨念を残ったまま死んだとしても虎塚に入れれば妖獣にもなることはない」

「妖獣になったとしても低俗でしょう。虎塚からでれるわけでもないし扉に貼られている駆逐符で消えるでしょうが、召喚陣をつかい外に出し誰かが意図的に妖獣へと変えたとしたら虎妖になります」

「虎を殺した猟師の村と丁家に虎鬼が襲ってきたのも虎妖の怨念で操っているからと考えるのが道筋としては通ってる」

 爛は手で一振りすると柳鳳が掘ったあとの土をかぶせた。

 ぶわっと土埃が舞い柳鳳は咳込みながら手で仰いだ。

「ゴホッ、ゴホッ。爛様いつもより荒っぽいですね」

「虎妖だ」

 爛は剣を鞘から飛び出し柳鳳の後ろに飛んでいく。

 土埃の間から飛んできた爛の剣に照らされ赤黒い二つの目が光った。

 虎妖は柳鳳をめがけて頭を振ったが爛の剣が虎妖の顔をめがけて飛んでいく。

 柳鳳は虎妖の頭が体に当たるは爛の剣で防がれたが尾の衝撃を受けて壁に強く打ちつけられる。

「かはっ」

 虎妖の硬い皮膚は石のようで剣は突き刺らず金属が擦れる音が響き火花が散る。

 飛ばした剣を呼び戻し爛は剣の柄を握った。

 虎妖は二本の尖った牙を見せつけて威嚇し壁を飛び回り爛に突進してきた。

 爛は刃先で焔符を書き虎妖が噛みつこうと大きく開けた口の中にいれて燃やす。

 間をとり柳鳳のそばに駆け寄ると腕を掴んで立たせた。


「柳鳳立てるか? 虎妖なら覆っている皮膚が硬くても焔符で燃えるはずだ」

「爛様、虎妖がいるのに虎鬼の気配がありません」

 虎妖は炎を呑み込み内側から炎で燃えるが石のような皮膚の合間が裂けて地肌が見えた。

 低く唸ると猫のように前足を伸ばして伸びをするとパラパラと落ちる音がする。 

 地肌は火が燃えているようだ。

「肉体が朽ちてもすでに妖丹があったのか。炎虎だったみたいだ」

 爛がもう一度剣を飛ばすが炎虎はすばしっこく当たっているのに深く切りつけられれない。

 炎虎は噛みつこうと爛と柳鳳をめがけて突進してくるが爛が剣をぐっと突き刺す前に煙となって虎塚から消えた。

 爛の剣は煙が消えると戻ってきて鞘の中に納まった。

「虎塚からでよう。炎虎は戻ってこない」

 爛は柳鳳の腕を掴んだまま虎塚から出た。

 通ってきた丁家の庭園の一箇所に煙が集まっていたのが見えた。

 炎虎は謝砂たちの方へ行ったとすぐに理解すると助けを求める花火が上がった。

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