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6章6

 桃展と桃常は柳鳳が先頭に歩いて村にたどり着いた。

 村の周囲は石垣で囲まれていている。

「やけに頑丈だな。村って聞いてたからもっと雑というか木で周囲を囲んであると思ってたよ」

 柳鳳は独り言のようにつぶやきながら村の敷地に入った。

「それじゃ連絡用の花火は持ってるな。屍がいたらすぐに呼べよ。自分たちで解決できなければ逃げるという謝砂兄さんの教えは守ること。二人一組で行動しろ。御剣してるから手を抜くな」

 柳鳳は言い終えると高く御剣して姿が見えなくなった。

 列に並んでた隣通しで一組になった。

「奥の家から調べてみよう」

 桃常は桃展と一緒に手前の家を覗いた。

 門から中に入るが家の中は生活を最近までしていたそのままだった。留守にしているという空間だ。

 米や野菜は外に置かれたままで竈には鍋があり腐ってる。

 衣服も外に干されたままのようだ。

 飼われていたらしく鶏の羽はむしられたのか散り血が流れている。食い散らかした後で肉が飛び散っている。虎に喰われたのだろうか

「桃常、こっちには物置がある」

 ここは猟師の家のようで矢と弓、捕獲に使う道具が置かれる物置があった。

 軒下には柿が吊るされていた。

 家の脇道から奥に歩いていくと竹林が広がり人が一人通れる幅の小道につながっていた。

 猟師が狩りで日常的に使っているようだ。

 歩きやすいように石が積まれて階段になっていている。

 竹林の間を登ると山頂に繋がっていた。

 桃常と桃展は来た道を引き戻して村へと戻る。



 竹の合間から気配を感じて立ち止まるとカサカサと音が聞えた。

 笹の葉が擦れる音がしているということは小動物ではない。

「誰かいるんですか?」

 桃展が叫んだ。

「しっ! 桃展いきなり声をかけてはいけない。屍だったらどうするんだよ」

 桃展と桃常は剣を構えガサガサと音が大きくなり近づいてくると合間から人の手が見えた。

 血がこびりついているようで指先まで赤黒い。

 桃常と桃展は小道を駆け下りて一番近い村人の家まで走り塀に身を隠す。

 そっと隙間から確認すると追いかけてきたのは屍ではなく生きている人だ。

「桃展気づいてる? この人顔や手も血を汚れてるけど身なりがきちんとしてる」

 見るなり観察をした。顔や服は汚れているが身なりからして村人ではない。

 単衣ではなく丈の長い上衣を着ている。

 高級な布であつらえられた服は丈夫で竹の葉に擦れても切れてない。

「うん。腰に剣を佩いているしどこかの仙家の人じゃないかな。村の中だし出て行こう」

 桃展は剣を鞘に納めた。桃常は警戒して桃展の後ろで手に剣を握りしめ警戒して姿を見せた。

「私たちは桃家の師弟です。何があったんですか?」

「た、たすけてください」

 おどおどとした仙師は足の力が抜けたのかその場に座り込んだ。


 御剣していた柳鳳が気づいて降りてくると師弟を集めて家の中に運び持ってきた水筒を渡す。

「どうぞ。飲んでください」

「いただきます」

 ゴクゴクと喉を潤してほっと安心したのか冷静に落ち着きを取り戻し話始めた。

「あなたの他に誰か仙師はいませんか?」

「私以外の丁家の師弟は虎妖に喰われたんです。村人を殺した虎鬼は虎妖の鬼です。凶暴で僕たちで対処は無理だったんだ。塵家の傘下に入っておけば助けてもらえたのに当主たちは虎鬼の駆除ぐらい自分たちで対処できると申し出を断ったのが間違いなんだ」

 飲んでいた水筒を膝の上に強く打ち付けた。肩を震わせている。

「虎の妖獣? 虎ではなく虎鬼が村人を殺したんですか?」

「はい。虎鬼は虎妖に操られているから死ぬと虎と同様で奴隷となりました。虎妖は虎を狩る猟師を恨んでいたようで猟師の村を襲わせたようです」 

「噂通りですね。謝砂兄さんと爛様は虎妖の存在をしりませんよ」

「柳鳳師兄どうしますか?」

 桃展に続いて桃常が柳鳳に言う。柳鳳はしばらく黙ったあと空を見た。

「もう遅い。日が暮れる前に宿に行こう。爛様たちと合流する。丁家の公子?」

「丁安(ていあん)です」

「丁安殿も一緒に宿に行きましょう。帰家から知らせが届いて見に来たんです」

「僕たちもどこかの傘下に入っていたら違っていたのでしょうか。僕の家にも虎鬼が襲ってきて村にいる師兄たちを呼びにきたんですがどちらも同じで帰ることも村から出ることもできないでいたんです」

「謝砂様と爛様だから助けにきたんです。お二人に話してみてください」

 柳鳳が丁安に言うと師弟たちも同じように頷いた。

 丁安はその信頼はどこからくるのか会って確かめたいと小さく返事を返して歩いた。

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