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29話池

 護符がはがれて意味をなくし休憩をやめた。

 塵昌が駆け下りてきたときに見上げたときに雲が早く動いたことがずっと気になった。

 謝砂は塵昌と挨拶を交わしながらちと雲を観察していた。

雲は山頂の近くの一箇所に引き寄せられるように集まる。

 妖気なのか見てるだけでどんよりと紫と灰色や色が混ざっていた。

 山頂の方をドンと強い地響きとぐらっとした揺れを感じた。

「今光った! ほらあそこ。地震と落雷だ。急いで逃げないと」

 謝砂が指差した方向を一斉に見たが光は一瞬だけで集まっていた雲も消えていた。

「落雷? 光ったのは花火じゃないんですか?」

「桃泰山に地震はありえません」

「師兄たちから山頂の近くに大きな池があると聞いてます。水面に花火の光が反射したのでは?」

「今は光ってませんよ。謝砂兄さんが見間違えた一度だけのようですね」

「君たち、薄々感じていたが……。まぬけだと思っているのだろう。爛、この若い公子たちに言ってやれ」

「間抜けだとよく気づいた。よく観察できてる」

「そうじゃない。違うだろう。柳鳳のときみたいに書き写しの罰はないのか?」

「爛様、謝砂兄さんが指差した池の方でところで玉佩がいくつか光ってます。助けにいかないと」

 雪児は首を伸ばして指さすと爛の顔から笑みがすっと消えた。

「謝砂も一緒にきてくれ。けが人がいるかもしれない。手当てにすまないが謝家も一緒にきてほしい」

「団体行動だからもちろんだ。山に置いて行かれる方が怖いからついていくよ」

 爛は謝砂の前に屈むと腕を掴んで背中に体を持たれさせた。

「おんぶしてくれるの? 虫怖いし歩かなくていいならお願い」

 謝砂は爛の背中に乗りしっかりと肩を持つ。

「御剣できないから走る。謝砂と先に行く。招功殿頼んだ」

「お任せを。後から行くのでお気をつけて」

 招功と謝家の門弟は謝砂に頭を下げた。

「えっ? なんで二人だけで行くんだ?」

「先に行って何がいるのか見ないと」

 謝砂を背負って山の中を疾走ではなく木を蹴って飛んでいる。

「しっかりと持たないと落ちるぞ」

「うわぁぁ。爛、よそ見するな。目の前の木に当たる」

 ぐっと爛の首に腕を回して頭をひっこめた。


 

「謝砂もう顔を出しても大丈夫。廟がみえるだろう。ここが山頂付近だ」

「怖かった。着いたなら降りる」

 廟は麓よりも豪華な造りで扉が開いていた。中には石像が鎮座してるようだ。

「うん。着いた。池だがここは廟近くで普通なら桃岳大帝を恐れるはずだ」

「池っていうかでっかな庭園みたいだ。魚でもいるのか生臭くないか?」

 爛は廟から池に向かって歩いていくと周囲は魚や肉が黒焦げになったような匂いがした。

 池の淵には玉佩を腰につけた数人の修士と紺と紫色の同じ服をきた世家の公子たちが赤黒い煙を帯だ人の影のようなのと対峙していた。

「謝宗主、帳家の若君を助けてください」

 紺色の枹を纏った一人の修仙は弓を手に持ち謝砂と爛に走ってきて膝をついた。

足元は濡れていて腕は傷だらけで血が滲んでいる。

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